2025年5月22日木曜日

よだれ風ニョッキことニョッキ・アッラ・バーヴァは、溶けて糸を引く様子がよだれのような所からつけられた名前。絶対小さな子のお母さんが付けた名前ですよね。

ニョッキの話、(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)の1月号記事の解説です。
記事のタイトルは“チーズのニョッキ”。確かに、今日紹介するのは、ピエモンテとヴァッレ・ダオスタのチーズのニョッキなんですが、その名前というのがとても個性的なんです。
それは、ニョッキ・アッラ・バーヴァGnocchi alla bavaと言います。
アッラ・バーヴァとは、よだれのよう、という意味。ニョッキにかけるチーズが溶けて糸を引く様子が、よだれのようだというのがその語源。洗練されている印象のイタリア料理ですが、時々、こんなとんでもない形容があるんですよね。例えば、イタリア中部のパスタ、ストロッツァプレーティは、司祭が窒息する、という超物騒な名前。

二ョッキ・アッラ・バーヴァ

溶けたチーズがよだれのように見えてる動画を探したんですが、さすがにあまりあからさまなのは見つからず。

で、この料理に使っているチーズはトーマ・ピエモンテーゼとフォンティーナです。


トーマ・ピエモンテーゼ


フォンティーナ

トーマもフォンティーナも牛乳の溶けるセミハードチーズ。味も似ています。
脂肪を分離しない牛乳から作るトーマ・グラッサは、フォンティーナによく似たチーズ。
ニョッキ・アッラ・バーヴァの日本語のリチェッタは(CIR1月号)のP.21。
ゆでたニョッキ、おろしたトーマ、バターを耐熱皿に重ね、パルミジャーノも散らして溶かすのが伝統的なリチェッタ。これをモダンにアレンジするなら、セルクルに詰めてオーブンで焼きます。そしてフォンドゥータのソースをかけてサーブします。

フォンティーナのフォンドゥータはヴァッレ・ダオスタの名物。


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2025年5月21日水曜日

イタリアの家庭料理の傑作、ニョッキはパスタ・フレスカと同等の立ち位置。

ニョッキの話、今日は地方料理のニョッキです。
ニョッキの本のお薦め、スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの『パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ』

には、ニョッキは北部の山岳地方から中部、南部に至るまで、イタリア各地にある、とあります。そもそもニョッキはイタリア家庭料理の傑作で、北東イタリアではシナモン、ココア、堅くなったパン、フルーツを使い、ピエモンテでは山のチーズや栗の粉、カボチャの粉を使うのが特徴。ローマ風のセモリーノのニョッキなどもあります。
カネデルリ、別名クネーデル、ピエモンテのラバドン、ロンバルディア・ピアチェンティーノのマルファッティ、パスタで包まないパスタ、トスカーナのヌーディなど、様々な地方料理のニョッキがあります。
トレンティーノ地方のカネデルリ、パンとじゃがいもの生地。バターで作ります。

トスカーナのニューディ。ほうれん草とリコッタの団子。

南イタリア代表はソレント風ニョッキ。トマトソースとモッツァレラのソースです。


サルデーニャのマッロレッドゥスやフリウリのプラムのニョッキなど、まだまだありますが、そもそも(CIR)の記事で紹介されているニョッキは、ピエモンテとヴァッレ・ダオスタのニョッキでした。
次回はその話です。

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2025年5月20日火曜日

シンプルなだけにバリエーションも豊富なニョッキ。木曜ニョッキ、金曜魚、土曜トリッパと言いますが、今時は、うちのおばあちゃんは日曜に作る、という家も。

ニョッキの話、続けます。

ニョッキと言えば、お勧めの本は、『ジョヴェディ・ニョッキ』。

グイド・トンマージのミニサイズの料理書、ピッコロ・スプンティーニシリーズの1冊。
木曜はニョッキというタイトルですが、本には、「私のおばあちゃんのニョッキの日は日曜日でした」という話がさらっと語られていました。日曜日は家族全員が集まってご馳走を食べる日で、一番簡単なメニューがニョッキだったそうです。
大理石の台の前で腕まくりしたおばあちゃんがニョッキを作っている姿を毎週眺めていたなんて、幸せな子供時代の思い出。本の表紙の写真もあったかいねえ。
ちなみに、木曜日にニョッキを食べるのは、キリスト教の肉食を断つ断食の日が金曜日で、その前日にボリュームのある料理を食べて、ご馳走を食べる日曜日まで持たせよう、という訳ですが、この逸話を読む限りでは、かなりゆるゆるな習慣だったようです。
このシリーズは、他にもこうした地方料理の小さなテーマの本がいくつもあります。


ファッチャーモロ・ペースト』もお勧めの1冊。この本は、大理石の乳鉢でゴリゴリ作るのは大変だけど、ミキサーを使えばちゃちゃっとできます、というテーマで、自由な発想で作るペーストが色々載っています。

『ジョヴェディ・ニョッキ』の話に戻りますが、この本でベースのじゃがいものニョッキの次に紹介されているのが“紫芋のニョキ、シイタケのソース”
ニョッキのベースは、じゃがいもの他に、パン、リコッタなど様々あります。形もフォークで筋をつけるミニ俵形、棒状に伸ばして輪切りにするボタン形など様々。色も紫イモの紫の他にも抹茶入りの緑のニョッキなんかもあって、すごくバリエーション豊か。

木曜ニョッキ、金曜魚、土曜トリッパ、というのは、戦後の食糧難時代を切り抜けるスローガンで、金曜日はマーグロ(肉食を断つ)な食事をするというキリスト教の習慣の2つを満たすローマの言い回し。

ジョヴェディ・ニョッキ

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2025年5月19日月曜日

ピエモンテとヴァッレ・ダオスタの伝統に属する、ニョッキ・アッラ・バーヴァ。

今日の料理は、(CIR1月号)の地方料理の記事から“チーズのニョッキ”です。
東アルプスの、ピエモンテとヴァッレ・ダオスタの伝統料理です。

ヴァッレ・ダオスタ

料理は、いわゆる“ニョッキ・アッラ・バーヴァgnocchi alla bava”と呼ばれるニョッキ。

ニョッキ・アッラ・バーヴァ

ニョッキはグルテンフリーのあらゆる年代に人気の料理。
じゃがいも、小麦粉、牛乳がベースのとてもシンプルな料理なので、材料が重要になります。
べースは粉と水をこねた生地をちぎって熱湯でゆでたもの。
それが次第に球形や筒形になり、生地に新たな材料も加えられるようになっていきます。
ベースの粉は、小麦、とうもろこし、そば、パン、リコッタと野菜など。
じゃがいものニョッキはピエモンテ、ヴェネト、フリウリ、エミリアなどが発祥地と考えられていますが、全国的に普及しています。

ベースのじゃがいものニョッキ。


まずはざっとニョッキ・アッラ・バーヴァの説明。
実はこのニョッキ、“バーヴァ”というのがポイント。
バーヴァとはよだれという意味。でも、どの文献を見ても“”いわゆる”ニョッキ・アッラ・バーヴァと呼ばれるとあり、よだれ風ニョッキと呼ぶことはありません。まあ、そうでしょうねえ。
この名前の由来は、次回に。

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2025年5月17日土曜日

シチリアの貴族の館を改装したルレで地元のお母さんたちが作る料理。

シチリア料理の話が出たところで、今日は(CIR1月号)の記事、“シチリアらしさ”の料理の話です。日本語のリチェッタはP.16。
シチリアの家庭料理のリチェッタを提供したのは、カターニアの貴族の館を改装したルレ、ロッカ・デッレ・トレ・コントラーデのシェフです。
ロッカ・デッレ・トレ・コントラーデ。

ルレのシェフは世界的に活躍している星付きシェフが短期間ごとに交代で務めていますが、この記事の料理を作ったのはイシドラ・マウジェーリ。通称ドーラは、地元の女性たちと一緒に料理を作っています。

スパゲッティ・プリマヴェーラを作るドーラ。

アーモンドペースト。


記事にもありますが、シチリアをイメージする料理と言えば、アランチーニとカンノーリ。

シチリアを旅行中は、毎日1個食べてました。
ゴッドファーザーが有名にしたシチリアのドルチェ。

シチリア中のパスティッチェリーアにおいしいカンノーリがあります。



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2025年5月16日金曜日

ナス料理が美味しいのは、地中海諸国に属する証明。

“パルミジャーノ”の話、続けます。

陽気で人がいいけど、極端に排他的なのがナポリ人気質であり、彼らの料理に対するスタンス。ナポリ料理はナポリ人にとってただ一つの本物の料理。ナポリの美食文化に誇りを持ち、自分たちが元祖であることを全力で主張する。

シチリアーニvsナポレターニ。
はっきり言って区別つかない。

パルミジャーナは、ナポリとシチリアの間で本家争いが繰り広げられている料理。
でも、ナポリとシチリアは両シチリア王国の首都でした。1861年にイタリア王国に統合されるまで、つまり200年前までは存在したのでした。
似ていることはたくさんあります。例えばモンズ―。当時の貴族のためのフランス人のお抱え料理人のことで、彼らが作る洗練された豪華な料理は、庶民料理とははっきりした境界線が引かれていました。

一方、シチリアは食文化の歴史的な遺産がイタリアでも特に豊富な州。古代ギリシャ人は地野菜を活かしたシンプルな料理を伝え、アラブ人はアグロドルチェな味と辛さの対比を伝え、スペイン人は豪華なドルチェを、フランス人は上品なソースや様々な詰め物のタルトを伝えました。中世には、パルミジャーナは派手な見た目のトルタのことでした。アルトゥージはこの料理のことをなすのトルティーノと呼んでいますが、彼の本でなすが登場する料理はわずか4品。実はなすは紀元前1000年ごろのアラブ人の医者イブン・ボトランが「ナスを食べると憂鬱な気分が誘発される」と警告し、多くの人がそれを信じた、という不幸な歴史がありました。
でも、トルコやギリシャ、レバノン、エジプトと言った国の料理になすは欠かせない。

シチリアのナス料理なら、カポナータ。

ギリシャのムサカ

トルコのなす料理

レバノンのなす料理

カラブリア風ナスのパルミジャーナ


シチリアはカターニア風パルミジャーナ

ナポリのなすのパルミジャーナ

すっかりナスの口になりました。
早くナスが出回る季節にならないかなあ。

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2025年5月15日木曜日

地中海の野菜料理で南イタリアから地中海中に広まった傑作、パルミジャーナ。北イタリアでは冬野菜を使って作る。

今日の料理は(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ1月号)の地方料理の記事から(日本語翻訳は、P.39)、“カルドンのパルミジャーナです”。
パルミジャーナは典型的な地中海の野菜料理で人気の家庭料理で、世界中に知られる人気のイタリア料理。 

ナスのパルミジャーナ。

ベーのリチェッタは、なすを縦にスライスして塩を振り、数時間置いて水気を絞り、小麦粉をつけて揚げる。間におろしたチーズ、モッツァレラ、バジリコ、トマトソースをはさみながら重ねてオーブンで焼く料理。

主役はなす、と言うのが一般的ですが、その発祥地は、ナポリとシチリアの間で争われています。
なすが主役なので、当然南イタリアの夏の料理と考えられていますが、(CIR1月号)のリチェッタはカルドンのパルミジャーナです。カルドン(カルド・ゴッビcardo gobbi)は冬の野菜。特にウンブリアには深く根付きましたが、ウンブリアの外ではあまり知られていない野菜です。

カルドン

カルドンの下ごしらえ

ナポリのパルミジャーナ。

ウンブリアの州都、ペルージャでは、カルドンのパルミジャーナはクリスマスに欠かせない料理。
ウンブリア料理は農民料理。豆やビエトラ、チコーリア、野草など、苦みのある野菜を使った貧しい庶民の暮らしがベース。

マルケ風カルドンのパルミジャーナ。

カルドンのパルミジャーナのリチェッタは、(CIR)P.40にあります。
下ごしらえしてゆでたカルドンを揚げ、トマトソース、おろしたチーズと交互に重ねてオーブンで焼きます。

本家のパルミジャーナはなすが主役ですが、なすはイタリアではまずリグーリア以外の北イタリアに広まり、トスカーナ、ラツィオからナポリに広まり、さらに南イタリア全域に広まります。カラブリアとシチリアでは絶大な支持を受けました。
なすの話は次回。

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イタリアの新しいマスター・オブ・ワインが選ぶコンテンポラリーな赤ワイン。

イタリアの新しいマスター・オブ・ワイン、アンドレア・ロナルディが提案するPinosophyの概念。イタリアの食の分野のカリスマたちは、深い哲学への造詣がある人が多く、言ってることの意味が分かるまで、かなり苦労します。マスター・オブ・ワインも例外ではありません。なので、それなりにか...