イギリス人が憧れたトスカーナは、ダ・ヴィンチの絵に出てくるような、長年人の手によって改良が加えられた、糸杉の丘と美味しいワインがある美しい自然に囲まれた地方だった。
今日のお題は、そんなイメージを否定するようなマレンマ地方の料理。
マレンマ地方はトスカーナのティレニア海沿いの地方で、19世紀半ばに干拓事業が始まるまでは、住みにくい沼地や荒れ地だった。
人を寄せ付けないワイルドな地中海の姿。
こんなワイルドな地に住む人間もワイルド。ブッテリと呼ばれるカーボーイだ。
マレンマ種の牛・馬・水牛を飼育する牧童たち。
かっこいいけど、今は観光客相手の仕事が中心になっているらしい。
そんなブッテリたちの食事として知られるのが、アックアコッタ。
家畜の群れを追う仕事の最中に食べる食事は、その名の通り、持ち運びできる僅かな材料と水で作る。
欠かせないのは玉ねぎ、セロリ、乾燥したパン。
運が良ければこれに、たんぽぽ、ミント、野生のチコーリアなど、放牧地で摘んだ香草が加わる。
卵を分けてもらったときには新鮮な卵が入る。
仕上げはオリーブオイル。
貴重なので牧童頭が持っていて、旅の途中でなくならないように量を管理していた。
マレンマ地方のシェフとして有名なのは、イタリアを代表する女性シェフ、ダ・カイーノのヴァレリア・ピッチーニ。
彼女が作るのは一口食べれば伝統の味が蘇るような料理。
野菜は父親が3つの畑で栽培したもの。
得意なのは大衆肉料理。
店にはエノテーカも併設されていて、ヴァレリアのリチェッタのソース、オイル漬け、ジャムなども販売している。
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アックアコッタのリチェッタは地方ごとに様々あり、バリエーションも豊富。
ヴァレリア・ピッチーニシェフのアクアコッタAcquacotta。
材料/
玉ねぎ・・700g
セロリ・・200g
EVオリーブオイル・・120g
水・・200ml
ホールトマト・・800g
野菜のブロード・・500g
バジリコ
卵・・4個
乾燥したパーネ・トスカーノの薄切り・・4枚
おろしたペコリーノ・・40g
・玉ねぎを薄切りにする。セロリ(煮込むので筋を取る必要はない)を小口切りにする。
・フライパンに油を熱して野菜をソッフリットにし、水、塩、唐辛子(好みで)を加える。
野菜の水分が全部出たらホールトマトを加える。旬の季節には皮むき生トマトを加える。野菜のブロードを加えて油が表面に浮かぶまで約40分煮る。
・バジリコで香りをつけ、卵を割り入れる。
・塩をして蓋をし、数分熱する。
・器にパンを入れてペコリーノをかけ、ミネストラと卵をかける。油を回しかけてバジリコで飾る。
ダ・カイーノはルレ・エ・シャトーグループのホテルレストラン。
マルケージが設立した高級レストランのグループ、レ・ソステのメンバーでもある。
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1 件のコメント:
アクアコッタ大好きなんですが、日本で出す店少ないですよね。マレンマは何十年来の憧れの地
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