2021年10月5日火曜日

シチリアに行くなら冬がお勧め。

前回でキャベツの話は終了。
次はシチリアです。正確にはシチリアを代表するワイナリー、プラネタが案内するシチリアです(日本語訳は今月のCIR、P.16〜)。
プラネタは、

シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ
という、シチリア料理の美しい本を出しています。

プラネタは、メンフィで創業し、シチリアの西から東まで各地にワイナリーを持ち、世界中のグルメな客が訪れる高級リゾートホテルも経営するという、一族経営のシチリアワインを引っ張るリーダー的ワイナリー。
きのう紹介したルフィーノの本もそうなのですが、

ルフィーノのトスカーナ

ワイナリーは、その地方の農業のヒエラルキーのトップに君臨しているようで、地域の王様として、地域の食文化を守り、育てていく、という崇高で熱い思いに満ちています。だから中途半場な本を作る気はさらさらないようで、賞を取るくらい素晴らしいのですが、とても高尚で、とっつきにくいのが玉に瑕。
あまり積極的に推してこなかったのですが、残念ながらそろそろ売り切れのようです。
今回の記事は、すでにご購入頂いた方がこの本を読む時にちょっとした助けになるかも知れません。
プラネタのワイナリー

プラネタのワイン

まずは記事の冒頭、プラネタの経営者の一人、ビート・プラネタがこう語っています。
シチリアに行くなら、冬がお勧め。
暑くないし混んでいない。村は普段のリズムを取り戻している。
さらにヨーロッパ最大の考古学公園があるセリヌンテには、1月ならあなたしか人がいないだろう、と言ってますよ。
さすがにシチリアにカンティーナを5つも所有している人は、目の付け所が違う。

セリヌンテ↓

彼が、本物のシチリアがある、と考えているアグリジェントとトラパニの間のベリチェは、こんな所。↓
都会的な要素が1ミリもないところですね。

1968年の1月14日の夜に起きた地震はマグニチュード6.4で、何度も余震に襲われて、シチリア東部に甚大な被害を出しました。
皮肉なことに、地震で街が崩壊して忘れ去られたため、昔ながらの伝統がそのまま残され、現代まで手つかずのまま伝わってきました。
現在のこの地方は、考古学、ワイン、オイル、料理など、様々な目的の旅人で賑わっています。

シチリアの家庭料理のベースは、手作りの裏ごしトマト↓

プラネタもルフィーノも、リチェッタには興味を示さず、その根底に流れる伝統を伝えたがっています。ワイナリーの本は個性的で難しいけど、じっくり読み込んでみると、貴重で面白いですよ。お勧めです。
シチリア料理の話、次回に続きます。


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