2021年4月11日日曜日

国産牛のミルクを守るための試行錯誤の末に生まれたパルミジャーノは奇跡と呼ばれ、イタリアのナンバーワンシェフに愛されて価値が高められていった。 

パスタ・エ・ファジョーリのベース(これは言い換えればイタリアの農民料理のベースとも言えるのでは)は、香味野菜のソッフリット。
これにコクを与えるのは豚肉やその脂身、豚皮、生ハムの骨、そして今月のリチェッタ(今月の「総合解説」P.2)にもある通り、パルミジャーノの皮などです。
パルミジャーノの皮は、ゆで汁に入れるのかな、ぐらいに思っていたのですが、ゆでてから角切りにして仕上げに加えてズッパの具の一つにするのでした。しかもゆで汁は豆の煮汁に使います。
パルミジャーノの皮からはパルミジャーノの出汁がとれるんですね。
そこで今日のお題はパルミジャーノ。

「総合解説」は『ラ・クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という2種類のイタリアの代表的料理月刊誌を中心に訳しているのですが、訳したい記事が多すぎると訳しきれず、もったいないなーと思いながらカットすることもしばしばです。

今月カットした記事の中に、パルミジャーノ・レッジャーノの職人を紹介する記事がありました。
40年間、1年365日、毎朝5時に起きてパルミジャーノを作っている58歳の職人の話でした。
モデナのカゼイフィーチョ・ロゾーラ・ディ・ゾッカというメーカーのパルミジャーノです。6軒ある協同組合の会員で、最高のパルミジャーノと評価されているパルミジャーノを作っています。
彼の仕事を紹介する動画がありました。↓

このパルミジャーノになるミルクは、ヴァッカ・ビアンカ・モデネーゼ↓と呼ばれる牛のミルク。


この動画で話をしているのはヴァッカ・ビアンカを飼育しているこの地域の代表的アグリトゥーリズモ、webページは(こちら)。
土着品種の牛ですが、近年、乳量の多い外国の品種に押されて消滅の危機にあり、現在では数百頭しか飼育されていないのだそうです。でも、地元が中心になってヴァッカ・ビアンカのミルク100%のパルミジャーノを作ってその価値を高めて、危機を乗り切ったそうです。手塩にかけて育てたビオのミルクから、一度の搾乳量を減らすなど、1日1万個作っていたパルミジャーノを1日1、2個にまで減らして各種の試行錯誤の末にそのパルミジャーノを作ったのがこの職人のいる製作所でした。
イタリアの奇跡と呼ばれているそうです。
そのミルクは“ヴァッカ・ビアンカの黄金”と呼ばれています。
こんなに子犬みたいに跳ね回っている乳牛初めて見ました。
この牛のミルクは甘いのが特徴で、タンパク質が多くて脂肪が少ないのだそうです。
ちなみに、この造り手の最初の得意客はマッシモ・ボットゥーラシェフでした。30ヶ月熟成のパルミジャーノを毎週1玉買っていたそうです。
世界一有名なイタリア料理人の彼は、モデナの食文化をバックアップしていることでも知られています。
この職人は、「パルミジャーノの本当の味わい方は、噛むのではなく、口の中で溶かす。そうすると、パルミジャーノのすべての香りが解き放たれる」と語っています。

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