2022年11月7日月曜日

1900年代初めは、硬質小麦粉のパスタは北イタリアではアイスランドのバナナより珍しかった。

今日はイタリア利用理の歴史の話。
『クチーナ・イタリアーナ』の2020年11月号に“米とパスタ、デュエット・イタリアーノ”という記事がありました。
米かパスタかと言っても、別にこの2つはライバルではありません。むしろこの2つの食材の組み合わせは、とても幸せで最高の組み合わせです。
このことに最初に気が付いたのはグアルティエロ・マルケージシェフでした。
2004年に出版されたアルタ・クチーナの月刊誌、『グラン・グルメ』誌で、イタリアに初めてヌーベル・キュイジーヌが紹介されました。マルケージシェフは、ヌーベル・キュイジーヌからインスピレーションを受けて。米とパスタ両方がある料理を考えつきます。
アッラ・オンダのリゾットを皿に敷き、その上にトマトとグアンチャーレのパスタ、リガトーニ・アッラ・アマトリチャーナ↓をのせたものでした。

リゾットをマンテカトゥーラしてリゾット・アッラ・オンダの状態にする↓

彼の発明する料理は、常に多少難解だったので、これを見て、多くの人が、またか・・・。と思ったかもしれません。何しろ、1900年代初めは、硬質小麦粉のパスタは、北イタリアではアスランドのバナナより珍しいものでした。ちなみにこの一説はジャン・カルロ・フスコという作家が書いたものです。
 ちなみにアッラ・オンダのリゾットとは、ミラノ風リゾットの理想の状態を表す言葉。
イタリアを象徴するのはピッツァの時代でした。南イタリアでは、パスティッチェ―リは定番のパネットーネを造り、ナポリではサフランのリゾットを試しに作ってみる、という時代でした。ナポリから数十㎞離れたグラニャーノは、ちょうどパスタの街として出来上がってきた頃。イタリアを代表するグラニャーノのパスタメーカーの代表は、パスティフィーチョ・ガロファロ↓

米とパスタの話をする時は、北と南の食文化の違いを話すことになります。でも、現代のイタリア料理事情は、変化しているようです。

記事ではガロファのグローバル・マーケティング部長が語っています。
世界中の若者を引き付けているつまり、イタリアを象徴するプリーモは、なんだと思いますか?
多分1品は簡単。カルボナーラです。で、もう1品あります。

さて、なんでしょう。カンタブリコのアンチョビのパスタです。
カンタブリコのアンチョビは、世界一のアンチョビと評価されていますが、もはやイタリア産ではなく、スペイン産です。地中海にはいないアンチョビです。まあ、アンチョビに国境はないもんね。そして消費者の品質管理のチェックは一段と厳しくなっています。スペインの缶詰の品質もチェックするノウハウが広まってるんですね。多国籍の大企業の得意分野かも。生地ではイタリア最大の食品グループBFspAの海外市場担当者にも話を聞いています。米もパスタも造るこのグループは、イタリア内外に革命を起こしています。
カンタブリコのアンチョビ↓

パスタか米かなんて言ってた時代は遠い昔になったんですね。
明日に続きます。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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