今日のお題は、今月の「総合解説」の中で最もインパクトが強かった料理、“ポロック”です。
リチェッタはP.5。
ジャクソン・ポロックの抽象画を思い起こさせるような、美しい料理でした。
ポロックの代表作。
彼の独特の画法はアクション・ペインティングとかドリッピング・ペインティングと呼ばれて、世界中の芸術家に大きな影響を与えました。
イタリア料理界では、グアルティエーロ・マルケージという天才が、彼の絵からインスピレーションを受けて、“ドリッピング・ディ・ペッシェ(魚の雫)”というイタリア料理史に残る傑作を創り出しました。そのあたりについては以前ブログでも取り上げています(こちら)。
マルケージの“ドリッピング”。
これ以来イタリアでは、ポロックといえば、ニューヨークの抽象画家ではなく、マルケージのこのカラフルなソースを散りばめた料理のことを意味するようになりました。
ポロックのことは知ってはいましたが、リチェッタをちゃんと訳したのは初めてのような気がします。
というか、天才の料理は、どうやってもかなり複雑なリチェッタになりそうで、リチェッタを読む気も失せていたのですが、今回訳したリチェッタはかなりシンプルで、応用範囲も広いかも。
この料理は、分解すれば、3色の色鮮やかなソース、詰め物、ベシャメル、じゃがいものベースの6つからできています。
マルケージが遺した料理。
パスタの歴史の革命をあつめた傑作、『パスタ・レボリューション』
では、パスタをアルタ・クチーナに導いた人物としてマルケージを詳しく紹介しています。
レストランで山盛りのスパゲッティを出していた時代に、ペンネ8本をアスパラガスの穂先のように盛り付けた料理を出したり、パスタは火傷するほど熱い湯気がたっているものが当然な時代に、冷製パスタを前菜として、オマールとキャビアを添えてサラダ仕立てにしたのがマルケージです。
イタリア料理の価値を高めることを常に目指していたマルケージが作った一流料理人の団体、レ・ソステの本『グランディ・リストランティ・グランディ・シェフ』
ママルケージチルドレンの中でも若手、ダビデ・オルダーニのイタリア地方料理の本、『メイド・イン・イタリー』「総合解説」
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