2020年10月14日水曜日

スペイン人が南米からヨーロッパに伝えたいんげん豆は、一種の革命を引き起こし、ヨーロッパに最初に伝わった黒目豆より広まった。

ベネト料理2品めは、ちょっと訂正。
訳したリチェッタは今月の「総合解説」P.16に載せましたが、その際、“ラモン豆のズッパ”としました。
でも、正確にはラモーン豆でした。
カモーンと同じ発音です。
ラモンじゃなくてラモーン豆。
初めて聞く名前でしたが、
イタリア料理の情報がたくさん載っている便利な本、1001スペチャリタ・デッラ・クチーナ・イタリアーナによると、
ボルロッティ豆の一種で、ベッルーノ渓谷地方の名物。
ということはいんげん豆のことですね。
ベネトの山岳地帯で栽培されています。
ラモーンLamonとは、栽培が広まった場所の地名。
ベルーノ県の小さな町です。
湿度が低く昼夜の気温差が大きいというこの地方の特殊な気候の元でのみ育つ品種。
ラモーン豆↓
ポレンタになったとうもろこし同様南米から伝わって、貧乏人のパンと呼ばれる貴重な食料としてこの山の中に広まったのでした。

この地方の各種の伝統料理にもたくさん使われています。
中心は、ミネストローネやズッパです。
野菜ととても相性の良い豆ですが、パスタや肉、魚、ボディーのある赤ワインにも合います。
毎年9月の第3週末に市場で行われている展示は料理や使い方を知るチャンス。

「総合解説」のリチェッタはズッパですが、先日紹介した栄養価が優れたオルゾも加えています。
さらにベーコンとじゃがいも入りで、冬の栄養たっぷりのミネストローネです。

ミネストローネと言えば、今月の『クチーナ・イタリアーナ』のリチェッタには“3種のいんげん豆とミネストローネ”のリチェッタもあります。(P.6)
この料理で使っている豆はボルロッティ、カンネッリーニ(白いんげん)、キドニービーンズの3種。
イタリアの冬の料理と言えば、やっぱり山岳地方の豆のスープですよね。

ちなみに、ズッパとミネストラはどう違うのか、という疑問に答えているのが、「総合解説」2012年11月号の小さな記事。
「minestraは、minestrareという言葉が語源。
様々な意味のある言葉だが、その中の1つにスーブを注ぐというものがある、と説明しています。
一方zuppaはドイツ語のsuppaが語源で、スライスしてぬらしたパン、という意味がある」
これらのことから推理して、パンを入れるのがズッパ、という少々無理やりな結論ですが、イタリア人の間でも答えが出ていない疑問のようです。

前述の本、1001スペチャリタ・デッラ・クチーナ・イタリアーナには、ラモーン豆を始めとして様々な種類のいんげん豆が載っています。
イタリア料理には欠かせない食材です。
まずはいんげん豆のことを知っとかないと・・・。

「総合解説」2004年9月号には、こんな記事がありました。

 16世紀初めに征服者のスペイン人が新世界からヨーロッパに持ち帰ったいんげん豆は、一種の革命を巻き起こす。
 この新しい豆は、古代ローマから知られていた小粒のファジョーリ・デル・オッキオfagioli dell'occhio(黒目豆)とは違っていた。
違うだけでなく、もっと優れていた。
 当初は抵抗を受けたものの、結局は古い豆を完全に凌駕してヨーロッパ中に広まり、食の世界で重要な地位を占めるまでになった。
 いんげん豆はタンパク質を豊富に含みながら、肉、魚、チーズより安く、乾燥させれば何年もの間簡単に保存することができる。
 フランス語でいんげん豆を意味する“アリコharicots”という言葉はメキシコのayacotlが語源となっている。
 イタリア語のファジョーリfagioliはラテン語のphasecolusが語源で、これは古代のファジョーリ・デル・オッキオから来ている。

昔、ブラック・アイド・ピーズってバンドがいたけど、今どうしてるのかなあ。令和の子たちは知らないかなあ。
このバンドのおかげで黒目豆のことを知りましたよ。
ファジョーリ・デル・オッキオ↓

ファジョーリ・デル・オッキオはヨーロッパに最初に伝わった豆の子孫で、原産地はアフリカとアジアの熱帯地方。
特にトスカーナではこの豆を使った料理が多く残っています。
他の豆と比べて軽い酸味と青みがあり、サラダに向き、生で食べることもあります。

ちょっと軽い気持ちで足を踏み入れたいんげん豆の世界。
超奥が深そうです。
次回に続きます。


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1001スペチャリタ・デッラ・クチーナ・イタリアーナ
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