前回は小麦粉と水をこねる、という過程の話でした。
次はいよいよ、パスタ造りの醍醐味、成形です。
北イタリアの軟質小麦粉は、生地の特性を生かした麺棒で薄く伸ばす方法が普及しました。
南イタリアの硬質小麦粉は、パスタ・フレスカ(生麺)とパスタ・セッカ(乾麺)に別れます。
これまではパスタ・フレスカの話でしたが、ここで乾麺が登場します。
乾麺のパスタの作り方は、製粉sfarinareとこねるimpastareの次に、ダイスを通すtrafilare と乾燥essicareの過程が入ります。
小麦粉と水の生地は、そのままでは食べることができません。
湯に入れてゆでたり、ソースをかけて味をつけるといった作業が必要になります。
成形の目的は、生地を美味しく食べられる形にすることです。
生麺の成形方法の一番単純な方法は、ニョッキです。生地を少量取って豆粒大に丸めて筋をつければ完成です。
代表的なのはサルデーニャのマッロレッドゥスMalloreddus。
ちなみにリチェッタは今月の(CIR)の“各地の定番パスタP.20”の記事にあります。
パスタ・フレスカの基本の形、ニョッキの次は麺棒で薄く伸ばすパスタ・リッシャPasta liscia、指先や道具を使って成形するオレッキエッテやピチ、キタッラなど。
綿棒を使って薄く伸ばす技を追求したの結果生まれたのがボローニャのタリアテッレとスフォリーナsfoglina麺打ち職人という専門職。
この平らな生地から生まれるのはタリアテッレtagliatelleの他に、ピエモンテの細いタヤリンtajarinやトスカーナの太いパッパルデッレpappardelle、棒を使ってカールさせたシチリアのブジアーテbusiateなどがあります。
ブジアーテ
道具を使うパスタの大量生産用のアレンジが、ダイスを通すtriforaleです。
ディチェコのトラフィラーレ。
パスタの様々な形は、すべて美味しく食べるための工夫の結果です。
パスタ・リッシャは、ソースをかける食べ方のためのパスタ。
ソースは地元の特産物など身近な食材と食文化から生まれます。
パスタに詰め物をする方法もあります。ラビオリやトルテッリがそうです。パスタ・リッシャに対してパスタ・リピエーナpasta ripienaと呼ばれます。
詰め物をするパスタの生地は薄くて可塑性が要求されるので、軟質小麦粉が得意で硬質小麦粉の苦手な分野。特にボローニャなどポー河沿岸の地方では、この種のパスタの料理が普及しましたが、南イタリアでは放棄されたようです。
南イタリアでも、指先の器用さが要求されるパスタが普及しました。代表はオレッキエッテOrecchietteやカヴァテッリCavetelliなどです。北イタリアの器用さが要求されるパスタの代表はリグーリアのトロフィエTrofie
パスタ・リッシャからは小麦以外の粉のパスタや色付きパスタも誕生しました。
ロンバルディアのそば粉のパスタのピッツォッケリ
色付きパスタの代表はほうれん草入り緑のタリアテッレやラザーニャ。
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