2021年1月29日金曜日

家内制手工業だった時代のパスタに必要なものは主婦の腕。工場で大量生産される時代になると、製麺機と澄んだ水に変わった。やがて動物が動かす機械が考え出され、人間はいらなくなった。

美味しい量産タイプのパスタのポイントは、小麦、長時間乾燥、ダイスの3点でした。
今日は小麦について。
スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの『パスタ・エ・スーゴ』には、
こう書いてあります。


小麦は、地中海文明のシンボルとされる穀物。
ただし人類が初めて栽培した小麦は、3種類あるスペルト小麦のうちの1つで、
柔らかいもみ殻に覆われているために粉にしにくい品種でした。
粉にしやすい品種、硬質小麦triticum durumと軟質小麦triticum aestivumが登場するのは5世紀末です。
硬質小麦はパスタに最適で、軟質小麦はパンに最適。
さらに北部では、気温が低くて日照不足のため、硬質小麦の栽培に適しませんでした。
硬質小麦や軟質小麦についてはパスタ・フレスカの歴史の話の時にも説明しています。
パスタの歴史の話なら、この本。パスタ・レボリューション


人間が粉にできる穀物が増えるにつれて、パスタの種類は無限に増えていきました。
ただし、イタリアでは、パスタといえば硬質小麦の製品のみを意味します。
イタリアでは、年間一人あたり約25kgのパスタを消費しています。
100gあたり約350kcal、75~79%が炭水化物で、1日に必要なカロリーの60%にあたります。残りは動物性脂肪が1.5%、植物性たんぱく質が10~12%。はパスタは血は糖値を上昇させるグリセミック負荷が低い食物とみなされています。
パスタを美味しいいただくには、アルデンテにゆでて、野菜や豆などとシンプルな味付けで食べるのが、体にもよいでしょう。
軟質小麦粉のパスタは卵を加えるので、栄養価、特にコレステロール値が硬質小麦粉のパスタとは違うものになります。

乾麺のパスタの歴史

パスタは、そもそも、家庭で作る食べ物でした。
主婦が毎日手作りしていたのです。
小麦粉、卵、水をこねる段階で様々な形が考え出されました。
それを保存や輸送のために乾燥する方法が確立されると、パスタは1軒の家庭の食べ物から、製造所で作る大量生産品になります。
そのためには、小麦も大量に必要で、麺を作る機械も発明されました。
この時代以降、パスタに必要なものは、ダイス、澄んだ水、おいしい空気、と変化していきます。

製麺機で作るようになっても、必要な人数は、横木の下に生地をセットする係と横木を下げる係の二人だけでした。
やがて動物の動力で動く機会が発明されます。
とうとう人間は必要なくなりました。

19世紀になって、ブロンズのダイスが発明されると、穴開きパスタに革命が起きます。
パスタ工場での基本的な製造過程は、粉にする、こねる、ダイスを通す、乾燥させる、でしたが、テフロンに変わるブロンズのダイスが発明されると、そこにデザイナーとエンジニアが登場するようになります↓

ブロンズのダイス以来、革命的大発明は生まれていません。
パスタ業界では待ち焦がれているんだろうなあ。

世界最大のバリラのパスタ工場での製造過程。
粉を入れるとパッケージに入った製品が出てくる。

パスタの歴史の話は、


さて、次は乾燥の話です。

-------------------------------------------------------
パスタ・レボリューション
 [creapasso.comへ戻る] 
 =====================================

0 件のコメント:

セナトーレ・カぺッリはすべての硬質小麦の父と呼ばれる小麦。たんぱく質の含有量が高く、貧者の肉、と言われるほどでした。

イタリア料理を象徴する食材、小麦の話を続けます。 硬質小麦と軟質小麦の区別は、1900年代初めに導入されました。 最も一般的なパンに使われる00タイプの小麦粉が軟質小麦粉で、硬質小麦からは若干大粒のセーモラsemolaを作りました。 軟質小麦と硬質小麦 セーモラは乾燥パスタの原料...