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2025年8月4日月曜日

レンズ豆は世界中に広まった地中海の豆。

今日のお題はレンズ豆。
新年の幸運を願う人には大事な縁起物、レンズ豆。ほとんどのイタリア人が年末年始に食べる豆です。

新年の定番料理、レンズ豆の煮込み。

なぜ新年にレンズ豆を食べるのか。
その形がコインを連想させることから、豊かさと繁栄の象徴になり、新年を幸先よくスタートさせる必須アイテムになった。値段が安くて栄養価も高いめでたい食べ物。


栄誉化が高く、庶民的な農民の昔ながらの食べ物で、陶器の鍋でコトコト煮てズッパやウミドにします。
個性的な味と歯ごたえで、長い間、外国でも最も重宝がられた豆でした。その歴史は7千年前にさかのぼる。

レンズ豆は世界中に広まっている。イタリア部は煮込むのが好まれるが、裏漉ししたり、サラダにする国もある。エジプトの国民食はゆでて裏漉ししたレンズ豆をにんにく、唐辛子、カイエンヌペッパー、カルダモンで調味する。
インド料理のレンズ豆のダール。


レンズ豆のリチェッタ3種。


原産地は現在のシリアで、その後、地中海全域に広まった。中世には主に修道院で栽培され、修道士たちの断食の日の質素な食事に登場する“金曜日の食べ物”で、肉に匹敵する栄養価があるとみなされていた。

レンズ豆のズッパはイタリアの全ての州にある。特にラツィオ、マルケ、ウンブリア、アブルッツォでは名物料理になっている。

カラブリア風レンズ豆のズッパ。


ナポリでは伝統的にミネストラに入れ、プーリアやバジリカータではパスタと一緒に煮るのが好まれる。ロンバルディアでは煮込みにする。エミリア・ロマーニャでは豚肉に添える。アルト・アディジェではスペック風味にする。
アブルッッォのグラン・サッソ国立公園周辺の美しい集落では、上質のレンズ豆が少量ながら栽培されている。
一番有名なのは、カステッルッチョ・ディ・ノルチャのレンズ豆。丸くて小粒の豆。
6月初めの花の時期には、ウンブリアとマルケの間の高原がハーブとカラフルな花で埋まる。脱穀は8月。

カステッルッチョ・ディ・ノルチャ。




ナポリ風パスタとレンズ豆



・ベーシックなナポリ風ミネストラは、玉ねぎ、にんにく、ローズマリーのみじん切りをバターで炒め。レンズ豆を加えて水で覆って沸騰させる。小さく切ったにんじんとじゃがいも、トマト、唐辛子、スペアリブ、塩を加えてとろ火で1時間30分煮込む。じゃがいもを潰してブロードにとろみをつけ、さらに10分煮る。

レンズ豆のリチェッタ、次回に続く。

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2025年5月15日木曜日

地中海の野菜料理で南イタリアから地中海中に広まった傑作、パルミジャーナ。北イタリアでは冬野菜を使って作る。

今日の料理は(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ1月号)の地方料理の記事から(日本語翻訳は、P.39)、“カルドンのパルミジャーナです”。
パルミジャーナは典型的な地中海の野菜料理で人気の家庭料理で、世界中に知られる人気のイタリア料理。 

ナスのパルミジャーナ。

ベーのリチェッタは、なすを縦にスライスして塩を振り、数時間置いて水気を絞り、小麦粉をつけて揚げる。間におろしたチーズ、モッツァレラ、バジリコ、トマトソースをはさみながら重ねてオーブンで焼く料理。

主役はなす、と言うのが一般的ですが、その発祥地は、ナポリとシチリアの間で争われています。
なすが主役なので、当然南イタリアの夏の料理と考えられていますが、(CIR1月号)のリチェッタはカルドンのパルミジャーナです。カルドン(カルド・ゴッビcardo gobbi)は冬の野菜。特にウンブリアには深く根付きましたが、ウンブリアの外ではあまり知られていない野菜です。

カルドン

カルドンの下ごしらえ

ナポリのパルミジャーナ。

ウンブリアの州都、ペルージャでは、カルドンのパルミジャーナはクリスマスに欠かせない料理。
ウンブリア料理は農民料理。豆やビエトラ、チコーリア、野草など、苦みのある野菜を使った貧しい庶民の暮らしがベース。

マルケ風カルドンのパルミジャーナ。

カルドンのパルミジャーナのリチェッタは、(CIR)P.40にあります。
下ごしらえしてゆでたカルドンを揚げ、トマトソース、おろしたチーズと交互に重ねてオーブンで焼きます。

本家のパルミジャーナはなすが主役ですが、なすはイタリアではまずリグーリア以外の北イタリアに広まり、トスカーナ、ラツィオからナポリに広まり、さらに南イタリア全域に広まります。カラブリアとシチリアでは絶大な支持を受けました。
なすの話は次回。

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2024年12月5日木曜日

ワインのドルチェット・ディ・オヴァ―ダの話だけど、まずはアルバにちなんでトリュフの話。

今月のワインはドルチェッティ・ディ・オヴァ―ダ。
ピエモンテのワインです。

ovadaはリグーリアとの州堺の地。ぶどう畑の一部は南向きで海からの影響を受けます。
そのため、独特の個性のあるワインができます。
ドルチェット・ディ・オヴァ―ダはピエモンテのワイン造りの伝統の美しさやエレガントさが表れたワイン。

ドルチェット・ディ・オヴァ―ダdocg

ドルチェットdolcetto

ドルチェットと言えば、ドルチェット・ダルバなど数種類あります。アルバはトリュフで有名な街。一度はこの街でアルバの白トリュフ食べてみたい。

アルバの白トリュフ祭

この地方は夜も美しく、都会のように国際的なのに田舎で、夜空には降るような星がまたたき、中世のおとぎ話の世界に迷い込んでしまったような気分になります。

白トリュフはアルバじゃなくても育ちます。イタリアは、各地の色んな季節に白や黒のトリュフが採れます。

アルバの白トリュフをイタリアでも最高の白トリュフにしているのは、地元に根付いたその深い食文化にあると思います。
トリュフのイタリア語、タルトゥーフォtartufoは後期ラテン語で“大地のエッセンス”という意味のterrae tufeが語源。ワインとも通じるところがあるかも。

ペーザロ・ウルビーノ県のアックアラーニャAdqualagnaは一年中トリュフが取れる町がキャッチフレーズで、この地方の一番の有名人はトゥルヌドで知られるロッシーニ。彼は地元のトリュフを食べて育ち、グルメな作曲家と呼ばれるほど美食家になりました。

アックアラーニャ

アックアラーニャではみんなこれはイタリア料理と信じているけど、世界的にはトゥルヌド・ロッシーニはフランス料理。










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2024年4月30日火曜日

アドリア海のコウイカは月桂樹の枝に卵を産む。赤ちゃんにも墨袋はある。コウイカの寿命は1年。産卵して死んでしまう。卵にはコウイカが次の世代に伝えるすべてが詰まっている。

今日のお題は“イカの卵”。
正確に言うと。シチリアを代表するピーノ・クッタイアシェフがミラノに出した店の名前。
すごく気になる名前なんですが、イカの卵なんて見たことないと思っていたのですが、動画を上げる人は意外といて、おかげでベネチア料理の前菜だと知りました。


イカの卵と漁。赤ちゃんなのに墨袋がある。このイカは、コウイカseppie。マルケのセニガッリアで行われている伝統的なコウイカ漁。月桂樹の枝に卵を産むんですね。
卵を獲るということは、乱獲の影響を受けるだろうなあ。いつまでも続く漁ではないはず。
セニガッリアはベネチアとはアドリア海でつながっている街。ベネチアはイカ墨の伝統があるコウイカの本場。

新江の島水族館のイカの孵化の動画

ベネチアのでイカの卵のチケッティを食べてみたいと思ったけど、貴重すぎる・・・。イカの卵は、プラスチックなどの海洋ごみ削減のシンボルなんですね。

コウイカの卵の前菜

ピーノ・クッタイアシェフのイカの卵の料理。

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2024年4月8日月曜日

この週末、アスコリ・ピチェーノが気になったので・・・。

この週末、アスコリ・ピチェーノというマルケ州の街の名前を何度か耳にしました。
このあまり知られていない街の名前が、なぜ突然こんなにメジャーになったのか、やたら気になりました。
どうやら、競走馬の名前なんだそうです。競馬のことは全知らないのですが、なにやら母親がアスコリという名前で、それにちなんだ名前ということで付けられたんだそうです。競走馬の名前って、誰がつけるのか。どこから見つけてきたんでしょうねえ。
アスコリ・ピチェーノは、イタリアの観光地としてはかなりマイナーですが、イタリア料理の世界では、なかなか知られています。すごく気になったので、ちょっとまとめてみます。

アスコリ・ピチェーノ

アスコリ・ピチェーノは、外側に向けた中世の要塞都市として守りを固めた部分はレンガ色で、内側をむいた部分は大理石の白い色をしているそうです。

ロマネスク様式と中世の要塞都市の顔を持つ街。

アスコリ・ピチェーノにはパスタの伝統があります。
そのパスタは、小麦粉1㎏に卵10個入りと、他の地方の2倍の卵が入ります。
水は加えないものから、熟練の技が必要な軟質小麦粉のものなど、様々あります。
現在は、昔ながらのブロンズのダイスを使ってゆっくり乾燥させながら、フレッシュさを活かすために加熱殺菌せずに、小さなアルティジャナーレの造り手がつくっています。
ブロンズのダイスは、今のイタリアでは“昔ながら”、と言われちゃうんですね。

アスコリ・ピチェーノのパスタメーカー

マルケのパスタ

オリーヴェ・アスコラーネは世界的な名物。

マルケ州は作曲家ロッシーニとの縁が深い地方。生まれたのはペーザロと伝わっていますが、ロッシーニ・フェスティバルなどがマルケ各地で開催され、ロッシーニファンが多く集まります。
料理の世界では、美食家として知られるロッシーニ。彼が残した料理の傑作、トゥルヌド・ロッシーニ。世界的にはフランス人が考えたフランス料理ですが、イタリアでは、みんなこれはイタリア料理だと信じてます。

この料理の重要な要素、トリュフは、マルケの名物。
中でもアックアラーニャはイタリアの代表的なトリュフの産地。
アックアラーニャのトリュフ祭り。

おそらく、美食家のロッシーニにとって、イタリアのトリュフは子供の頃から慣れ親しんだ食材。この料理も、彼にとっては自然な発想だったはず。とイタリア人は思ってます。

アスコリ・ピチェーノがレースでどうだったのか、急激に名前を聞かなかくなっているので、いまいちだったのでしょうか。多分、この週末だけバズッたのでしょうが、また活躍する日が待ち遠しいです。

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2023年9月9日土曜日

卵を使うアイオリで煮汁にとろみをつけるプロバンスのズッパ・ディ・ペッシェは黄色く、トマトを使う南伊のズッパは赤い。


(CIR7月号)から、“ズッパ・ディ・ペッシェ(P.24~)”の話題です。
きのうはマルセーユのブイヤベースでしたが、プロバンスのマルセーユはリグーリアを経由して、イタリアのティレニア海側の海岸とほとんどつながっているような場所でした。でも、海岸のどこかで、ブイヤベースとズッパ・ディ・ペッシェは違うスープになりました。
今月の“パッパ・ディ・ペッシェ”の記事にも、フランスとイタリアのズッパ・ディ・ペッシェが載っています。マルセーユのブイヤベースと、もう一つのフランスのズッパは、その洗練された見た目からすぐに分かります。“ブーリドbourride”です。
ブロードにアイオリを加えてつなぐのが特徴。煮汁と魚を別々にサーブするブイヤベーススタイル。イタリアの、というかトスカーナのパンコットはパンでつなぐタイプでした。
さらに南に下ってカンパーニアやイオニア海、アドリア海側になると、トマトを加えてとろみをつけました。ズッパ・ディ・ペッシェも赤くなります。



記事にはナポリのズッパもありました。ムール貝と野菜のズッパです。ナポリではパスクアの前の断食の時期の聖木曜日に食べる料理です。言い伝えによると、ナポリ王で魚好きだったブルボン朝のフェルディナンド1世が、ポジリポのムール貝が食べたいと所望して、たっぷりのムール貝料理を作らせたことが教会関係者の耳に入り、貪食の罪にあたる、と非難されたのだそうです。そこで、現実には、四旬節の期間にふさわしい質素なスープ、つまり、ムール貝よりもっと手ごろな値段で手に入る貝などを使った料理にアレンジされて、それが庶民の間に広まったのだそうです。なので下の動画ほどゴージャスじゃないかも、むしろ(CIR/P.26)のリチェッタのように野菜たっぶりのズッパだったようです。


ポジリッポのムール貝のズッパ。最近の海水温の上昇で、ムール貝が減ってるらしい。

ポジリポPosillipo

教会の話が出てきたところで、次のリチェッタは“パンと水”です。

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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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2023年9月8日金曜日

ズッパ・デイ・ペッシェよりブロデットという名がふさわしいイタリア版スープ、ブイヤベースと違って煮汁が主役。

今月号のリチェッタは、“ズッパ・ディ・ペッシェ”特集号ですが、よりによって最初の1
品が、ヴィアレッジョのパンコットでした。
素朴で質素で見た目があれなズッパ・ディ・ペッシェの中でも、特に残念なズッパですが、
パンコットとは逆に、国際的に人気なのはマルセーユのブイヤベース。

マルセーユ。

マルセーユで10ドルで買える美味しいもの。






ズッパ・ディ・ペッシェもフランスで作ると、ここまでこじゃれた洗練されたズッパになる、というお手本のような料理。リチェッタの日本語訳は(CIRP.27)。


パンコットの見た目が離乳食だと思った人、正解です。

ヴィアレッジョ風パンコット。

これをマルセーユのブイヤベースと比べるのは、ちょっと不公平と感じるので、アドリア海を代表するズッパ・ディ・ペッシェ、ブロデットをどうぞ。

味は抜群なのに、見た目は本当に残念。外見の美しさに重きを置くイタリア人の料理とは思えない姿だけど、これがイタリアのズッパ・ディ・ペッシェ。つまり見た目より味を優先させると、ダシを取ったあとの骨も全部入ったごった煮のズッパになっちゃう。ブイヤベースみたいに皿に盛り付けたあとは何も手を加える必要がない。美味しいブロデットごと皿に注げば出来上がり。


ズッパ・ディ・ペッシェじゃなくてブロデットと呼ぶのが本当の姿に近い。

アンコナ風ブロデット。



ズッパ・ディ・ペッシェは海辺の町ならどこにでもあるけど、最初に食べたときのカルチャーショックの大きさが、イタリアのズッパ・デイ・ペッシェの印象になって残るはず。
私は手をぎとぎとにしながらマルケのビーチリゾートのトラットリアで仲間たちとにぎやかに食べたブロデットの濃厚な味が深く舌に刻まれました。
そのせいで、フランスのブイヤベースが超洗練されたおしゃれな、キラキラ輝く料理に見えますが、マルケの漁師風のブロデットが大好きになりました。
ところで、このパンコットを今月の(CIR)ではかなりご馳走風な1品に仕上げています。その方法は、大きな車エビやスカンピをズッパの上にでーんと盛り付けて、パンをほとんど見えなくしていること。
盛り付けという点では、もう一つのリチェッタ“パンと水”のパンコットも、パンの形を大きめの角切りにしてゴロゴロ野菜と同じ大きさにしているので、離乳食感は消えて、野菜たっぷりのご馳走スープ風になっています。

次回はリチェッタを紹介しているフランスのズッパをもう一品紹介します。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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2023年9月2日土曜日

(CIR)クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ7月号発売しました。


『クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という老舗のイタリア料理月刊誌2誌のリチェッタと食文化の記事を日本語に翻訳したものです。
とても面白い雑誌なのに、イタリア語だとわからなくてもったいない、という思いから翻訳をするようになり、多くの人に読んでもらえるように小冊子を作るようになりました。イタリアの食文化の記事に関しては、イタリア人が発するイタリア人も納得するような深い情報です。
頑張って翻訳していますのでぜひご利用ください。

今月の特集リチェッタはズッパ・ディ・ペッシェ。



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2023年6月7日水曜日

パスタ・リッシャのバリエーション、シンプルな平麺と思いきや、たくさんあります。

手打ちパスタことパスタ・フレスカの教科書のような本、スローフードの“スクオラ・ディ・クチーナ”シリーズ『パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ
の“パスタ・リッシャpasata liscia”の章を読んでいたら、まだまだ初めて見る平麺のパスタがこんなにあるんだ、ということを知って、改めてびっくりしてます。
平麺のバリエーションなんて、太さの違いぐらいしか思いつかなかったのですが、粉の素材が小麦、そば、ひよこ豆など、さらに平麺に切ってからねじるパスタの一つ、ウンブリアのパスタ、ストランゴッツィstrangozziや、よく似たマルケのタジューリtajuliなど、いくらでもありそうです。
ストランゴッツィ。

タジューリ。

型押しして作るリグーリアのコルゼッティも、パスタ・リッシャから作る麺。


タジューリは香草入りパスタです。ここでようやく今回のテーマ、“春のパスタ・フレスカ”の話になります。

詳しくは次回。


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2023年5月20日土曜日

ミラノ料理の王様子牛肉は、イタリアの他の地方では滅多に見ない食材。

トリュフとロッシーニに続くマルケの食材、最後は牛肉です。
北と南は何かと注目されるイタリア料理ですが、中央イタリアにもなかなかユニークな食文化があります。
イタリアの牛肉と言えば、トスカーナのキアニーナが有名。
世界最大の牛の一種、キアニーナ。
野性的な品種で病気に強く、放牧に適している。ミルクの量は少ないが肉は上質。

この牛をロマニョーラ種、ポドリカ種などと交配させて誕生したのがマルキジャーナです。
マルキジャーナ。
丈夫なため、長い間畑での労働力として利用されていました。ミルクの量は少ないけれど、肉は美味しい品種。

そしてこれらのトスカーナやエミリア・ロマーニャ、マルケの牛を一つにまとめたブランド牛が、ビテッロ―ネ・ビアンコ・デル・アッペンニーノ・チェントラーレ。

そもそも子牛が特別な肉、というか、子牛肉vitello(ビテッロ)なんて、見たことない、という人もいるはずですが、そこにさらにビテッロ―ネvitellone と言われても、正直イメージわかないですよね。
私もミラノ料理の本『クチーナ・ミラネーゼ

に、ミラノ料理のスターは子牛肉だ、とあるのを読んで初めて、子牛肉がイタリアでも特別な肉だということを意識したのでした。というか、ミラノ料理以外に、子牛料理がポピュラーなイタリアの地方料理なんて、思いつかないし・・・。
子牛肉料理はフランス料理や強力な貴族階級が存在する地方にしか需要はなかったはず。

という訳で、ちょっと考えれば、子牛肉はかなりマイナーな肉と分かるのでした。
いい機会なので、ここでイタリアの牛のことをざっと見てみましょう。
そもそも牛は、ミルク、肉、労働力という目的のために飼育されました。
イタリアの牛は、アジア原産の、労働力として伝わったものや、ゲルマン人の大移動によって伝わったものなどがあります。
労働力といっても、ちょっとした力仕事程度ではなく、重労働をこなす牛が求められました。

イタリアに定着した品種の中でも、かなり過酷な環境でも順応する丈夫さがあり、上質のチーズになるミルクを出す、という特徴があったのが、ポドリカ種です。飼育数は大幅に減りましたが、肉の質の評価も高い品種です。

カラブリアのポドリカ種。

ロマニョーラ種はポドリカ牛がルーツ。ロマーニャ地方とベネトの一部だけで飼育されている。昔は労働用と食用の両方に使われていた。皮の下に厚い脂肪層があるのでグリルやローストに最適。


マレンマ種もルーツはポドリカ種。野生の放牧に適していて飼い葉が少なくてもミルクをたっぷり出し、肉もジューシー。

ピエモンテーゼはイタリアを代表する中型の牛。ミルクより、特に若牛の肉が評価されている。赤身でコレステロール値が低く、ボッリートや生で食べるのに最適。

キアニーナ、ロマニョーラ、マルキジャーナがビテッロ―ネ・ビアンコ・デッラ・アッペンニーノ・チェントラーレというIGP製品に認定された。
農業が機械化されるにつれて牛の需要が変わり、肉用の品種が求められるようになった。
ということは、大きな牛ほど肉がたっぷりとれるわけで、丈夫な牛より大きな牛の時代がきた。半野生の状態で飼育するので、各地の森との環境の結びつきも強い。生物多様性の象徴の一つ。
そんな子牛肉の代表的料理は、ロースト。
この話は次回に。

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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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イタリアの新しいマスター・オブ・ワインが選ぶコンテンポラリーな赤ワイン。

イタリアの新しいマスター・オブ・ワイン、アンドレア・ロナルディが提案するPinosophyの概念。イタリアの食の分野のカリスマたちは、深い哲学への造詣がある人が多く、言ってることの意味が分かるまで、かなり苦労します。マスター・オブ・ワインも例外ではありません。なので、それなりにか...