2021年7月30日金曜日

マグロ漁の規模がすごすぎて怖い。

クロマグロの漁獲量の上限が引き上げられた、というニュースを聞いて、大西洋クロマグロの水揚げで一喜一憂しているイタリアのマグロ漁のことが頭に浮かびました。
一昔前までは、シチリアやサルデーニャのマグロの伝統漁は大勢の観光客を惹きつけていましたが、マグロが減って漁ができなくなり、伝統漁自体が寂れていきました。
ただ、その伝統漁というのは、マッタンツァmattanzaと呼ばれる囲い込み漁で、網の中に追い詰められたマグロを漁師が叩き殺すという残虐なもので、とても現代では受け入れられないものでした。
大昔から続くマグロの伝統漁、2007年のマッタンツァ↓

一隻の漁船で、世界中の伝統漁より多くのマグロを捕るようになりました。
マグロを巡る世界の状況は、刻々と大きく変わっています。
マグロの脂、トロを貴重品として特別扱いする習慣は、実は比較的最近広まりました。そのきっかけは、築地でのセリでついた例の法外な値段です。
これでマグロは世界一値段が高い野生生物になりました。by J.Steingarten
そして世界中がトロの価値に気づき、市場のマグロの相場は、ビットコインのように一山当てたい人たちが注目するものになったのです。
日本人は世界中で一番マグロを食べます。
日本でクロマグロのトロに法外な値段がついたら、それまでマグロの脂には見向きもしなくてキャットフードにしていたアメリカ人も、大幅に方針転換をしました。
網を使った漁で、一度に大量にマグロを捕るようになったのです。

今のマグロ漁↓

当然、地中海のマグロの数は風前の灯となった。
だから今回の漁獲量の引き上げも、マグロの値段が安くなる、という単純な問題ではなく、その先を見通さないと、地中海の伝統漁の消滅も他人事ではなくなる。

シチリア料理の本、“グイド・トンマージの地方料理シリーズ”『クチーナ・シチリアーナ


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