2021年3月24日水曜日

リアルトはベネチアの文化で歴史。ただの観光名所じゃない。ナポリのアサリ抜きのボンゴレ。

スパゲッティ・ボンゴレのベネチアvsナポリは、世界的観光都市の魚市場という、上質の魚が集まるベネチアの特徴を活かしたアサリの品質にこだわったベネチア風と、ピエンノロ・トマトというナポリならではの他にはないトマトを組み合わせたナポリ風の対決でした。

ベネチアの魚市場は観光客向けなんて思っていましたが、ベネチア料理のベースを支えている存在だったんですね。

リアルトは文化であり歴史でした。
下の動画はリアルトで国産アサリを仕入れる様子。

観光客目線でないと、リアルトはまったく違う場所になります。
どこでも優秀な仲卸がたよりなんですね。アサリのことなら見極め方から料理まで、なんでも知ってます。
ここでもやってます。ベネチアの人は貝を1個ずつ叩きつけて空かどうか確認するんですね。
ベネチアではアサリをボンゴレじゃなくてカパロッソリと呼んで国産品を区別しているので、ベネチアで食べるなら、カパロッソリのスパゲッティsgaghetti di caparossoli。

次はナポリ。
ボンゴレ・ビアンコが一般的なナポリで、トマト入りにする時、加えるトマトはピエンノロのミニトマトでした。

ピエンノロはトマトの産地で生のトマトが手に入らない冬の間のトマト。
ナポリのフレッシュのトマトが手に入らない地区や季節
でも手に入れることができますが、ある意味、カパロッソリより入手困難な食材。

ナポリ料理のお勧め本、『クチーナ・ディ・ナポリ』には、

ちょっとおもしろいボンゴレのリチェッタが載っていました。
スパゲッティ・アッレ・ボンコレ・フユーテSpaghetti alle vongole fujuteです。
フユーテとはスカッパーテscppate(逃げた)という意味。
つまりアサリ抜きのボンゴレです。

例によって、アサリは買えなくてもおいしいボンゴレを食べたいと考えたナポリ人が考え出しました。
アサリの代わりにピエンノロのミニトマトを使ったパスタです。

本のリチェッタを訳してみます。
スパゲッティ・アッレ・ボンコレ・フユーテSpaghetti alle vongole fujute
材料/4人分
スパゲッティ・・400g
生のミニトマト、冬はピエンノロのミニトマト・・数個
にんにく・・3かけ
EVオリーブオイル・・大さじ5
イタリアンパセリのみじん切り・・たっぷり、塩

・パスタ用の湯を沸かす。
・その間にフライパンに油とにんにくを入れて炒める。色がつきだしたら取り除き、ミニトマトを加える。火を弱めて数分熱し、火を止める。
・パスタをアルデンテにゆでる。ゆで汁は少量取っておく。
・フライパンにパスタ、ゆで汁少々、イタリアンパセリを加えて強火でマンテカーレする。
すぐにサーブする。

アサリをミニトマトで代用するなんて、ナポリ人の発想は、斜め上をいっちゃってますね。
まあ、トマトがそれだけ美味しいてことなんでしょう。

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