パスタを乾燥させるのにポー河の霧が最適だったとは知りませんでした。
そう言えば、最近はディチェコの袋に上質パスタの条件は低温乾燥とブロンズのダイスなんてプリントされていて、低温で長期乾燥させるのが上質パスタの条件、ということが知れ渡ってきているような・・・。
スローフードのパスタの本、『パスタ・フォルメ・デル・グラノ』には、パスタの乾燥温度について、こんなことが書かれています。
アルティジャナーレのパスタの乾燥温度は一般的に40~60℃で、工場製品のパスタの乾燥温度は100℃です。
パスタが大衆の空腹を満たす食べ物だった時代は、値段の安さが重要でしたが、その後、研究が進んで上質のものが生み出されるようになると、どうすればパスタは美味しくなるのかが科学的に研究されるようになりました。
そして発見されたのが、ゆっくり乾燥させると、タンパク質を始めとするパスタの栄養価や風味が損なわれず、色もよく、煮崩れしにくくなる、ということ。
これは小麦の質にも左右されます。なので小麦の研究も進みました。
さらに、ソースを絡みやすくするには、表面の凹凸が必要で、この問題を解決したのがブロンズのダイスでした。
らに、手打ちパスタも自然とこの問題を解決していました。
エミリア・ロマーニャでは、麺打ち職人は、スフォリーネと呼ばれます。
軟質小麦粉と卵の生地を薄く伸ばす熟練技を持つ女性職人のことです。
ボローニャの人気店、トッレ・プレンディパルテ(店のwebページはこちら)のシェフが作るタリアテッレ・アッラ・ボロニェーゼ↓
・小麦粉と卵を混ぜて均質になったら端の生地を集めながらなめらかな生地になるまでこねる。生地の状態は経験でわかるようになる。
・生地を休ませて伸ばしやすくし、麺棒を中央に置き、生地を回転させながら外側に向かって伸ばし始める。
「総合解説」2019年1/2月号P.21にもある通り、作業台で伸ばしたパスタは表面がざらざらになり、ラグーなどのボディーがあるソースを絡めるには理想的な麺になります。
エミリア・ロマーニャでは台の木材にもこだわります。
最適なのはポプラのような柔らかい木。
さらに、打ち上がった麺を巣の形にするのは乾きにくくするため。
打ち粉にセモリナ粉を加えるのも凹凸ができやすくするため。
軟質小麦粉のパスタの特徴は、透き通るほど薄く伸ばせる、ということ。タリアテッレの平均的な厚さは2mm、タリオリーニは3mm。
パスタマシンを使えば簡単でも、手打ちの場合は主婦のプライドをかけた熟練と忍耐が必要な作業。
お母さんがキッチンでふうふう言いながらパスタを薄く伸ばしていたら、尊敬しちゃう~。
次はソース。
下の動画はスフォリーナがシェフの店で、ラグーのトルテッリーニを注文すると、シェフが泣いちゃうよ、トルテッリーニ・イン・ブロードが正解だよ。という動画。
次回はソース。
「総合解説」
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