2024年3月16日土曜日

サルデーニャの詰め物入りラビオリ、クルルジョネスはわざわざ旅をするのに値するパスタですが、そのルーツ、オリアストラはたまたま行くような場所ではないそうです。さあ、どうする・・・。


今日のクリスマス料理はクルルジョネス(リチェッタの日本語訳は(CIR)2021年12月号、P.4です。
サルデーニャのパスタですが、記事の解説によると、「わざわざ旅するのに値する形のパスた」だそうですよ。
サルデーニャ内陸の中心にあるオリスタ―ノのオリアストラのパスタだそうですが、ここはたまたま行くような場所ではない、とのこと。
つまり、ここにクルルジョネスを食べに行こうという強い意志を持った人だけがたどり着き、食べることができるという、すんごい上級者向けのパスタです。

オリアストラ。

オリアストラは世界的にも長寿で知られる村。だけど、高齢化も深刻。


そもそもオリアストラにたどり着く方向感覚もないけど、クルルジョネスを作る器用さはもっとない。見ただけで自信喪失な美しいパスタ。

基本は詰め物入りパスタ、大型のラビオリの一種。特徴的なのは、つまんで閉じながら作りだす美しくて複雑なその形。生地は小麦粉と水、塩。詰め物はゆでたじゃがいも、にんにく、ミントのみじん切り、ペココリーノの塩水漬け、サフラン。ソースはトマトソース、山羊肉のラグーなど。バリエーションは豊富。アーモンドペーストを詰めたドルチェタイプまである。



クルルジョネスは方向音痴とブキッチョの憧れのパスタなんです。

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2024年3月15日金曜日

クロスティーニは大皿に並べて、大勢で手づかみで食べる陽気なパーティー料理。鶏レバーのクロスティーニは色が黒ずんでたのでクロスティーニ・ネリと呼ぶ。

(CIR12月号)のイタリア各州のクリスマス料理を紹介する記事から、トスカーナのクリスマス料理を紹介しています。
それはレバーのクロスティーニ。
トスカーナ料理の傑作本、『ルフィーノのトスカーナ

には、「レバーのクロスティーニはトスカーナ料理の手番中の定番で、親から子へと代々受け継がれてきた。日曜日や祝日、重要な祝いごとの夕食に、大きなトレーで前菜としてサーブされる、みんなで手で食べる料理で、貧しい庶民にとっては珍しく、強い味で複雑な風味の、楽しい料理だった。
この料理のベースは鶏のレバーで、ミルザmilza(脾臓)や心臓を加えることもあった。鶏の内臓はデリケートな味で複雑な風味で、料理に加えるヴィン・サント少々、アンチョビ、ケッパーは、料理に甘味や心地よいフレッシュさ、塩気をプラスした・・・。」
とあります。
そしてこの料理の名前は、“I crostini neri di fegatine di pollo, capperi e acciughe”とあります。
問題はクロスティーニにつけられた“neri/黒”という言葉です。

クロスティーニ・ネリ。


気にしてみると、クロスティーニ・ネリというのは意外と目にします。
これはつまり、様々な色があるクロスティーニの中でも、とりわけ黒い、という意味のようで、真っ黒という訳ではないようです。さすがにクロスティーニ・ビアンコというのは見ない。

トスカーナのクロスティーニのバリエーション。

超緑色のカーヴォロ・ネロのクロスティーニ。

黒キャベツ、白いんげん、サルシッチャのトリコロールの農家風クロスティーニ。

このあたりでようやく、きのうなぜダンテの話をしたのか、その答えです。フィレンツェは皇帝派りギベルティ―ニ黒派と教皇派のグエルフィ白派に分裂していました。なので、白黒という色分けにとても敏感なのです。フィレンツェが誇る天才でフィレンツェ生まれのダンテは白派でしたが、後に教皇の考えでフィレンツェから追放されます。
2021年はダンテ没後700年。なので、ここらでダンテに思いをはせて、白と黒のクロスティーニでもいかがですか、というのが、この料理を選んだ理由でした。
フィレンツェは偉人が多すぎて、何の話をしても歴史の勉強しないとついていけません。
フィレンツェが生んだ偉人ダンテとクロスティーニの関係についても、小難しいけど、フィレンツェ観光の際に、きっと役に立ちますよ。フィレンツェでクロスティーニ食べる時は思い出して。

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2024年3月14日木曜日

トスカーナのレバーのクロスティーニにはフィレンェの歴史が秘められていました。

    (CIR)2021年12月号から、クリスマスの地方料理の話です。
今日の料理はレバーのクロスティーニ(CIR)のリチェッタはP.3。イタリア料理のクラシックです。

レバーのクロスティーニCrostini di fegato.
下の動画で、シェフの家のクリスマスのディナーは毎年、レバーのクロスティーニで始まる、と言ってますね。

どこの地方の料理かというと、トスカーナです。
この料理にも、トスカーナ地方を代表する食材、パンと内臓が使われています。
とても古い料理で、伝説には事欠きませんが、記事ではトスカーナの歴史も関わっている料理として、その歴史を説明しています。
トスカーナの州都フィレンツェは、ルネサンスの天才芸術家たちを何人も輩出した芸術の都です。イタリア料理に興味はなくても、フィレンツェに行ってみたい、もう行ったという人は多いでしょう。

フィレンツェに行く前に知っておくこと。

記事では、フィレンツェが誇る芸術家としてダンテの名を挙げていましたが、2021年はダンテの没後700周年でした。ダンテ・アルギエーリはイタリア語の父とか、世界最高の詩人などと考えられていて、フィレンツェ市内には、彼にゆかりの場所がたくさんあります。それどころか、世界的に有名なイタリア料理、レバーのクロスティーニさえ、彼のことを知らないと、よく理解できないのです。

2021年はダンテの没後700年のダンテイヤー。

ダンテ・アルギエーリは詩人で政治家で哲学者。代表作は『神曲La Divina Commedia』。現代文学の傑作と言われている作品です。この作品の名前は料理の話の中にもなぜか頻繁に登場します。欧米の人は、偉人の傑作の引用が大好きですよね。イタリア人はみんなダンテの神曲を読んでいるのかと、その度にびひったものです。もちろん私も手に取ったことすらありませんが、名前だけは知っています。でも、こんな小難しそうな話、読むことはこの先もないだろうなあ。

3分で解説するダンテ。

ダンテの解説をする時に、必ず登場するのが教皇派のグエルフィと教皇派のギベルティ―ニの話です。12~13世紀のフィレンツェは、この2派に分裂して内部抗争状態でした。
確かに小難しい話ではあるのですが、フィレンツェを観光するには、最低限このことだけは知っておかないと話が先に進まない重要なポイントです。

グエルフィとギベルティ―ニはフィレンツェに行く前に知っておきたいフィレンツェの基本情報。

フィレンツェのダンテゆかりの場所。

何言ってるのか全然わからないけど、時々分かりそうな話もある・・・。
ネットフリックスでドラマ化希望だけど、もうなってるかな。


トスカーナでギベルティというと、フィレンツェのドゥオモのジョヴァンニ洗礼堂の天国の扉を作ったロレンツォ・ギベルティを想像するけど、教皇派のギベルティ―ニとは別の話。


おっと、話が脱線しそうなので、ダンテの話はここまで。

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2024年3月13日水曜日

(CIR12月号)発売しました。

(CIR)12月号販売しました。


クリスマス特集号です。
今年は地方料理がテーマ。
伝統と歴史に満ちた地方のクリスマス料理は、面白いものがたくさんあります。
イタリア人ならではの視点で知るイタリアのクリスマス料理。
2021年の締めくくりです。1年間、ご利用ありがとうございました。
また新しい1年が始まります。イタリア発の美味しい地方料理をテーマに、イタリア料理を詳しく掘り下げていきます。定期購読がお勧めです。ご要望、ご質問は、ご遠慮なくどうぞ。

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2024年3月12日火曜日

インサラータ・ルッサはフランスの貴族経由でロシアに伝わったと言われるポテトサラダ。ミラノのクリスマスには欠かせないパーティー料理ですが、ロシアではクリスマスはそもそも祝わない。

今日から、(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーリ)は2022年版が始まります。
2021年の最後の12月号のリチェッタは、クリスマス料理の地方料理。
イタリアの20ある州の名物クリスマス料理を紹介しています。
クリスマス料理は、すなわちご馳走ということ。
まず最初の料理は、ピエモンテから、“インサラータ・ルッサInsalata russa”です。
ルッサとはロシアということ。フランス貴族の料理がロシア貴族の料理になった1品。ロシアンサラダという名前の、何やら高貴そうなポテトサラダ。
クリスマスのテーブルに、インサラータ・ルッサを出さないピエモンテ人やミラノ人はいないんだそうです。ピエモンテではご馳走のパーティー料理として広まりました。
ここで話はさりげなく、ミラノの話になっちゃいますが、ミラノの有名惣菜店、ペックでは、この時期には2.5トンのインサラータ・ルッサが売れるんだそうです。
ポテトサラダが人気なのは世界共通なんですね。

ただし、ポテトはマッシュせずにゆでて小角切りにします。


とても素朴で庶民的なサラダですが、クリスマスの料理は食材をワンランクアップさせたり地元の特産品を使う、盛り付けにこだわる、などで普段の料理をご馳走にします。
インサラータ・ルッサも、リチェッタの日本語訳は(CIR.P.2)にあります。さらにこの料理の写真もすごくきれい。ポテトサラダとは思えない、宝石箱みたいな1品になりました。

クリスマスのかき入れ時を迎えるミラノのペック。

ミラノの美食の殿堂、ペック。

下の動画で紹介しているのはロシアの新年の料理。ロシアではクリスマスは祝わないんだって。でも、インサラータ・ルッサはロシアの新年の人気の料理。モスクワにあるレストランのシェフの名前を取って、インサラータ・オリヴィエって呼ぶんだって。オリジナルのリチェッタはジビエ入りでしたが、食糧難のソ連時代に質素になり、モルタデッラに似たソーセージで代用するようになりました。


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2024年3月11日月曜日

子羊のジャンプは可愛くて永遠に見てられる。でも、危なっかしくて心配にもなる。アッバッキオの名前には、飛び回る子羊を心配する人間の愛情が詰まってました。

子羊の話。イタリア料理を知るまでは、肉と言えば、豚、鶏、牛しか知らなかったのですが、イタリア料理と出会うと、子羊や去勢鶏といった肉とも出会いました。子羊も、去勢鶏も、イタリア料理には欠かせない食材。そして子羊と言えば、ローマ料理。
ローマでは、草を食む前の乳飲み子羊のことを“アッバッキオabbacchio”と呼びます。
その語源は、“屠殺する“という意味の“アッバッキアーレabbacchiare”という説と、ラテン語で“棒のそば”という意味の“アド・バクルムad baculum”だ、という説があります。古代ローマでは、生まれたばかりの子羊が飛び跳ねてけがをしないように、地面に立てた棒に縛っておく習慣があったことに由来します。

子羊は飛び跳ねるのがデフォルト。
考えてみれば子羊なんて見たことなかったから、こんなに飛び跳ねるなんて、しかもこんなに可愛いなんて知らなかった。はあ癒される~。危なっかしくて、棒に縛っておきたくなる気持ちも分かるなあ。

羊飼いも羊を飼う文化も、地中海では一般的だけど、日本までは伝わらなかったなあ。そういえば、トロイア戦争から故郷に戻る途中のユリシーズが立ち寄った島に住む一つ目の巨人サイクロプスは、羊飼いでした。
恐ろし気な一つ目巨人の周りに羊がウロチョロするのもお約束。

ローマのアッバッキオは地域の特産物でありながら、日本では口にする機会はまったくなく、ローマに行ったら絶対食べたい食材。肉は脂肪が少なく、とても柔らかく、味はデリケートなのが特徴で、炭火でスコッタ―トする調理方法が代表的。
子羊肉の話をする時は、あの超可愛い動物を食べるという、正直言ってつらい話。はっきり言って、かなり割り切らないとできない。でも、ローマの食文化と子羊は、切っても切れない関係。長~い歴史があります。とは言っても、大都会で羊を飼育するというのは、現代ではかなり無理がある話。ラツィオ産のアッバッキオは減少の一途。ペココリーノ・ロマーノが、実際にはサルデーニャで造られているのと同じ。

アッバッキオ・ロマーノ。

アッバッキオ・スコッタディートabbacchio scottadito

アッバッキオ・アッラ・ロマーナのリチェッタ。

アッバッキオはデリケートな肉なので、加熱時間は短い方がよく、さっと焼いたら弱火にして時々焼き汁をかけながて乾かないようにしながら加熱します。
現在では一年中流通していますが、旬は春。

最後に業務連絡。(CIR)2021年12月号、本日発売しました。
明日から、(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)は2022年版に突入します。
次号は2022年1月号。定期購読を開始するなら、グッド・タイミングです!
一年を通して、イタリア料理の世界を一緒に勉強していきませんか。

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2024年3月8日金曜日

イースター・エッグとマジパンの復活祭の子羊。

話は復活祭に戻ります。
復活祭に欠かせない食材は色々ありますが、代表は卵と子羊です。
卵は、“命の復活”、“春”、“希望”の象徴です。中部イタリアでは復活祭の時期、朝食にゆで卵を食べる習慣があります。

スーパーのイースターエッグ売り場。
命の復活の象徴は、欲望の象徴に完全に姿を変えてますねー。ターゲットは完全に子供。

手作りイースターエッグ。


子羊は、古代から神への生贄とされてきた他にないシンボル性を持った食材。
そもそもキリスト教では大罪を世界から取り去るキリストのシンボル。
キリストが自らを生贄の子羊として十字架にかかったことに由来する《聖体》の象徴。

南イタリアのマジパンの子羊。
これをプーリアのパスティッチェリーアで見つけた時は、どうやって日本まで持って帰るか一瞬真剣に考えていました。

見れば見るほど可愛いですが、ミルクしか口にしたことがないミルクラムは、無垢の象徴でもあり、生後3~4週間でさばきます。可愛すぎて抵抗を感じる人も常にいる行為ですが、イタリアには子羊の飼育や料理の長い伝統があります。

群れからはぐれた子羊。

ラツィオではミルクラムのことをアッバッキオと呼びます。ローマの産地保障食品、IGP食品に認定されています。せっかく癒されたのに、ちょっと話題が残酷になるので次回に続きます。

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イタリアの新しいマスター・オブ・ワインが選ぶコンテンポラリーな赤ワイン。

イタリアの新しいマスター・オブ・ワイン、アンドレア・ロナルディが提案するPinosophyの概念。イタリアの食の分野のカリスマたちは、深い哲学への造詣がある人が多く、言ってることの意味が分かるまで、かなり苦労します。マスター・オブ・ワインも例外ではありません。なので、それなりにか...