2022年4月14日木曜日

ポー河の霧とカビを利用して作るサルーミの王様、クラテッロ。

今日のお題はバッサ・パルメンセ地方。
この地方に君臨するのはイタリア最長で、もっとも重要な河、ポー河。自然豊かなイタリア北部をアルプスからアドリア海まで横断して流れています。
ポー河の水源から河口まで。

ポー河の豊かな水によって、草や牧草が育ち、それを食べて牛がたっぷりミルクを出す。そのミルクからチーズを造り、残りは豚の餌になる。そしてやや湿気の多いこの土地の気候は、クラテッロの熟成には最適だった。こうしてこの地方はクラテッロの産地として世界中に知られるようになる。

ジベッロのクラテッロ。

クラテッロは豚のももの一番柔らかい部位、脂があるランプの前の部分から造る。縛ったらワインを揉み込む。このワインはアルコール度が低くて個性の軽い地元の赤ワイン、フォルタナ。二日ごとに3回塩をまぶし、ワインを揉み込み、豚の膀胱に詰めてきつく縛り、70日後に室温を調整してフォルタナの搾り粕で覆った部屋で熟成を開始する。
秋と冬には窓から霧が入り込み、壁からは湿気が染み出て搾りかすとカビがクラテッロを守る。
60日ごとにカビを取り除き、16~17か月間はクラテッロはカンティーナを出ることはない。熟成期間は長くて35~40か月に及ぶ。“イセタン”という名札が輝いていましたが、ここでは毎年6~7千個のクラテッロが造られています。
マッシモ・ボットゥーラシェフも得意客の一人で、カンティーナには彼専用のスペースもあります。

アンティカ・アルデンガ↓はバッサ・パルメンサのクラテッロの有名な作り手の1軒。クラテッロは薄くスライスして、ランブルスコと一緒にいただきます。
このランブルスコの栓の抜き方がちょーかっこいい。

ジベッロの昔ながらの料理を出す有名トラットリア・ラ・ブーカ。


女性の社会進出が今ほどあたりまえでなかった時代に、4代に渡って母から娘へと女性のみに受け継がれてきた料理を出す。男性はクリエイティビティーで料理を作り、女性は愛情で作る、というのが現シェフの持論。


この地方のシェフたちは、こんなにおいしいものが多い土地に生まれて自分は幸運だった、と誰もが言いますね。



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