2021年10月16日土曜日

トマトソースやボンゴレが一般的なイタリアのパスタだと思っていると、北イタリアのパスタは多分想像できない。

ランゲ料理やタヤリンの話になると、必ず登場する女王、ジェンマ・ボエーリシェフ。
正直言って、少々食傷ぎみなので、ピエモンテには別の女王がいないか探してみました。
そして候補に上がったのが、ルイザ・バラッツァシェフです。
情報源はデ・チェコの本、『パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア』。



イタリア各州のグランシェフを一人ずつ紹介するこの本でピエモンテ代表に選ばれたシェフです。
ちなみに、この本にはこんなことが書かれていました。

1798年に書かれた『La Cucina Piemontrese』という本には、ピエモンテの一番人気のパスタ、タヤリンは幅3mmの細いパスタで、バターとトリュフ、グレイビーをかけて食べる。
他の地方では、一番有名なパスタは、トマトソースのスパゲッティと、ラグーのタリアテッレだ。人気があるのはスパゲッティ・ボンゴレとペーストのリングイーネ。
イタリアの食文化のベースは米、ポレンタ、ズッパ、そしてその後がパスタ・シュッタ・・・」
ピエモンテから見るとトマトソースのスパゲッティは、全国区な料理ではないのですね。
ピエモンテのパスタの話をする時は、イタリア料理の一般論は置いとかないといけないのかも。

話を戻してルイザ・バラッツァシェフです。
彼女がシェフを務める店は、アル・ソッリーゾAl sorriso。
ルレ・エ・シャトーグループのピエモンテはノヴァーラの高級リストランテ・ホテルです。


ルイザのリゾット


それでは本のリチェタを訳してみます。
ブロッコリ、松の実、ザリガニのフェットゥチーネです。Fettuccine con broccoli, pinoli tostati e gamberi di fiumeです。
材料/4人分
卵入り麺のフェットゥチーネ・・200g
ブロッコリー・・1個
トーストした松の実・・40粒
ザリガニ・・小12〜14尾
オリーブオイル
塩、こしょう
トマトソース・・100ml
エシャロット・・1個
にんにく・・小1かけ
バジリコ・・4〜5枚
ザリガニのフメット・・500ml

・エシャロットとにんにくをみじん切りにしてザリガニと一緒に炒める。
・ゆでたブロッコリーを加える。トマトソースを加え、必要ならフメットをかけてて5分煮る。
・松の実とちぎったバジリコを加える。
・パスタを5分ゆでてソースに加え、なじませる。
・皿に盛り付けてバジリコ1房とザリガニで飾る。

ザリガニのパスタというだけで、もう別世界の食べ物ですが、下のザリガニ動画はちょっとえげつないかも。
ザリガニのスパゲッティ↓


ピエモンテの隣のロンバルディアは川魚の宝庫でリチェッタもたくさん。
それでもザリガニは減りつつあります。
ザリガニの下ごしらえの方法、訳しようがなかった・・・。

スローフードのパスタの地方料理の本、パスタ・フォルメ・デル・グラノ
に載っているピエモンテのパスタは、
agnolotti、biavetta、calhetas、dunderet、gobein・・・、となんのこっちゃなものばかり。

下の動画はLe Cajetteというじゃがいものパスタ。
ヴァッレ・ダオスタに近いのかも。

小麦が軟質小麦も硬質小麦も育たない、米もポレンタになるとうもろこしもない、となると、こんなパスタが生まれるんですね。

ルイザシェフはエビ料理が得意のようで、シチリアのガンベロ・ロッソを刻んでシートの間に挟んで薄く広げ、パスタ代わりに使ったエビのカネロニが名物料理。
で披露している。

下の動画のガンベロ・ロッソのインボルティーニと似た発想だが、ルイザのリチェッタは火を通さない、生のエビのカネロニ。


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