今日のお題も復活祭ですが、これをキリストの復活と取ると宗教の話になっちゃって、難しくなりすぎるので、春の復活ぐらいにしておいてください。さらには命や希望の復活の意味も込められています。
そしてそれを象徴する食材として今回は、リコッタを選んでみました。
リコッタは羊の群れを象徴した繁栄を願う食材。
2019年とかなり昔の記事ですが、2019年の『サーレ・エ・ぺぺ』4月号には、復活祭についてこんな解説が載っていました。
「キリスト教に取って子羊は、キリストの犠牲と人間の救済の象徴だが、キリスト教以前の宗教にとっては、再生のシンボルだった。
生まれたばかりの動物とミルクもすぐに結びついた。子羊や子山羊のためのミルクはフレッシュチーズやリコッタにしてイタリア中でケーキやパイなど様々な料理やドルチェに使った。・・・」
とあります。
記事の最後はこう締めくくられていました。
「復活祭の料理は地中海の暮らしと強く結びついている。春の野原にたくさんある野草、アスパラガス、野生のビエトラ、チコーリア、フィノッキエットなどのほろ苦い野草は飾りとして使われたり、肉を食べないマーグロな食事には欠かせない食材でもあった。・・・」
出産を終えたヤギのミルクから作る南伊のチーズがあります。
ジュンカータgiuncataと言います。イタリア最古のチーズの一つで、製法は中世から知られているそうです。名前の語源は納豆のような形に包むこの葦、giuncoのこと。一切熟成させずにできたてをすぐに食べます。
羊やヤギの移牧は9月から春にかけてで、夏の間はミルクを出しません。リコッタのベストシーズンは移牧が終わって新鮮な草をたっぷり食べてミルクを出す季節だそうです。
復活祭の食材、ちょっと意外なところでは、アーモンド。
手に入りやすい地方かどうかによって差はあるが、殻に包まれていたり、夏の終りに熟すことなどから復活祭の宗教的なシンボルとして用いられる食材で、様々なパンやパスタソース、肉料理、デザートに使われる。縁起のよい食べ物と考えられ、結婚式や春を祝う祭りにアーモンドのドルチェは欠かせないとされる。・・・」
リコッタはそれ自体がクリーム状で簡単にパスタのソースになりそう。
カンノーリというリコッタのドルチェの傑作があるシチリアにはリコッタのパスタもあるに違いないと思って、シチリア料理の本を探してみました。
すると、“グイド・トンマージ地方料理シリーズ”の『クチーナ・シチリアーナ』に、フレッシュなリコッタの真っ白なパスタがありました。
リチェッタを訳してみます。
リコッタのパスタ/pasta con la ricotta。
セダニーニタイプのショートパスタ・・400g
新鮮な羊のリコッタ・・250g
塩、たっぷりのこしょう
・パスタをゆでる。
・リコッタをパスタのゆで汁1カップでのばし、パスタをあえる。
・たっぷりの粗挽きこしょうをかける。
この料理のポイントはリコッタの新鮮さなので、手に入らなければあきらめる、と書いてあります。
確かにおっしゃる通りなのですが、一応、羊飼いが近所にいない人のために、都会人向きのリチェッタも探してみました。
リコッタのパスタ/pasta e ricotta。
材料/
生クリーム・・70g、塩、黒こしょう
おろしたパルミジャーノ・・70g
牛乳のリコッタ・・350g
フジッリ・・320g
・パスタをゆでる。
・その間にソースはできる。
・リコッタを裏濾ししてなめらかにする。牛乳のリコッタはマイルドな味。水牛のリコッタはもっと強い味。パルミジャーノ、生クリーム(軽くしたい時は牛乳、またはパスタのゆで汁で薄めた生クリーム)、塩、こしょうを加える。パルミジャーノ・ロマーノならもっとピリッとした味になる。仕上げにタイムを加え、ゆで上がったパスタを加える。
羊飼いのリコッタを使うとこうなります。
これは、まさにカーチョ・エ・ぺぺですね。
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