2021年4月16日金曜日

イタリア料理史に残るマルケージのポロック。彼は冷製パスタを初めて一流料理にした天才だった。

今日のお題は、今月の「総合解説」の中で最もインパクトが強かった料理、“ポロック”です。
リチェッタはP.5。
ジャクソン・ポロックの抽象画を思い起こさせるような、美しい料理でした。
ポロックの代表作。

彼の独特の画法はアクション・ペインティングとかドリッピング・ペインティングと呼ばれて、世界中の芸術家に大きな影響を与えました。
イタリア料理界では、グアルティエーロ・マルケージという天才が、彼の絵からインスピレーションを受けて、“ドリッピング・ディ・ペッシェ(魚の雫)”というイタリア料理史に残る傑作を創り出しました。そのあたりについては以前ブログでも取り上げています(こちら)。
マルケージの“ドリッピング”。

これ以来イタリアでは、ポロックといえば、ニューヨークの抽象画家ではなく、マルケージのこのカラフルなソースを散りばめた料理のことを意味するようになりました。
ポロックのことは知ってはいましたが、リチェッタをちゃんと訳したのは初めてのような気がします。
というか、天才の料理は、どうやってもかなり複雑なリチェッタになりそうで、リチェッタを読む気も失せていたのですが、今回訳したリチェッタはかなりシンプルで、応用範囲も広いかも。
この料理は、分解すれば、3色の色鮮やかなソース、詰め物、ベシャメル、じゃがいものベースの6つからできています。
マルケージが遺した料理。

パスタの歴史の革命をあつめた傑作、『パスタ・レボリューション

では、パスタをアルタ・クチーナに導いた人物としてマルケージを詳しく紹介しています。
レストランで山盛りのスパゲッティを出していた時代に、ペンネ8本をアスパラガスの穂先のように盛り付けた料理を出したり、パスタは火傷するほど熱い湯気がたっているものが当然な時代に、冷製パスタを前菜として、オマールとキャビアを添えてサラダ仕立てにしたのがマルケージです。

イタリア料理の価値を高めることを常に目指していたマルケージが作った一流料理人の団体、レ・ソステの本グランディ・リストランティ・グランディ・シェフ
ママルケージチルドレンの中でも若手、ダビデ・オルダーニのイタリア地方料理の本、メイド・イン・イタリー



-------------------------------------------------------
グランディ・リストランティ・グランディ・シェフ
 [creapasso.comへ戻る]
 =====================================

0 件のコメント:

セナトーレ・カぺッリはすべての硬質小麦の父と呼ばれる小麦。たんぱく質の含有量が高く、貧者の肉、と言われるほどでした。

イタリア料理を象徴する食材、小麦の話を続けます。 硬質小麦と軟質小麦の区別は、1900年代初めに導入されました。 最も一般的なパンに使われる00タイプの小麦粉が軟質小麦粉で、硬質小麦からは若干大粒のセーモラsemolaを作りました。 軟質小麦と硬質小麦 セーモラは乾燥パスタの原料...