2021年8月1日日曜日

スカンピのスパゲッティはベネチアでは新しい料理。

今日のお題は甲殻類のリチェッタです。
まずは、足を踏み入れる前から美味しい甲殻類の予感が押し寄せる街、ベネチア。

アドリア海の漁↓

きのう、アドリア海はスカンピが美味しいと書いたので、まずはスカンピのパスタから。
ベネチア料理の本、“グイド・トンマージの地方料理シリーズの”『クチーナ・ディ・ベネチア

には、スカンピのパスタことスパゲッティ・アッラ・ブーザラspaghetti alla busaraについて、こんなことが書いてありました。
これは最近ベネチアに広まった料理。
ベネチアでは、そもそも乾麺は(bigoli↓を除いて)あまり人気がない。


この料理は、一説ではアドリア海の対岸、スロベニアやクロアチアがあるイストラ半島発祥の料理で、トリエステなどイストリア地方ではとても人気がある、と書かれています。
下の動画ではスカンピのブーザラ風、と呼んでいます。

イタリアではよく使われる話、スパゲッティ・ボロニェーゼ(スパゲッティ・ミートソース)はない、というのを思い出しました。北イタリアではスパゲッティはよそ者の料理なのですねー。
ベネチア料理の話の時も、イカ墨のスパゲッティじゃなくてリゾット、という話をついしてしまいます。
ブザーラというのは使う鍋の名前、という説と、トマトで覆うのでごまかしやすいという“嘘busia”という意味という、何やら怪しげな説があります。

本のリチェッタは、Spaghetti alla busaraスパゲッティ・アッラ・ブーザラ(ベネチア風スカンピのスパゲッティ)
材料/4人分
スパゲッティ・・320g
スカンピ・・12〜14尾
ホールトマト・・300g
EVオリーブオイル・・大さじ4
白ワイン・・1/2カップ
にんにく・・1かけ
塩、唐辛子
イタリアンパセリ、パン粉(好みで)

・にんにくを油でソッフリットにし、焼き色がついたら取り除く。
・スカンピを加えて蓋をし、数分熱する。
・穴開きレードルでスカンピを取り出し、食べやすくする場合は4尾はまるごと残して残りは殻をむく。
・鍋を再び火にかけ、ホールトマトを加えてフォークで潰して崩す。
・ワインを加え、火をやや強めてアルコール分を飛ばす。
・蓋をして弱火で煮る。
・パスタをゆでる。
・パスタのゆで汁少々をトマトソースに加え、スカンピも加えて蓋をして煮る。
・塩味を整え、好みで唐辛子を加える。
・ソースにスパゲッティを加え、パン粉(好みで)とイタリアンパセリのみじん切りを散らす。
皿に盛り付けた姿を見ると、スカンピのはさみが圧巻です。スカンピの赤い色とトマトの相性もバッチリ。スカンピは手づかみで食べてますね。

次はスカンピのリゾットrisotto agli scampi。
ベネチア人に人気の定番料理です。
そのせいか、バリエーションは無数にあります。
スカンピの代わりにシャコを使うタイプも。
スカンピのリゾット↓


材料/4人分
スカンピ・・350g
米(ビアローネ・ナノ)・・4カップ
玉ねぎ・・小1個、またはエシャロット2個
白ワイン・・1/2カップ
EVオリーブオイル・・大さじ4
バター・・30g
イタリアンパセリ・・少々
塩、白こしょう
にんにく・・1かけ(好みで)

・大鍋に水1㍑、にんにく1かけ、白こしょう数粒を沸騰させ、塩少々を加える。再沸騰したらスカンピを入れてさっとゆでる。
・色が変わったら穴開きレードルで取り出し、殻をむく。再沸騰したら殻を加える。
・玉ねぎかエシャロットを薄く切り、油で色がつかないようにソッフリットにする。米を加えてさっと炒める。ワインをかけてやや火を強め、アルコール分を飛ばす。殻をむいたスカンピと殻のブロードを加え、ブロードを足しながらリゾットに煮る。
・塩味を整え、仕上げに冷蔵庫で冷やしたバターでマンテカーレする。
・皿に盛り付けてイタリアンパセリのみじん切り少々を散らす。

米は、ピエモンテ派はカルナローリですが、ベネチア派はベネト生まれの小粒のビアローネ・ナノです。
ベネトのリゾットに求められるのは、アッラ・オンダall'ondaなこと。仕上げにマンテカーレして汁だくでしっかりとろみがある状態にします。

カルナローリは、激しくマンテカーレしても煮崩れない米、という印象です。

ピエモンテとベネトのリゾットを食べ比べる、というのは考えたことなかったけど、やってみたら面白そう。そもそも米が違うのだから、両者はかなり違うはず。
ベネチアの有名店、『ハリーズ・バー
の本を見て、ベネトでスパゲッティは人気がない、ということに今更ながら気が付きました。
そもそも、スパゲッテイのリチェッタは1品もなかったのです。
いえ、正確には1品だけ、ペペロンチーノがありました。他のパスタはすべてタリオリーニでした。
あとはリゾットです。もちろんイカスミのスパゲッティもありません。イカスミはリゾットです。
ハリーズ・バーのメニュー、次回に続きます。

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