2020年6月18日木曜日

バリバリアメリカンなスパゲッティ・ミートボールをイタリアンにするには。

今月の「総合解説」で、アブルッツォ料理として紹介しているのは、ミートボールのキタッラと、アッロスティチーニ。どちらもアブルッツォの代表的な料理。
というか、正確には、ミートボールのパスタは、アメリカで大人気の家庭料理です。

ディズニー映画『わんわん物語』の有名なシーンでわんこたちが食べている料理です。

多分、大手のメーカーがお手軽にできるように製品化してアメリカ中に広まったんだろうなあ。
なので、スパゲッティ・ミートボールとミートボールのキタッラを混同しないように、
この料理のルーツ、アブルッツォの食文化を知っとくことは、案外大切かも。
アメリカンなスパゲッティ・ミートボール

イタリアンなミートボールのキタッラ

リチェッタは「総合解説」p.14。
両者の大きな違いは前者はパスタがスパゲッティで後者がキタッラ。
ミートボールは牛肉でパロッティーネpallottineと呼ばれ、ヘーゼルナッツ大の小粒。
小粒なおかげでアメリカンな雰囲気はかなり薄まる。
肉は牛・豚・子羊のミックス。
羊の移牧で知られるマイエッラ山地の農民の料理がルーツなので、子羊の首や肩の肉は欠かせません。

小粒のミートボール、パロッティーネのキタッラは、テーラモの料理。
この町には、同じくパロッティーネを使ったスクリッペッレのティンバロというご馳走があります。リチェッタは2012年5月号の「総合解説」P.2に訳しました。

アブルッツォ版ティンバロはクレープのティンバロ。

キタッラで、アブルッツォの食材を活かしたリチェッタは他にもあります。
その一つが、ラクイラ名物のサフランのキタッラです。
ラクイラのサフラン。

サフランを練り込んだ麺は黄金色のとても美しい麺です。

リストランテ・サンタ・キアラ(Ristorante Santa Chiara:Guardiagrele)のリチェッタをどうぞ。
Chitarine allo zafferano/サフランのキタッリーネ
材料/4人分
パスタ;
小麦粉・・300g
卵・・3個
ブロード;
にんじん・・1本
玉ねぎ・・1個
セロリ・・1本
トマト・・1個、塩
ソース;
じゃがいも・・300g
エシャロット・・1個
生クリーム・・大さじ3
パルミジャーノ・・80g
バター・・50g
サフラン・・数本とナベッリの粉サフラン20g

・小麦粉をフォンタナに盛り、卵を加えて10分こねる。
・なめらかな弾力のある生地になったらラップ包んで30分休ませる。
・生地を2つに分けて麺棒で薄く伸ばし、布巾にのせて乾かしてキタッラにカットする。
・野菜のブロードの材料と水1.5Lを沸騰させてて半分に煮詰め、ブロードを取る。ここにサフランを浸す。
・じゃがいもは皮をむいて薄切りにする。
・エシャロットのみじん切りをバターでソッフリットにし、じゃがいもを加える。ブロードで覆って煮て、柔らかくなったら生クリームを加えて撹拌し、塩味を整える。
・口の広いフライパンにブロードとサフランのソースを入れて3~4分なじませ、アルデンテにゆでたパスタを入れておろしたチーズでマンテカーレする。

キタッラは手打ち感が強い麺で、スパゲッティとは明らかに違う。
この料理はシンプルなじゃがいものソースでツルツル感も薄く、麺を味わう料理。


------------------------------------------------------- 
パスタ・フォルメ・デル・グラノ
 [creapasso.comへ戻る] 
 =====================================

0 件のコメント:

セナトーレ・カぺッリはすべての硬質小麦の父と呼ばれる小麦。たんぱく質の含有量が高く、貧者の肉、と言われるほどでした。

イタリア料理を象徴する食材、小麦の話を続けます。 硬質小麦と軟質小麦の区別は、1900年代初めに導入されました。 最も一般的なパンに使われる00タイプの小麦粉が軟質小麦粉で、硬質小麦からは若干大粒のセーモラsemolaを作りました。 軟質小麦と硬質小麦 セーモラは乾燥パスタの原料...