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2019年8月12日月曜日

タリアータとメイラード反応とフロッラトゥーラ

今日のお題はタリアータtagliataです。
「総合解説」2017年7/8月号P.18を御覧ください。
これらの美味しそうな料理の元は、牛のサーロインです。
表面の焦げた焼き色は、メイラード反応のお手本のよう。
香ばしい香りが伝わってきそうです。
スライスすると、ジューシーなアルサングレの赤身肉がぷるぷる現れて、なんて素敵な光景でしょう。
暑くて食欲がなくても、こんな料理を見ると元気が湧いてきます。

サーロインはイタリア語ではコントロフィレットcontrofiletto。
アル・サングエal sangueはレアのイタリア語。

料理学校に通ったことのない私が、メイラード反応Maillard reactionというものを知ったのは、カルロ・クラッコシェフの本、『ディーレ・ファーレ・ブラザーレ』でした。

この本は、料理の基本テクニックについて語った本です。
“焼く”についての考察の中で、メイラード反応についてじっくり語られています。
料理の基本中の基本で、学校では必ず教わるのでしょうが、私はこの本を読むまで知りませんでした。
それ以来、私の中ではメイラード反応を教えてくれた人はクラッコシェフです。

美味しいタリアータを作るには、メイラード反応の知識は不可欠。
でも、記事によると、もっと大切なのが肉を熟成させることだそうです。
家庭の冷蔵庫では限界がある肉の熟成。
調理以上にプロの仕事。
 ↓

30日と60日熟成させた肉
 ↓

美味しいタリアータ作りは、熟成のうまい肉屋を探すことから始まるのでした。
肉が手に入ったら、肉本来の味とジューシーさを引き出すように調理します。
「総合解説」には4点のリチェッタをのせています。



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“タリアータ”のリチェッタの日本語訳は「総合解説」2017年7/8月号に載っています。
クレアパッソの販売書籍リスト
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2019年2月4日月曜日

鶏の悪魔風のルーツを探して


今日のお題はポッロ・アッラ・ディアヴォラです。
鶏の悪魔風。
そう言えば、この料理がどこの地方のものなのか、ご存知ですか?
『サーレ・エ・ペペ』誌によると、パダナ平野からラツィオに至る一帯には、この料理の発祥地を名乗る町がたくさんあるそうですが、決定的な記録は何も残っていないそうです。

悪魔風という名前の由来も不明で、唐辛子の辛さが悪魔級だからとか、平らに潰して強火で焼かれる姿が地獄の業火で焼かれているみたいだからとか、諸説あるようです。
でも、現代では唐辛子やスパイスの量は少なくなる傾向があり、全く使わない人もいるようです。

さらに、フライパンで焼くのはこの料理のいくつかある調理方法の一つでしかありません。
パン粉で包んで網で焼いたり、下の動画のようにオーブンで焼いたり、色々ありますがフライパンで焼くのは現代的なリチェッタのようです。



ですから当然、これが正解というリチェッタもありません。
リチェッタが残っている古い本はいくつかあるようですが、50年代にオステリアの王様と呼ばれたHostaria Romanaオスタリア・ロマーナの開業時のシェフ、ジージ・ファッツィのリチェッタが、フライパンで焼き、レモン汁をかけるという、現代のものに一番近いそうです。
この店、経営者が変わっても同じ名前でローマにあるようですが(webページ)、メニューに鶏の悪魔風はないですね。


フライパンで焼くリチェッタ
 ↓

フライパンで焼く場合、鶏を平らにする方法は各種あるようですが、「総合解説」の方法はお手頃で簡単。

おすすめの店の1軒。
アッピア街道のそばのソーラ・ローザ。
 ↓

そう言えば、トスカーナ料理に鶏にレンガを乗せて焼くPollo al mattoneというのがあります。
鶏のレンガ焼き。
悪魔風との違いがよくわからなかいのですが、トスカーナではこの料理を悪魔風とは呼ばないんですね。



トスカーナ料理のおすすめ本、“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『トスカーナ』にもレンガ焼きは載っています。



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“ポッロ・アッラ・ディアボラ”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2016年9/10月号に載っています。
書籍リスト
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2018年9月17日月曜日

ヴィテッロ・トンナートじゃなくてトンノ・ヴィテッラート

今日のお題はヴィテッロ・トンナート。
いや、正確に言うと、トンノ・ヴィテッラート。

なんじゃこりゃ、と思いますよね。
ヴィテッロ・トンナートのバリエーションの話をする時、イタリア人の心に必ず浮かぶダジャレが、これなんですわ。
以前にも訳したことがあるんです。このどーしようもないダジャレ。

マグロのソースをかけた子牛肉があるなら、子牛のソースをかけたマグロがあってもいいじゃん、
というか、ゴロが面白ければ、味なんてどうだっていいじゃん、というラテン系なノリが見えるこのネーミング。

今回も、大真面目に訳しちゃいましたよ。
総合解説」2016年5月号P.15をご覧ください。

動画もちらほらあります。
 ↓



それにしても、tonnoやvitelloの語尾に~toをつけると、食材がソースに変わるのって、便利だなあ。
解説に載せたもう1品は、鴨の胸肉のアグルマータ。
agrumiは柑橘フルーツのことだから、レモンやオレンジのソースです。
でも、これはダジャレじゃなく、柑橘フルーツのミックスジュースのことをアグルマータというのでした。
 ↓



もう1品の七面鳥のヨーグルトソースはヨーグルタートじゃなくてアッロ・ヨーグルトallo yogurtでした。
ひょっとしたら、トンナートというのは珍しい言い方なのかも、
と思って他の名前を探してみたら、意外と~toとい言い方はなかった・・・。
トンノがたまたまトンナートに変化させやすい言葉で、
ヴィテッラートは、言ったもん勝ちのダジャレだったんですね。

お口直しに、市販のマヨネーズを入れない伝統的なリチェッタのヴィテッロ・トンナートをどうぞ。
この料理はフランス料理ではなく、ピエモンテ料理だったんだなあ。
 ↓


ゆでないので肉がジューシーに仕上がります。
ソースの油分は少量加えるだけ。
盛り付けも斬新で、別の料理のようですね。

お勧めの料理書は
スローフードの『オステリエ・ディ・イタリア2017




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“ヴィテッロ・トンナートのバリエーション”の記事の日本語訳は「総合解説」2016年5月号に載っています。
書籍リスト
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2018年5月25日金曜日

スパゲッティの盛り付け方

今月号の「総合解説」で、


訳していて一番印象に残ったのは、『サーレ・エ・ぺぺ』の“シックなスパゲッティ”の記事の1品目のリチェッタ、「ポロねぎのフォンドゥータ、ヘーゼルナッツ、黒トリュフのスパゲッティ」の盛り付け方の説明文。

...unite gli spaghetti formando un torchon con la pinza.

スパゲッティをピンツァ(ピンセット型トング)でtorchonの形にして加える。

torchonですと?
初めて目にした言葉です。
そもそもこれ、フランス語だし・・・。
でも、なんの説明もないので、イタリア人なら理解できる言葉なのでしょうか。
フランス語でtorchonトルションとは、布、布巾、キッチンクロスなどという意味。
料理用語の場合は、フォアグラ・オ・トルションなど、フォアグラの調理方法を表す時に使う表現。
フォアグラをテリーヌ型ではなく布で包んで調理したもの。
ひょっとして料理人なら、知ってて当たり前の言葉?

トルション調理中
 ↓
The making of the Torchon
photo by Nick Dawson

とにかく私は布巾という言葉で勝手に納得しました。
そして料理の写真を見たら、皿の上に巻いたナプキンが置かれているような形をしています。
今月のパスタのテーマは、いつものスパゲッティをちょっとゴージャスに、です。
スパゲッティをヘーゼルナッツ入りの黄金色のバターであえてポロねぎのフォンドゥータの上にトルションに盛り付け、黒トリュフを散らしたこのパスタは、かなりゴージャスに見えました。
ちょっと太めのパスタはトルションの盛り付けがよく合います。
スパゲッティの盛り付け方でよく使われるのは、nidi/巣という言葉。
フォークでくるくる巻いて作る形です。

スパゲッティのニーディ
 ↓



ピンツァとレードルで盛り付け
 ↓


抜き型を使った盛り付け
 ↓



ピンツァを使った一般的な盛り付けは円錐形になりますが、トルション型は長さがあるので円筒形になり、料理に奥行きが生まれます。

この盛り付けはトルション型ではありませんが、イメージは伝わるかも。
 ↓



トルションに盛り付けると言うテクニックを知ってから、トップシェフによるパスタの料理集、『パスタ・レボリューション』を見てみると、



やはり円形の盛り付けが主流ですが、中には奥行きのある盛り付けをしている人もいます。
中でも、アレッサンドリアのドゥエ・ブオイのアンドレア・リバルドーネ・シェフの”スパゲット・ミラノ”の盛り付けはとても美しいです。
これはリゾット・ミラネーゼをスパゲッティにしてしまった活気的なパスタです。

超シンプルなソースのパスタほど、この盛り付けは生えますねー。

リバルドーネ・シェフのスパゲット・ミラノ。
ピンツァで盛り付けてますね。
 ↓



ピンツァを上に抜くか横に抜くかだけで、こんなにも違う姿になるんですね。


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“シックなスパゲッティ”のリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2016年1月号に載っています。
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2018年1月4日木曜日

ジビエのイタリア料理

あけましておめでとうございます。
なんでも巷ではジビエがブームなんだそうですね。
そこで今年のブログは『カッチャジョーネ』という本から。



ちらっと読んでみたら、こんな一文が目に入りました。

「この本のリチェッタを作ってみる時に、猟師である必要も、猟師の友達がいる必要もない。
イタリアで売られているジビエの多くは、専門の業者が飼育したものか、野生動物が多く繁殖している国から輸入されたものだ。
野生動物を飼育し、その肉を保存する技術の発達によって、様々なジビエが、一年中手に入るようになった。
猪、鹿、かもしか、野ウサギ、ウズラなどは特に手に入れやすく、さらに、ジビエの多くは家禽類でも代用できる。」

なんだかハードルが一気に下がったような気がしました。

鴨の飼育
 ↓


現代人の舌は、より甘くて弱い味を好み、アゴも弱くなったのか、柔らかいものを小さなスプーンを使って食べるように変化しています。
これは日本の話かと勘違いしそうですがではなく、これはイタリアの話です。

それでは、味が強くて硬いジビエを、なぜ人は食べるのでしょうか。
野生動物の肉は、それ自身が食べた物から出来上がっています。
野草や果物、木の実、森の下ばえ、沼の生物などです。
これ以上ないほど自然で本物です。
この点が、美味珍味が溢れる昨今、多くの美食家を惹きつけているのではないでしょうか。

イタリア語では、ジビエの中でも野鳥はカッチャジョーネcacciagione、哺乳類はセルヴァッジーナselvagginaと呼び分けています。
ただし、どちらの言葉も意味するものは同じです。
鳥類をセルヴァッジーナ・ダ・ピューマselvaggina da piumaと呼ぶこともあります。
ピューマは羽、羽毛、翼という意味。
哺乳類はセルヴァッジーナ・ダ・ペーロselvaggina da peloと呼びます。
ペーロは毛、毛皮という意味。

ジビエ料理は、下処理、熟成が必要で、適切な熟成期間を知るには、その動物が若いのか成獣なのかを見極めることも必要です。
現実を見ると、イタリア料理のジビエ入門は、多分、ブロードとフォンドを取ることあたりから始めるのが無難じゃないでしょうか。
という訳で、次回は『カッチャジョーネ』のリチェッタを訳してみます。




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2016年10月6日木曜日

国民的パスタソースとパスタ・リゾッタータ

先日、“アーリオ・オーリオ”について調べた時に読んだスローフードの“リチェッテ・ディ・オステリア”シリーズの『パスタ』の中にあった言葉、sughi nazionaliが、ずっと頭に引っかかっています。

正確には、スーギ・ディ・パスタ・ナツィオナーリ。

訳すと、国民的パスタソース、という意味です。

イタリアの国民的パスタソース。
当然、日本でもよく知られていて、いわゆるイタリア料理のイメージを代表するパスタソースです。
イタリア料理を語る上で、もっとも基本となるものです。

さて、あなただったら、何を挙げますか?

本に書かれていたのは、ラグー・アッラ・ボロニェーゼ、アマトリチャーナ、カルボナーラ、ペスト・ジェノヴェーゼ、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ、カーチョ・エ・ペペ、フレッシュトマトとバジリコ、アッラ・マリナーラ、ヴォンゴレ、プッタネスカ、ノルマといったラインナップ。

日本でも人気のものばかりですね。
北から南までありますが、主にラツィオとカンパーニアの伝統パスタソースです。

これらの伝統的なものの他に、もっと新しい、アッラ・コンタディーナ、アッラ・ボスカイオーラ、アッラ・アッラッビアータなどがあります。

さらに歴史的に見れば、イタリアのパスタソースには、トマト化という大きな転換期がありました。
1例を挙げれば、グリーチャにトマトが加わってアマトリチャーナになったようなことです。

イタリアのパスタソースには、野菜のソースという独特の分野もあります。
カルチョーフィ、ファーヴェ、ファジョーリ、ズッキーネ、フィオーリ・ディ・ズッカ、メランザーネ、ブロッコリ、チーメ・ディ・ラパ、チコリエッレといったイタリア野菜や、カポナティーナ、ケッパーとオリーブなどです。

国民的パスタソース、面白いテーマですね。
今後、「総合解説」で取り上げてみようかな。
販売している料理書の中から、国民的パスタソースのリチェッタを集めて訳す、というのはどうでょしょう。
少し先になると思いますが、急にやる気が出てきました。
需要があるといいのですが。


ソースの話をしたら、切っても切れないのがパスタの話です。

最近、リチェッタを訳していてとても目につくのが、パスタをリゾットと同じテクニックで作る料理です。
アーリオ・オーリオやカーチョ・エ・ぺぺのようなシンプルなソースの基本のテクニックですが、最近では、グランシェフの料理を中心にあらゆるパスタに広まっています。
パスタの一番新しいトレンドかも、と感じています。

パスタ・リゾッタータ
 ↓


リゾッタータには、イタリア人が求めるパスタの特徴が表れていると感じています。

この作り方だと、パスタからでんぷんが溶け出て、煮汁にとろみがつきます。

ただし、でんぷんがたくさん溶け出せばいい、という訳ではありません。
例えば、イタリア人がリゾットに使うのは、わざわざでんぷんの量を少なくしたアルボーリオやカルナローリといった品種の米です。

パスタをゆでる時にパスタからゆで汁に溶け出る成分は、ソースの味にも影響します。
さらにゆでる温度や長さなど、ゆで方によって溶け出る成分にも違いがあります。
何が溶け出るかは、麺を何度で何時間乾燥させるか、何製のダイスを使うかなど、パスタの製法や原材料によっても違います。

ゆでた時に麺がどれだけでんぷんに覆われているかなんて、考えたことなかったけど、パスタのゆで方の話になると、イタリアではでんぷんという言葉がキーワードになっているような気がします。


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2016年4月25日月曜日

ヒレステーキ

今月の「総合解説」のイタリア料理の基礎シリーズ、牛肉編は、フィレットです。

肉の焼き具合、レア、ミディアム、ウエルダンのイタリア語は、ほぼ単純にそのまま。
レアはアル・サングエal sangue。
ミディアムはメディアやアル・プンティーノmedia, al puntino, al punto
ウエルダンはベン・コッタben cotta。

レアよりもっとレアはmolt al sangue。
なので、al sangueはミディアムレアのことでしょうか。
あと、あまり聞かないけどあえて言うなら、media-al sangueか。

アル・サングエ(血がしたたる)と呼ぶと言っても、実際に流血しているわけではないんですねー。
知らなかった。わりと本気で血だと思ってましたよー。
でも、安心してください。
あの肉の赤い色は、血ではなくタンパク質のもの。
ミオグロビンと呼ばれるこのタンパク質に含まれる鉄分が酸化すると、赤い色は茶色に変わります。

それでは、ヒレ肉をアル・サングエに焼いていただきます。




お次はアル・プントに焼きます。




当然次はベン・コッタですが、なぜかこんなネタみたいな動画しか見つからなかった。
溶岩焼きだって。




ヒレ肉のステーキと言えばトゥルヌド。
コロンナータのラルドで巻いてみました。





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“牛のフィレット”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年5月号に載っています。
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2016年4月4日月曜日

レズドーラ

今月の「総合解説」の“エルバッツォーネ”の記事を訳していて、初めて聞く言葉と出会いました。
それは“rezdora(レズドーラ)”です。
エミリア地方の言葉で、家事を切り盛りする人のこと、例えるなら、家の女王様、だそうです。

レズドーラはこんなイメージ?
 ↓



さすがは、女性の麺打ち職人、スフォリーナという職業が確立されているエミリア地方だけあって、料理が、特にパスタ作りが上手な女性への敬意が、強く感じられる言葉ですね。

この言葉が出てきた料理は“エルバッツォーネ”でした。


erbazzone


農家の家庭料理として誕生した素朴なトルタ・サラータです。
野草の詰め物を小麦粉とラードの生地ではさむので、麺棒で生地を伸ばす技だけでなく、いつ、どこに野草が生えるかを知っている必要もあったわけです。

さらに、山に住むレズドーラは、ポー河流域の米作地帯に雑草を抜く季節労働者とし雇われ、現物支給として受け取った米を使ってエルバッツォーネを作って、さらに工夫を加えてリッチなお米のトルタにしたのだそうです。
そりゃ、尊敬もされますよねー。

トルタ・ディ・リーゾ
 ↓
Torta di riso


レズドーラ。
日本語には、ベテラン主婦を敬う言葉なんてあるのでしょうか。




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“エルバツォーネ”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年5月号に載っています。
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2015年10月5日月曜日

ゆでる

今日は、今月の「総合解説」料理の基礎シリーズの記事から、“ボッリート”と“レッソ”について。

イタリア語だとbollitoとlesso。

イタリア料理用語の基礎中の基礎ですから、もちろん皆さま両者の違いは、よくご存じでしょう。
ところが、これを日本語にしようとすると、適切な言葉が見つからない。
どちらも“ゆでる”という意味ですが、そのゆでる目的と出来上がったものは、明確に違います。
つまり、イタリア語には、ゆでるという意味の言葉が少なくとも2つあるのです。
でも、イタリア人でも両者の違いがよく分かっていない人もいるようなので、ちょっとだけ専門的な話になります。

その答えは「総合解説」に書いてありますのでご覧ください。
で終わりでもいいのですが、一応、解説の解説です。

ボッリートという名前の料理はありますが、レッソという名前の料理は、あまり見たことないのでは?
これは大きなヒントです。

様々な部位の牛肉をゆでるピエモンテ風ボッリート
 ↓



一方、レッソは鶏肉や野菜によく使う調理方法です。


答えを簡単に言ってしまえば、ボッリートはゆでる食材の味を活かすゆで方で、レッソはゆで汁を美味しくするためのゆで方。
つまり、味を肉に閉じ込めて肉を食べるのと、味をゆで汁に溶け出させてブロードにする方法。

ここで問題です。
和食を代表する料理、しゃぶしゃぶは、ボッリートでしょうか、レッソでしょうか。

うーん、悩むなあ。

実は、以前にも書いたことがある気がするのですが、カルロ・クラッコシェフは、その著書、『ディーレ・ファーレ・ブラザーレ』の“LESSARE”の章で、レッソの調理方法について実に7ページに渡って詳細に分析しつつ、レッソの一つ、日本のしゃぶしゃぶについても深い洞察力で語っています。
彼の初しゃぶしゃぶは日本を訪れたマルケージ氏が驚いた調理方法として作ってくれたものを食べたのだそうです。
彼もかなり衝撃を受けたようで、信じられないテクニックだと書いています。
ボッリートとレッソのゆで方がしみこんでいる国の人からすれば、薄く切った牛肉(クラッコシェフはカルパッチョのようと説明しています)を、だし汁でさっとゆでるだけで、肉も美味しくいただけるし、だし汁も美味しくなるというのは、画期的な調理方法だったのでしょう。

ちなみに、彼の本では、ゆでる調理方法をもう一つ挙げています。
それはスビアンキーレsbianchireです。

クラッコ氏は、イタリアの家庭料理で野菜をゆでると言えば、熱湯に野菜を入れて完全に柔らかくなるまでゆでることだと説明します。
そうそう、これこそが、初めてイタリアでゆで野菜を食べたときに感じた別物感。
日本のゆでると、イタリアのゆでるは違う。
そこで料理人に必要なのが、スビアンキーレのテクニックだと、シェフは語ります。

つまり、沸騰した熱湯に野菜を入れてゆでたらすぐに取り出して氷水で冷やす。
この方法だと色と歯ごたえが活かせます。

考えてみれば、日本では、この方法はよく使いますよね。
野菜だけでなく、麺にまで。

こんな調子で、カルロ・クラッコ氏の本はとても興味深い内容がいっぱいです。
ついでですので、次回はlessareの章をもう少し訳してみます。



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“ボッリート/料理のシリーズ、牛肉編”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2013年2月4日月曜日

なすの名前の由来

なすの話ですが、イタリア語でなすは?
そう、メランザーネですね。
melanzane。
なんでも、原産地であるインドのサンスクリットの言葉、vatignanaが語源で、これがアラビア語のbadnjanになり、アラブから地中海世界に伝わって、スペインではalberengenaになり、フランスではaubergineになり、イタリアではmelanzaneになったのでした。


イタリアに伝わったのは日本よりずっと後。
イタリア語のmelanzaneは、mela insana「狂ったりんご」という言葉に発音が近く、生のなすに含まれるソラニンによる軽い苦みがあることなどから、伝わった当初は大衆からは常に不信感を抱かれました。

ちなみに、なすはなす科なす属の植物ですが、学名はSolanaceae solanumで、どんだけソラニンが怖かったんですかねえ。
同じ属の他の植物、トマトやじゃがいもにもソラニンはあります。

そうそう、英語でなすは?
eggplantエッグプラント。
卵の樹?

Eggplants-9902


なるほど、こう見えていたのか。
 ↓
EGGPLANT ?


なすは一品だけで調理しても美味しいし、組み合わせる相手を選ばず、どんな食材とも相性が良い万能野菜ですよね。

今日のなす料理は、『パルミジャーナ・イン・ビアンコ』。
パルミジャーナは定番なす料理の一つ。

パルミジャーナと言う名前でも、パルマ料理ではありません。
しかも、パルミジャーノ・レッジャーノを使っているからこう呼ばれるわけでもない。
料理名や発祥地についてはあいまいなことしかわかっていない不思議な料理ですが、今では赤いトマトソースの色と、揚げて中はトロリ、外は芳ばしいなす、モッツァレッラなどのフレッシュで濃厚なチーズ、新鮮なバジリコ、の組み合わせが、典型的な地中海料理のイメージとなって広まっています。
 ↓
Parmigiana di melanzane




イン・ビアンコは、白いパルミジャーノという意味。
トマトソースが入りません。
それだけでもかなり印象が変わります。
こんな料理

赤いパルミジャーナより簡単にできますが、見栄えの派手さは今ひとつ。
表面にいかに美しくこんがりと美味しそうな焼き色を付けるかが、この料理のポイントかも。

パルミジャーナは、バリエーションがとても豊富。
なす以外の野菜でも、作ることができるし、ベシャメルを使う、ハムを入れるなど、作る人のアイデア次第で色々な料理に発展しますね。
 

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関連雑誌;『ガンベロ・ロッソ』2011年7月号、“パルミジャーナ・ビアンコ”のリチェッタを含む“なすの新家庭料理”の記事は、「総合解説」2011年7月号に載っています。

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2013年1月25日金曜日

マッケローニ

マッケロンチーニ・ディ・カンポフィローネは、ロングパスタなのに、なぜ“マカロニ”なのか。

マカロニと言えば、アメリカでは国民食的大人気料理、マカロニ&チーズ。
3代大統領トマス・ジェファーソンゆかりの料理。
詳細はこちらに。
 ↓




スパゲッティやタリアテッレタイプの麺なのにマッケローニという名前で呼ばれるケース
は、イタリア各地にあります。
たとえば、“マッケローニ・アッラ・キタッラ”などがその一例。
ただ、この件はイタリア料理界でも色々な議論があるようです。
そもそもマッケローニという言葉の語源さえ、特定されていません。

いわゆるマカロニは、ダイスで作る典型的なショートパスタ。
つまり工場で大量生産されるパスタです。
それ故に、世界中に広まって、イタリアの麺の代名詞として使われました。
日本には、イタリア製西部劇を意味する「マカロニ・ウエスタン」という言葉もありますよね。
wikiによると(こちらのページ)、実はこれ、淀川長治さんが考え出した和製英語なんだそうですからビックリ。

でも、そう考えると、マカロニは比較的歴史の浅い言葉。

一方、カンポフィローネのマッケロンチーニには、15世紀の記録も残っています。
“マカロニは穴あきショートパスタのこと”、というイメージは、ひょっとしたら外国からの逆輸入?

ともかく、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』では、今回は、
「トスカーナでパスタ・シュッタ全般をマッケローニと呼ぶ習慣があったので、それをまねたのだろう」
と推察しています。
パスタ・シュッタとは、スプーンで食べる麺料理(カッペッレッティ・イン・ブロードなど)以外の、フォークで食べる麺料理です。
トスカーナに丸投げかい、と突っ込みたくなりましたが、マルケ料理を調べていたはずが、いつのまにかトスカーナ料理を調べなきゃならなくなってますよー、これ。

まあ、こちらのページによると、
「パスタ職人という職業がイタリアで確立していったのが16世紀後半で、中でもトスカーナは、すでに14世紀にはパスタ職人の組合ができていた」
だそうですから、大先輩トスカーナの習慣をマルケの小さな村が無条件で受け入れたのも、大いに納得。

というわけで、またまた真相は歴史の深い闇の中、なのでした。

マッケロンチーニ・ディ・カンポフィローニ。
伝統的な定番ソースは、ホールトマト、子牛、豚肉、鶏肉のラグー。
 ↓



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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2011年7月号、“マッケロンチーニのラグーがけ”のリチェッタを含む「マッケロンチーニ・ディ・カンポフィローネ」の記事は「総合解説」2011年7月号に載っています。)

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2012年7月12日木曜日

ブッロ・エ・オーロ

今日はパスタの話。
『サーレ・エ・ペペ』のボローニャ料理の記事で、トルテッローニ・ヴェルディの“ブッロ・エ・オーロ”というパタスが紹介されていました。

ブッロ・エ・オーロって、何のことだと思います?

イタリア語ではburro e oro。
直訳すると、日本語ではバターと金。

バターはバターですよね。

問題は金。

答えは、トマト。
トマトは金色じゃないって?
ごもっとも。
ヒントは、 pomodoro。
分りました?
ポモドーロの語尾のオーロだったんですねえ。
そう言えば、ゴルゴンゾーラは略すとゾーラでした。
イタリア語では省略する時は語尾を残すんですねえ。
トマトをオーロと略すのは別にボローニャだけに限りません。

それにしてもこのソース、玉ねぎのみじん切りをバターで炒め、トマトと砂糖を加えて煮て塩で調味するという、ごく普通のトマトソース。
玉ねぎなしのバージョンもあります。
トマトソースをバターで作るという発想、言われてみて初めて気が付きました。
ありですよね。
ボローニャでは、ニョッキやリコッタの詰め物のトルテッローニにこのソースをかけることが多いようです。

というわけで、トマトをバターで煮るとボローニャ料理になる、ということを知ったのでした。
ボローニャ料理は地中海料理じゃない、という仮説を鮮やかに証明していますねえ。

↓ブッロ・エ・オーロをかければナポリ料理もボローニャ風に。
ボローニャ風ナポリ料理?
“パッケリとリガトーニのブッロ・エ・オーロ・エ・パルミジャーノ”。


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関連雑誌;『サーレ・エ・ペペ』2011年4月号、“リコッタのトルテローニ・ヴェルディ・ブッロ・エ・オ-ロ”のリチェッは、「総合解説」2011年4月号に載っています。

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2011年7月8日金曜日

ミネストラ

今日はイタリア料理史の話。

『ヴィエ・デル・グスト』の、「ピエモンテの日曜のプランゾ」という記事の中に、こんな一説がありました。

プリーモ・ピアットという呼び方は、1970年代以降に広まった。
それ以前は、主に“ミネストラ”と呼んでいて、ミネストラ・アッシュッタと、ミネストラ・イン・ブロードに分かれていた。


この記事によると、第二次大戦後から1970年代まで、ピエモンテでは、普段の食事は一皿だけで、肉とドルチェを食べるのは日曜だけ、という食生活が一般的だったそうです。
もしプリーモ・ピアットだけの食事だったのなら、確かに、「最初の皿」という呼び方は変。

イタリアで最初に、地方料理をイタリア料理という概念で一つにまとめた本、ペッレグリーノ・アルトゥージの『La scienza in cucina e l'arte di mangiare bene』(1891)でも確かに、「プリーモ・ピアット」という分類はなく、代わりに「ミネストラ」という章があって、“ミネストラ・イン・ブロード”と“ミネストラ・アッシュッタ”に分かれています。

そして章の序文は

「かつてはミネストラこそが人間の糧と言われたものだが、近頃の医者は、ミネストラでお腹を一杯にせずに、肉類も食べるように、と言う」
という話で始まっています。


それにしても、「ミネストラ・アッシュッタminestra asciutta」とは、よく考えてみると、不思議なネーミングだと思いませんか。

ミネストラといえば、普通、スープのことですよね。
でも、アッシュッタとは、「乾いた」という意味。

「乾いたスープ」?

こちらのwebページには、アルトゥージが分類した“ミネストラ・イン・ブロード”と、“ミネストラ・アッシュッタ”の一覧があります。

これを見ると、ミネストラ・アッシュッタの中に、スパゲッティやリゾットがありますねえ。
大雑把に分けると、アッシュッタはフォークで食べて、イン・ブロードはスプーンで食べる料理です。

さらにアルトゥージは、ミネストラはでんぷん質、とも言っています。

つまり、さらっとした野菜スープのようなものと言うよりは、パスタや豆が主役の、腹もちのよい料理だったわけですね。

つまり、ミネストラとは、単なるスープではなく、パスタやスープなど、現在で言うプリーモ・ピアット全般のことだった、と考えれば理解できます。
1970年代以降食生活が豊かになって、ミネストラの後に肉や魚料理を食べるようになったことによって、プリーモ・ピアット、セコンド・ピアットと呼ぶ習慣が定着した訳ですね。

プリーモ・ピアットという呼び方が広まってから、まだ50年も経っていないんですねえ。


ちなみに、ミネストラminestraの語源は、ミネストラーレminestrareという動詞です。
これには、「取り分ける、サーブする」という意味があります。
食事の最初に、家長が、料理の入った鍋から一人一人に料理をよそう習慣があったことから生まれた言葉なんだそうです。



↓アルトゥージが“ミネストラ・イン・ブロード”に分類した料理、ロマーニャ風カッペッレッティCappelletti all'uso di Romagna。






↓今年はアルトゥージの没後100年にあたるので、イベントも行われたようです。
下の動画はアルトゥージの功績をまとめたもの(英語の字幕付き)。
内容は、以前このプログで紹介したこととほぼ同じです(こちら)。







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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2009年1月号
“ピエモンテの日曜のプランゾ”の解説は、「総合解説」'08&'09年1月号に載っています。

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2010年12月28日火曜日

ajo e ojo

今日はパスタの話。

『ガンベロ・ロッソ』の記事の解説です。

ローマ近郊のレストラン、イル・トルド・マットのリチェッタを訳していたら、いきなりこんな料理が出てきました。

“ajo e ojo”。

スペイン語?
アホ・エ・オホ?

ajoはスペイン語で「にんにく」ですよね。
でも、ojoはスペイン語だと「目」という意味なので、これだと料理名になっていませんねえ。

ということは、これはれっきとしたイタリア語、というか、ローマなまりのイタリア語なんですね。
イタリア語で読むと、「アーヨ・エ・オーヨ」?
つまり、「アーリオ・エ・オーリオ」です。

ちなみに、このレストラン、イル・トルド・マットは、以前このブログで紹介したことがあります。
その時の記事はこちら

この店のアーリオ・オーリオは、特殊な麺を特殊な調理方法で作ることで有名でした。
特殊な麺とは、ファッブリ社(web page)の、セナトーレ・カッペッリ小麦を使った、イタリアでもっとも太いスパゲットーニ。
そして特殊な調理方法とは、リゾットの要領でフライパンで乾麺をマンテカーレしながらゆで上げるというもの。

残念ながら、その後この店は閉店してしまいました。
シェフだったアドリアーノ・バルダッサッレ氏は、現在は、ティヴォリのラ・シビッラというホテル・レストランのシェフをしています。
店のwebページはこちら
この店に移ってからの評判も上々で、早くも、得意の詰め物入りパスタが名物になっているようです。
ただ、アーリオ・オーリオは出していないようで、極太スパゲットーニのアーヨ・エ・オーヨは、幻の料理になってしまったのかもしれません。


ちなみに、ローマなまりのアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノは、ajo ojo e peperoncino(アーヨ・オーヨ・エ・ペペロンチーノ)。
ペペロンチーノはなまらないんですね。


おまけ。
シチリアなまりのアーリオ・オーリオは、
“l'agghia e l'ogghiu”。

ラッギア・エ・ロッギュでしょうか。



おまけの動画。

パレルモなまりの「アーリオ・オーリオのパスタ」の歌。
「パスタ・コン・ラッギア・エ・ロッギオ~♪」と歌っています。









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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2008年10月号
“アーヨ・エ・オーヨ”のリチェッタは「総合解説」'07&'08年10月号に載っています。

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2010年9月9日木曜日

イタリア料理の歴史、その3

『L'ITALIANO È SERVITO!』を元に、イタリア料理の歴史を知るシリーズ、前回はイタリアが都市に分裂して発展していった所まででした。
イタリアが輝いていた時代、いわゆるルネサンスですね。

この時代、都市は権力を握った一族によって支配されています。
それらの一族の名前は、料理の分野でもよく登場します。
本に登場したサヴォイア、スフォルツァ、ヴィスコンティ、エステ、ゴンザーガ、メディチは、料理の世界でもよく登場するので、覚えておいて損はありません。

中世のイタリアの町は、どこも壁でがっちりと囲まれていて、町に出入りできる場所は門だけ。
言ってみれば、ちょっとした鎖国状態です。
鎖国時の日本で独特の文化が開花したように、壁で囲まれたイタリアの町の中でも、独特の風習や伝統がはぐくまれていきました。
こうして、様々な個性を持ったイタリア地方料理が誕生します。

ルネサンス後、イタリア料理の歴史はどうなっていったのでしょうか。
それでは、本の続きをどうぞ。



地方

1861年、イタリア王国が誕生します(まだヴェネチアとイタリア北東部は含まれていません)。
トスカーナとローマを除けば、イタリア語を話すのは、人口のわずか2.5%。
各地方には、自分たちの方言、歴史、芸術様式、伝統、そして料理がありました。

現在のイタリアでは、みんなが同じ言葉を話しています。
誰もがサッカーのイタリア代表やフェラーリに熱狂します。
でも、エミリア人に「フィレンツェでもトルテッリーニは美味しい」とか、ナポリ人に「ミラノでもピッツァは美味しい」とは言わないでください。
イタリア人は、今でも伝統料理にこだわりがあるのです。
スーパーやパン屋に並んだパンの名前を見ても、それはよく分かります。
パーネ・ディ・アルタムーラ(プーリアの町)、パーネ・フェッラレーゼ、パニョッティーネ・マントヴァーネ、パーネ・トスカーノ、パーネ・カラザウ・デッラ・サルデーニャ・・・、といった具合なのです。


イタリア料理は存在する?

答えはノーであり、イエスです。
イタリア全国に共通のイタリア料理は存在しません。
もし、パレルモのレストランで、ローマやトリノのレストランと同じ料理が出てきたら、イタリア人は死んでしまいます。
イタリア人は、イタリア料理は望んでいないのです。
イタリア人が望むのは、「彼らの」料理、つまり彼らの町の料理であり、彼らの地方の料理なのです。

でも、イタリア料理は存在します。
イタリア人も、カンパーニアのバッティパーリアに行けば水牛のモッツァレッラを買い、バーリに行けば“チーメ・ディ・ラパのオレッキエッテ”を注文し、ボローニャでは“トルテッリーニ”、サルデーニャでは“ポルチェッドゥ”(炭火で焼いた乳飲み子豚)を注文するのです。





イタリア料理の歴史の話は、ここでひとまず終わっています。

「イタリア料理とは、地方料理の総合体である」という結論ですね。

どの料理も、たどっていけば、必ずどこかの町や地方に行きつく、それがイタリア料理だ、という訳です。


本では、この後、各地の食材名の違いについて説明しています。


“ブランジーノbranzino”(スズキ)は、イタリアの沿岸部ではよく知られた美味しい魚です。
でも、サルデーニャやナポリでは、メニューにブランジーノという名前は見かけません。
実は、ティレニア海沿岸では、スズキは“スピーゴラspigola”と呼ばれているのです。
他にも、ヴェネチアではシャコ(チカーレ・ディ・マーレcicale di mare)は“カノーチェcanocie”、または共通語化して“カノッキエcanocchie”、小ダコ(polpetti)は“フォルペーティfolpeti”、といった具合です。

これは観光客にとってはかなり厄介なことですが、やはりイタリア人にとっても厄介です。

イタリアには、何世紀にも渡るモザイクのような歴史があります。
港ごと、町ごと、地域ごとに方言があって、料理や食材についても、方言で語ってきたのです。
また、イタリア人は地元の伝統料理に執着する傾向があります。
こだわりは、食材や調理方法だけでなく、名前にも及んでいます。





このように、この本では、ジョークを交えながら、比較的分かりやすいイタリア語で、イタリア料理が語られていきます。

次の章は、「水とワイン、オイルとビネガー、塩とこしょう」。
そして「パン」、「サルーミの前菜」、「魚の前菜」と続いていきます。
どの章もなかなか面白い内容なので、おいおいご紹介していく予定です。



『L'ITALIANO È SERVITO!』
著者/Maria Voltolina
出版社/Guerra Edizioni
価格/3,500円(税込・送料込)


近々販売予定です。
クレアパッソで予約受付中。
お問い合わせは、info@creapasso.comまでどうぞ。



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2010年9月6日月曜日

イタリア料理の歴史、その2

『L'ITALIANO È SERVITO!』から、イタリア料理の歴史について書かれた部分のご紹介、その2です。

前回は、イタリア料理のルーツは、ケルト、ラテン、ギリシャの3つの文化だ、という話でした。
確かにこれは、イタリア料理は地方料理の集まりで、1つではない理由を、ずばり説明しています。

イタリアと日本は、縦長の海に囲まれた地形や緯度など、地理的に比較的似ています。
でも、日本の食文化では、北はバターと肉、南はオリーブオイルと野菜、といった大きな違いは見られません。
イタリアではなぜ、地方ごとにこんなにも食文化が違うのでしょうか。
それを説明するためにも、イタリア料理の歴史は、ローマ料理以前から始めなくてはなりません。

ケルトとは、ブリテン諸島からドナウ河一帯の中央ヨーロッパに勢力を広めた民族です。
イギリスやフランスの歴史でも、ケルトの文化は主要な存在でした。
ちなみに、スコットランドのサッカーチームの名前、セルティックは、「ケルト人」という意味。

イタリアから見ると、ケルトは北からやってきました。
彼らは、紀元前400年頃、ミラノ、ヴェローナ、アンコーナなどパダナ平野(ポー河流域)に定着します。
紀元前387年にはローマに侵略し、町をほぼ壊滅状態にしています。

ラテンは、後のローマ文明のルーツです。
青銅器時代にイタリアにやってきて、イタリア中部を本拠地として発展しました。

ギリシャは、ローマ建設とほぼ同じ頃、シチリアやイタリア半島南部に都市を築きました。


ケルト、ラテン、ギリシャ、この3つの文明の食文化は、イタリア北部、中部、南部に、それぞれ定着します。
外からやってきた異なる民族。
そのそれぞれの食文化が、イタリアの地方料理のルーツなんですねえ。
もし日本でも、北、中、南で異なる民族が住みついていたら、個性的な地方料理が生まれていたかもしれません。


そしてローマ時代。
ラテンを元祖とするローマは、イタリア中部から領土を拡大して、地中海とヨーロッパを手中に収めました。
でも、ローマに支配された国々には、どこもみなローマ料理が広まったでしょうか?
確かに少なからず影響は与えたでしょうが、各国の食文化が大きく変わることはなかったはずです。
北イタリアでも、その食文化が完全にローマ化することはありませんでした。

逆に、ローマには各地から食材や食文化が入ってきました。
帝国拡大の影響をもっとも多く受けたのは、ローマの食文化だったのです。

やがて、余りにも巨大になったローマ帝国は、西と東に分裂します。
イタリア中部が帝国に及ぼす影響力は、どんどん小さくなっていきました。


以下は『L'ITALIANO È SERVITO!』から。


当時知られていた世界を統一し、各地からの産物と食文化をイタリアにもたらしたローマ帝国は、約1,600年前に崩壊しました。
イタリアは、極貧状態になります。
人口は減少し、ゲルマン人や近隣からの侵略を受けて、村や町は、自分たちで戦わなくてはなりませんでした。


コムーネ

悲惨な貧困の時代は、約500年間続きました。
その後、いくつかの町でゆっくりと再建が始まります。
地中海地域では商取引が行われるようになり、商品の輸送と人の移動が再び始まりました。
こうして“コムーネ”が誕生します。
コムーネとは、住民の集会によって統治される自律的な都市のことです。
各都市は、近隣の都市に吸収されないように、防御を固めました。
軍事的防御(どのコムーネも、壁、塔、門で守られていました)だけでなく、文化的にもです。
コムーネごとに個性が強調され、祭りや伝統、そして料理も、各町ごとに特色のあるものが生まれます。


シニョリーア

1300~1400年頃、コムーネの中でも力のある都市は、小さなコムーネを吸収して、一つの地方としての勢力を持つようになります。
こうして、市民による民主制の時代は終わり、いくつかの一族がコムーネを支配するようになります。
血なまぐさい内乱の後、大きなコムーネは一つの一族が権力を握り、権力は世襲されるようになりました。
トリノのサヴォイア、ミラノのスフォルツァとヴィスコンティ、フェッラーラのエステ、マントヴァのゴンザーガ、フィレンツェのメディチなどが主なシニョリーアです。

そんな中でも、例外が3つあります。
ヴェネチアは、共和政を千年続けました。
ローマと中部イタリアの一部は、ローマ教皇領として残ります。
南部は、ノルマン人が支配し、さらにアラゴン王国、スペインと支配者が変わりました。

地方ごとに分裂したイタリアは、地方同士で戦いを繰り返しました。
当時のイタリアは、長く続いた古代ローマの後で、最も輝いていた時代です。
イタリアのシニョリーア制の都市は、ヨーロッパと地中海で強大な権力を誇りました。
それぞれが自立していて、ただ言語と文化だけが共通でした。
この時代に、イタリア地方料理の基礎ができます。





イタリア料理の歴史、次回に続きます。




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2010年3月30日火曜日

シェフのリチェッタを読む、その3

イタリア語のリチェッタ中級編に挑戦。

中級編は、辞書にない単語をどう攻略するか、がポイント。

タオルミーナのラ・カピネーラのシェフのリチェッタ、というか料理名を訳してます(汗)。

その料理名はこちら。

Tartara di tonnina e gamberetto di nassa
  con corallo dello stesso e sale di Mothia


上段は
「マグロの赤身とガンベロ・ロッソのタルタル」
であることが判明。

では下段に取りかかりますか。

corallo dello stesso

これはちょっとやっかいですよー。

dello stessoは、辞書で調べれば、「それ自信の」、つまり「ガンベロ・ロッソの」ということが分かります。

問題はcorallo。

辞書には「サンゴ」と書いてあります。
でももちろん、「エビのサンゴ」なんてものはこの世に存在しません。

では一体何でしょうか。

まあ今回は、その答えは材料を見ればすぐに解るようになっています。
でも一応、coralloについてちょっと解説しておきます。


辞書で引いても解らない謎の単語、corallo。
じゃあ検索してみると・・・。
多分、「サンゴ」ばかりヒットするはず。
そこでもう少し手がかりを足して、gamberiなどの言葉も加えて検索してみます。
するとごくわずかですが、料理に関するサイトでこの言葉が使われていることが分かります。
corallo di granchio
coralli di capesante
など。


実は、coralloという言葉は、イタリア語のリチェッタには時々登場します。
主に、corallo di capesanteという時に使います。

試しに、coralli di capesanteで検索してみてください。
今度はたくさんヒットするはずです。

corallo di capesanteは、帆立貝のオレンジの部分、つまり卵巣のことです。
サンゴ色だからこう呼ばれるのでしょうか。

coralloとは、魚介の卵を指す言葉としてごくまれに使われます。
つまり、エビのcoralloは、エピの卵のこと。
ただ、生のエビの卵は青緑色で、全然サンゴ色じゃないですよね。
エビの卵を業界用語で表現した、というところでしょうか。
中級編のリチェッタは、業界用語もバンバン出てきます。


そして最後のsale di Mothia。
これは問題ないですよね。
モツィアの海塩のこと。

つまりこの料理名は
「マグロの赤身とガンベロ・ロッソのタルタル、エビの卵とモツィアの海塩風味」
という意味。


実は、このリチェッタの材料と作り方は、解説が必要なほど難しい部分はありません。
作り方を要約すると、マグロとエピを別々に包丁で刻んでオリーブオイルと挽いたモツィアの塩で調味し、セルクルを使って皿に2段になるように盛り付けます。
上にイクラをのせ、粗挽きこしょうをかけてと香草(ミント、赤バジリコ、花つきシブレット)で飾ります。
エビの卵はオリーブオイル少々を加えて乳化させ、タルタルの横に青い筋になるようにたらします。
仕上げに粉のスパイス(ナツメグ、カレー粉、ジンジャーパウダー、タラワクペッパー)で皿のリムを飾って出来上がり。





マグロの赤身の鮮やかな赤、エビの透き通った薄桜色、そしてエビの卵の幻想的なターコイズブルー。
さらに、エキゾチックなスパイスと自己主張する丸ごとのハーブの香り。

面白い構成ですねえ。

ピエトロ・ダゴスティーノシェフはこの他にも、シチリアの生魚料理のレパートリーをたくさん持っています。
当たり前ですが、醤油を使わない生魚の食べ方も、たくさんあるものですねえ。
店のhpはこちら



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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年5月号
ピエトロ・ダゴスティーノシェフのリチェッタは、「総合解説」'07&'08年5月号P.18に載っています。

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2010年3月26日金曜日

シェフのリチェッタを読む、その2

料理人のリチェッタを読む、その2です。

前回は、料理名を訳す、というか、料理名の中の一つの単語を訳すことに全て費やしてしまいました。
こんな風に、料理人のリチェッタを訳す作業は、辞書に載っていない単語との闘いがその大部分を占めます。

今回の料理名は、
Tartara di tonnina e gamberetto di nassa
  con corallo dello stesso e sale di Mothia


これはかなり簡単な方です。

先日訳したある料理名なぞは、
Passeggiata in Val di Noto
ですよ。

「ヴァル・ディ・ノートの散策」?

上級編のリチェッタになると、辞書に載っている単語でも訳すのに苦労します。



さて、Tartara di tonnina...ですが、料理名の続きを訳していきます。
tonninaは「スマ」という魚の可能性もあるのですが、今回は「マグロの赤身」と解釈。
で、次はgamberetto di nassaです。

gamberetto di nassaは、直訳すれば「筌の小エビ」。
筌は魚を捕るかごのことです。
これで納得してもいいのですが、もう少し詳しく調べてみます。

一番手っ取り早いのは、gamberetto di nassaで検索する方法。
画像を検索すれば、gamberetto di nassaがどんなエピなのか、見ることもできます。
Google Italiaなどイタリアの検索エンジンで調べると、より詳しい情報が見つかります。

実際に検索して見ると・・・。

どうやらこのエビはスローフードのバックアップ食材に選ばれているようで、情報は比較的たくさんありますねえ。

地中海名物の赤いエビ、ガンベロ・ロッソの一種なんですね。
海底の暗い穴の中にいるために網で捕ることができず、かごを使うからこう呼ばれるんだとか。
とても甘く、新鮮なものを生で、レモン汁などを何もかけずに食べるのが一番美味しいんだそうです。

こんなエピ


これで納得してもいいのですが、食材の名前の場合はもう一歩踏み込んだ調査をします。

それは、日本名を調べる、という方法。

今は本当に便利な世の中で、gamberetto di nassaの日本名も、ちょっと検索すれば解ってしまうんです。
すごいですよ、まったく。

では、どうやって日本名を調べるのか、その方法を説明します。

まず、gamberetto di nassaの学名を調べます。

食材を解説するサイトには、その学名を載せているものが結構あるんです。

例えばこちら

Gamberetto di nassaの横に(Plesionika narval)とありますね。
これが学名です。

学名が分かったら、今度は学名で検索。
そうすればあっという間に日本名が判明します。

「オキノスジエビ」だそうです。


ああ、また一つの単語を調べるのに時間を食ってしまいました。
今日はここまでです。
続きは次回に~。



生のガンベロ・ロッソの前菜, photo by stefaniav



ガンベロ・ロッソのカヴァテッリ, photo by googlisti



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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年5月号
ピエトロ・ダゴスティーノシェフのリチェッタは、「総合解説」'07&'08年5月号P.18に載っています。

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2010年3月23日火曜日

シェフのリチェッタを読む、その1

今日は「イタリア語のリチェッタを読む、中級編」です。

今回は、プロのシェフのリチェッタとはどんなものなのか、解読してみましょうか。
でも中級編なので、比較的簡単なやつです。

料理は『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事から選びました。
タオルミーナのラ・カピネーラというレストランのオーナーシェフ、ピエトロ・ダコスティーノ氏のリチェッタです。

シェフはタオルミーナ出身で、世界各地で活躍した後、2003年に生まれ故郷に戻って店を出しました。
ミシュランでは1つ星です。
店のhpはこちら

シチリア産クロマグロを始めとする魚料理が得意。
シチリアの食材をふんだんに使ったアルタ・クチーナを作る人です。

ラ・カピネーラのPV






訳す料理は、こちら。

Tartara di tonnina e gamberetto di nassa
  con corallo dello stesso e sale di Mothia


プロの料理は、タイトルがやたら長いのがお約束。
これを訳すだけで一苦労です。

でも実は、イタリアの高級レストランのメニューにはこんな調子の料理名がずらっと並んでいる訳で、そもそもこれを訳せないと、何を注文すればいいのか分からない、という事態になってしまいます。

さーて、これはどんな料理?

ちょっとヒント。
材料が多少違いますが、同じシェフが作ったこの一品によく似ています。
 ↓
tartara di tonno e cernia

“Tartara”が分かれば、謎はかなり解けます。

tartaraは「タルタル」。

つまり、この料理は、tonninaとgamberetto di nassaのタルタルです。
そこにcorallo dello stessoとsale di Mothiaがのっている、という訳です。
多少はイメージできたでしょうか。


では、tonninaとは、何でしょう。

実はここからが、このリチェッタが中級編な所なんです。
tonninaとは何か。
この答えを探せるか探せないかが、全ての分かれ目!


“tonnina”は辞書で引くと、
「1.マグロの背肉の塩漬け、2.マグロの一種」
などと書いてあります。

確かに、マグロの塩漬けのことをトンニーナと呼びます。
これは、マグロを2週間ほど塩水につけてからさっと干したものです。

でも、「辞書にも書いてあるからマグロの塩漬けかなあ」、と思ってはダメなんです!
中級編のリチェッタで、辞書の通りということは滅多にない!
そもそも、2週間塩に漬けたマグロでタルタルは不自然だし。

さらに、後から出てきますが、リチェッタの材料を見ると、「tonnina freschissima(新鮮なトンニーナ)」となっています。
辞書に書いてあっても、塩漬けとは違うようですよ。

では、マグロの一種?
確かに、地方によってはEuthynnus alletteratusという学名の魚をトンニーナと呼ぶことがあります。
これは、日本名はスマというサバ科の魚です。
実はクレアパッソの「総合解説」では、トンニーナをこの魚と紹介してしまいました。
スマは味がカツオに似ていると言うので、タルタルにしてもおかしくないと思ってしまったんですねえ。
でも、詰めが甘かったです。
反省しています。
大変失礼いたしました。

スマでもなかったんです。

では一体何か。

ヒントは、ラ・カピネーラのhpで紹介されている雑誌の記事の中にありました。

「Rassegna stampa」の「Stampa 2008」の中に、「tartara di tunnina di Favignana」という言葉を発見!
このリチェッタのtonninaとは、正確には、「ファヴィニャーナのトゥンニーナ」でした。

そこで「ファヴィニャーナのトゥンニーナ」というキーワードで調べた結果、分かりました。

これ、クロマグロの赤身のことでした。

ふう~。
ここまで調べるのはかなり大変だったんですが、文字にするとあまりにあっけない・・・。
まあ、そんなもんです(涙)。


tonninaの正体が分かったところで、材料と作り方の原文はこちら。


Ingredienti per 4 persone

g 250 di tonnina freschissima
g 150 di gamberetti di nassa freschissimi
g 25 di uova di gamberetti
Olio extravergine di oliva biancolilla
Cristalli di sale di Mothia

Per la guarnizione
g 15 di uova di salmone
4 rametti di menta
4 foglie di basilico rosso
4 steli di erba cipollina fioriti
Pepe di mulinello
Spezie in polvere (noce moscata, curry, zenzero, pepe di Sarawak)

Pulire bene la tonnina e i gamberetti, batterli separatamente al coltello ottenendo una dadolata non troppo piccola.
Condire sempre separati, con un filo d'olio a crudo e pochissimo sale di Mothia macinato al mulinello.
Mettere al centro di ogni piatto un anello cilindrico, riempirlo con un poco di tartara di tonnina e sovrapporre i gamberetti ben pressati.
Sfilare l'anello e sopra appoggiare alcune uova di salmone.
Guarnire la tartara con una macinata di pepe e le erbette aromatiche.
Con un cucchiaio disporre di lato una lacrima di uova di gamberetti emulsionata con un filo d'olio e colorare il bordo dei piatti con le spezie in polvere.




次回はこのリチェッタを解読していきます。



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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年5月号
ピエトロ・ダゴスティーノシェフのリチェッタは、「総合解説」'07&'08年5月号P.18に載っています。
トンニーナは「マグロの赤身」と訂正させていただきます。大変申し訳ございません。

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2010年2月18日木曜日

リチェッタを読む、入門編。その4

イタリア語のリチェッタ解読、今日は仕上げです。

前回は、詰め物を作ってズッキーニに詰める所まででした。
では最後の文章です。

Passatele in forno solo per scaldarle (non devono gratinare), poi accomodatele nel piatto e sevitele.


なんだかleがやたらとありますねー。
1つずつ見ていきましょうか。


■Passatele

passate+leです。

passateの原形はpassare。
「通す」という意味。

leは女性形・複数の目的格の代名詞で、「それらを」という意味。
それらとは、前の文章に出てくる女性形・複数のある名詞を指しています。

前の文章は、
Raccogliete il composto in una tasca da pasticciere con bocchetta liscia e riempite le zucchine.

この中に、女性形・複数の名詞は1つしかないですね。
le zucchineです。

ということは、passateleは「ズッキーニを通す」ですね。


ズッキーニを何に通すかというと、

■in forno

inは英語と同じ、「中に」。

fornoは基本の単語の1つ。
「オーブン」。

つまり「オーブンに」通すんですね。


■solo per scaldarle

soloは「ただ・・・だけ」。

perは「ために」。

scaldarleはscaldare+le。
「温める」+「それを」。

直訳は、「それをただ温めるためだけに」


■non devono gratinare

nonは「ではない」。

devonoはdovereの三人称・複数形。
「しなければならない」。

gratinareも基本の単語の1つ。
「焼き色をつける」。

直訳は「焼き色をつけてはならない」。


■poi

もうお馴染み、「それから、次に」。


■accomodatele

accomodate+le。

accomodateの原形はaccomodare。
「整える、くつろぐ」。

よく「どうぞお楽に」という意味でaccomodateviと言います。
でも、料理用語の場合は「盛り付ける、置く」という意味。

leはle zucchine。


■nel piatto

nelはin+il。
nel piattoは分解するとin il piatto。

直訳すると「皿の中に」。


■e sevitele

eは「そして」。

selviteleはselvite+le。

selviteの原形はselvire。
直訳は「食事を出す、給仕する」。

leはle zucchine。

直訳は「そしてそれを出す」


■最後の文を最初から全部通して訳すと、
「(詰め物をした)ズッキーニをオーブンに通して温め(焼き色はつけない)、皿に盛り付けてサービスする」



という訳で、一番最初から、全文通して訳してみます。
ズッキーニは端を切り落としてアルデンテにゆで、3つに切って中身をくりぬく。
玉ねぎのみじん切りをバターでソッフリットにし(しんなり炒める)、ズッキーニのくりぬいた部分を入れて炒める。
これをグラナ・パダーノ大さじ1、刻んだ皮むきピスタチオ大さじ1、塩、こしょう、粉にしたアマレッティと混ぜる。
混ぜた材料を丸口金をつけた絞り袋に入れ、ズッキーニに詰める。
オーブンで焼き色がつかない程度に温めて皿に盛り付け、サービスする。



お疲れ様でした~!


おまけの動画。
ズッキーニのリピエーネ各種。


■さやいんげん、スカモルツァ、ハム、グラナ・パダーノ、卵、パン粉の詰め物





■トマト、フォンティーナ、パルミジャーノ、ウインナー、卵の詰め物





どちらも半分に切ってから中身をくりぬくタイプですね。
今回訳したリチェッタは“トロンケット”(丸太型)に切って中身をくりぬく方法ですが、この動画のように半分に切って中身をくりぬく形は“バルケッタbarchetta”(船型)と呼びます。




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ズッパ・ディ・ヴァルペッリ―ネは、厳しい気候、痩せた土地、物量が困難な高山地方のご馳走。ズッパの語源はドイツ語の濡らしたパン。

コンテンポラリーな地方料理というテーマで、イタリア各州の名物料理を紹介しています。 このところ、ヴァッレ・ダオスタの料理を取り上げていますが、このイタリアで一番小さな州の料理の話をするなら、まずフォンティーナのことを理解するのが大前提、という訳で、イタリアを代表するチーズの話をし...