2023年9月9日土曜日

卵を使うアイオリで煮汁にとろみをつけるプロバンスのズッパ・ディ・ペッシェは黄色く、トマトを使う南伊のズッパは赤い。


(CIR7月号)から、“ズッパ・ディ・ペッシェ(P.24~)”の話題です。
きのうはマルセーユのブイヤベースでしたが、プロバンスのマルセーユはリグーリアを経由して、イタリアのティレニア海側の海岸とほとんどつながっているような場所でした。でも、海岸のどこかで、ブイヤベースとズッパ・ディ・ペッシェは違うスープになりました。
今月の“パッパ・ディ・ペッシェ”の記事にも、フランスとイタリアのズッパ・ディ・ペッシェが載っています。マルセーユのブイヤベースと、もう一つのフランスのズッパは、その洗練された見た目からすぐに分かります。“ブーリドbourride”です。
ブロードにアイオリを加えてつなぐのが特徴。煮汁と魚を別々にサーブするブイヤベーススタイル。イタリアの、というかトスカーナのパンコットはパンでつなぐタイプでした。
さらに南に下ってカンパーニアやイオニア海、アドリア海側になると、トマトを加えてとろみをつけました。ズッパ・ディ・ペッシェも赤くなります。



記事にはナポリのズッパもありました。ムール貝と野菜のズッパです。ナポリではパスクアの前の断食の時期の聖木曜日に食べる料理です。言い伝えによると、ナポリ王で魚好きだったブルボン朝のフェルディナンド1世が、ポジリポのムール貝が食べたいと所望して、たっぷりのムール貝料理を作らせたことが教会関係者の耳に入り、貪食の罪にあたる、と非難されたのだそうです。そこで、現実には、四旬節の期間にふさわしい質素なスープ、つまり、ムール貝よりもっと手ごろな値段で手に入る貝などを使った料理にアレンジされて、それが庶民の間に広まったのだそうです。なので下の動画ほどゴージャスじゃないかも、むしろ(CIR/P.26)のリチェッタのように野菜たっぶりのズッパだったようです。


ポジリッポのムール貝のズッパ。最近の海水温の上昇で、ムール貝が減ってるらしい。

ポジリポPosillipo

教会の話が出てきたところで、次のリチェッタは“パンと水”です。

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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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