2022年11月22日火曜日

イタリア料理の地理的分類は、北と南、山と海とポー河。

このところ取り上げているのはマントバ・カボチャことズッカ・マントバーナ。
日本でいういわゆる西洋カボチャで、その甘さが特徴。
代表的なリチェッタは、トルテッリ、リゾット、ニョッキなど、カボチャの甘味を活かしたもの。
イタリアの地方料理を分類するときは、まず、北か南に分けます。次は山か海。この分け方が一般的だと思いますが、カボチャを語るときは、もう1つのイタリアならではの特殊な地理が登場します。それはポー河です。アルプスからアドリア海まで、イタリア北部を横断するイタリア最長の河で、その流域を豊かに肥えた農業に適した土地にしながら流れていきました。
ポー河の流域↓

カボチャのトルテッリについては今月の(CIR)の特集記事の一つ、“ポー河添いのラビオリ”で詳しく説明します。
今日のお題はカボチャのリゾットです。ポー河流域は、米の産地としても知られています。というか、むしろポー河を象徴する食材が米です。ポー河だけでなく、ミラノとロンバルディアを象徴する食材でもあります。
グイド・トンマージの地方料理書『クチーナ・ミラネーゼ

によると、北イタリアの米の栽培は16世紀後半にマントバとパビアの間で始まりました。そしてベルチェッリやノバーラといった代表的米の産地へと広がっていき、ミラノの伝統料理に欠かせないものとなっていきます。
マントバのカボチャはミラノの米料理、つまりリゾットと結びつきました。この地方の米は、リゾットに適していることを目的に作り出されました。
それは、アミロースの含有量が多い米です。でんぷんが多い米はマンテカトゥーラを助け、バターやチーズの量を減らすことができました。
マンテカーレ

マンテカトゥーラはリゾットだけでなくパスタにも欠かせないテクニック。油脂を利用するのが一般的ですが、甲殻類の殻や貝も利用できます。

クリーミーさとマイルドさを追求する料理、リゾットにカボチャはぴったりでした。

マントバカボチャのリゾット

カボチャのニョッキ


=====================================
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
[creapasso.comへ戻る]
===================================



0 件のコメント:

地中海の豚の塩漬けと、北欧のスモークの技術が結びついた豚肉の保存食、スペック。塩だけでなく、山の空気がポイント。

アルト・アディジェの料理の話の前に、今日は、アルト・アディジェの最も重要で、アルト・アディジェを象徴する産物、スペックの話です。 スペック。 スペック・デッロ・アルト・アディジェigp。1996年にigp製品になっています。 スペックは地中海沿岸の生ハムと、北欧のスモークの技術が...