2023年1月7日土曜日

カントゥッチ。フィレンツェじゃなくプラートで生まれたのに、フィレンツェのヴィンサントに完璧に合うアーモンドビスケット。

バーチ、ブルッティ・マ・ブオニと続いて、さすがにイタリアにはおいしいアーモンドビスケットが多いなあ、と思い始めたところでした。
これらの他に、イタリアのドルチェの象徴、カントゥッチcantucciもアーモンドビスケットです。
個人的に、イタリアの3大ドルチェはカントゥッチ、ティラミス、カンノーリだと思っています。
カントゥッチは別名ビスコッティ・ディ・プラートとも呼ばれます。
トスカーナのプラートが発祥地。プラートはフィレンツェに近い街ですが、このビスコッティにはフィレンツェ特産のヴィンサントが欠かせません。 
アーモンドが使われるようになったという文書が残っているのは、19世紀になってからですが、メディチ家のテーブルにも出されていたらしい。
アーモンドは粉ではなく丸ごと使うドルチェ。
棒状にして一度焼いてからスライスしてもう一度焼く、つまり2度焼くのでとても乾燥して、長期間保存ができたビスコッティ。
トスカーナでは食後にヴィンサントに浸して柔らかくして食べる。
この食べ方は世界中からトスカーナにやってくる観光客に大受けで大ヒットした。
このお酒にビスコッティを浸す、という食べ方を覚えて以来、歯が折れそうなくらい硬いカントゥッチが大好きになりました。甘くてアルコール度が高いこのお酒が異常なくらい進むことに気が付いたのは、かなり出来上がってからでした。
カルロ・カンビの『ミリオーリ・リチェッテ・ディ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ
には、“この貴重なワインの愛好家にとってこの食べ方は、恐ろしいものに映るようだ”なんてことも書いてありました。

カントゥッチ


スローフードの『イタリア・イン・クチーナ

のリチェッタを訳してみます。リボルノのトラットリア・マリーノのリチェッタです。
材料/6人分
軟質小麦粉・・200g
ベーキングパウダー・・小さじ2
殻むきアーモンド・・200g
ノーワックスオレンジかレモンの皮のすりおろし・・1個分
卵・・2個、卵黄・・1個
砂糖・・150g
マルサラかベルモット・・1/2カップ
バター、塩

・アーモンドと卵黄以外の全部の材料をこねて均質の生地にする。卵の大きさによって変わるが生地が緩い時は小麦粉少々を足す。
・トーストした皮つきアーモンドを加え、幅が広すぎない棒状にする。
・卵黄を塗り、180~200℃のオーブンで約15分焼く。
・粗熱を取り(冷ましすぎると崩れる)。ナイフでアーモンドの断面が見えるように斜めにスライスする。
・再び150℃のオーブンに入れて10~12分焼いてきれいな焼き色をつける。

※オレンジの皮が手に入らない地方ではレーズンやアニスシードで代用した。

ルフィーノが『ルフィーノのトスカーナ』で提案するカントゥッチは、さすがにトスカーナの歴史あるワインリーだけあって、とても洗練されています。
ヴィンサントではなく、ヴィンサントと削ったチョコレートを加えたマスカルポーネクリームをグラスに入れてそこにカントゥッチも入れるのです。
これなら酔っぱらわずにカントゥッチもヴィンサントも味わえそう。

そして次回はヴィンサントについて。そもそも、どんなワインでしたっけ。

 
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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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