2023年9月27日水曜日

アンチョビバターのスパゲッティは、究極のモンテ・エ・マーレな料理だった。

アンチョビとパン粉という相性抜群のパートナー。
ここにオリーブオイルが加われば、三位一体級の至高の完成形。
ただ、オリーブオイルの座を危うくする存在があります。
バターです。
アンチョビバターは、フライパンにバターを熱し、流水で塩抜きしたアンチョビを入れて溶かし、バジリコとタイムのみじん切り少々と室温のバターを加えて混ぜます。これをオーブンシートに開けてひとまとめにし、潰したピンクペッパー数粒を散らして冷蔵庫で固めます。
パンのクロスティーニに塗ったり、ビアンコのパスタや薄切り肉の調味に使えます。

アンチョビバターのスパゲッティ。

シンプルで素朴な料理は素材を徹底的に吟味する、という鉄則通り、アルティジャナーレなバターにスペインのカンタブリア海のアンチョビ、ソレントのレモン、上質のパスタが材料。パスタは溶かしたアンチョビバターの中でリゾッタートの方法で煮ます。

下の動画では、カリカリのパンとイタリアンパセリ、アンチョビをミキサーにかけて溶かしたバターに加えています。バターの質は上の動画とは明らかに違いますねー

ジャンフランコ・パスクッチシェフ(al porticciolo/レッコ)のアンチョビバターのスパゲッティ。

・潰したアンチョビ、室温のバター、乾燥オレガノをホイッバーで混ぜ合わせます。
・昆布、青魚の骨、パルミジャーノの皮でとろ火で20分煮て濾してダシを取ります。
・パスタはスパゲット―ネを使います。
・ソテーパンにダシ少々、アルデンテにゆでたパスタを入れてなじませ、アンチョビバターを加えてマンテカーレします。仕上げに唐辛子風味のオイルを垂らします。

これは和風とイタリアンの見事な融合ですね。
もしバターがフランス産でアンチョビがスペイン産だったら、EU風も入ってますよ。


山小屋のバター。

バターとアンチョビのクロスティーニ。

バターはアルティジャナーレのもの。
・パンをトーストする。
・アンチョビは流水の下で開いて骨を取る。
・パンにバターを塗ってアンチョビをのせる。

バター・アルティジャナーレ。


アンチョビバターは海のアンチョビと山のバターの組み合わせ。究極のマーレ・エ・モンティな味。
ところで、動物性脂肪のバターは、イタリアでは少数派。オリーブオイルの国ですから。イタリアで動物性脂肪が普及した地方は、北です。

イタリアを北と南に分ける線は、リミニとガルファニャーナを結ぶ“ゴシックライン”です。
この線は、第二次世界大戦のドイツの主要防衛線でもありました。この防衛線へのドイツ軍の攻撃は、オリーブ作戦と呼ばれました。バター作戦よりは強そうだけど、アンチョビ作戦になってたかもね。

ゴシックライン。

こんな山の上で、戦争してたんですね。
それにしてもドイツ人のイタリア料理に対する深い理解には驚かされます。
動物性脂肪というテーマはなかなか面白いので、次はこの話。

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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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