2022年11月30日水曜日

アドリア海を象徴する料理、ブロデットは煮汁を味わう料理。トマトが普及して煮汁は金色から赤に変わった。

今日のお題はズッパ・ディ・ペッシェです。(CIR)12月号のP.8を見てください。
ズッパ・ディ・ペッシェは漁師が売れ残った魚で作るごった煮のイメージがありましたが、これはなかなか美しいズッパ・ディ・ペッシェです。
ズッパ・ディ・ペッシェはアブルッツォはペスカーラの名物。別名ブロデットとも呼びます。『イタリア・イン・クチーナ

によると、アブルッツォの沿岸部で一番晩有名なズッパ・ディ・ペッシェだそうです。売り物になりにくい魚を使った質素な料理で、アブルッツォでは安価な料理として大人気。レストランのセコンド・ピアットの定番になっています。あん肝入りやパプリカ入りなどもあります。中でもバストのブロデットは有名。
でも、煮汁がメインの料理なので、見た目はさほど・・・。


『イタリア・イン・クチーナ』によると、ブロデットはローザ・エ・オーロとも呼ばれていました。つまり、金と赤。赤というのはおそらく、アメリカから伝わったトマトと唐辛子が普及して、この地方のブロデットは赤くなった、ということです。つまり、もともとは白“ビアンコ”だったのです。というか、トマトが入らないと金色、ということでしょうか。
それでは次に(CIR,P.16)の料理を見てください。魚のスペッツァティーノspezzatinoという料理名ですが、これはズッパ・ディ・ペッシェです。しかも、金でも赤でも、白でもなく。薄緑です。
ズッキーニのクリームを敷いているのです。
ズッパ・ディ・ペッシェは煮汁を味わう料理なのでかなり大胆なアレンジ。
ちなみに現在はロッソが人気。
一緒に飲むワインはトレッビアーノ・ダブルッツォ。

下の動画はバストのブロデット。


この料理を作るには、漁師や魚屋さんともお馴染みになっておかないと。
魚より野菜が身近な地方だったら緑色のズッパ・ディ・ペッシェもありかも。

バストの漁師。ブロデットじゃなくてブルデッタだって。何言ってるのかほぼわからないけどバストのお母さんたちとはばっちりコミュニケーション取ってる。




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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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