2023年4月14日金曜日

ピスタチオと言えばエトナ山の麓ブロンテ産が有名。ピスタチオはカッッサータやジェラートと共にアラブから伝わった。では、シチリアのドルチェに欠かせないアーモンドは?実は伝えたのはアラブじゃなかった。

今日のおばあちゃんの料理は、“モルタデッラとピスタチオのプラムケーキ。”リチェッタはCIR2021年2月号P.3。
この料理のおばあちゃんのエピソードは、「料理が趣味の母が祖母のレシピノートから見つけた料理」、とあります。プラムケーキとはパウンドケーキのこと。おばあちゃんに関する情報は何もありません。材料を混ぜて型に入れて焼くだけのとてもシンプルな料理で、ケーキとは言っても甘くないケークサレです。シンプルで簡単そうなこのケークサレをグルメな料理にしているのは、“ピスタチオ”。
ピスタチオと言えばシチリアの名産物なので、このおばあちゃんはおそらくシチリアの人ですね。
シチリアのピスタチオは、エトナ山の西の麓の街、ブロンテ産が有名。イタリアのピスタチオの大部分はブロンテ産。ただし、その量は世界の総生産のわずか1%。その鮮やかな緑色は世界一と評価されています。
ブロンテのピスタチオ祭り。

ピスタチオをシチリアに伝えたのはアラブ人。アラブ人はドルチェ造りも伝えました。カッサータやジェラートなどが知られていますが、シチリアのドルチェと言えば、アーモンドです。ちなみにアーモンドはどこから伝わったのでしょうか。意外なことにアラブではありません。答えはギリシャです。シチリアの、特に南西部の気候はアーモンドにぴったりだったのです。アーモンドの産地として有名なのはアーボラ。

アーボラのアーモンドの収穫。

ピスタチオのプラムケーキはピスタチオを使った代表的なドルチェ。


色々なリチェッタがあるけど、(CIR)P.3のリチェッタは、おばあちゃんのリチェッタだけあって、面倒なことは一切しません。混ぜて焼く。それだけです。ピスタチオとモルタデッラはワインが絶対美味しくなる組み合わせです。グルメなおばあちゃんだったはず。
モルタデッラにピスタチオが入ってるとうれしい。

ピスタチオ入り自家製モルタデッラ。

材料/
豚もも肉かすね肉・・450g
パンチェッタ・・350g
ラルド・・140g
ガーリックパウダー・・1g
コリアンダー・・5g
ナツメグ・・5g
塩・・20g
ビスタチオ・・100g
刻んだ氷・・280g
粉末ミルク・・70g
食紅かビーツ・・少々
赤ワイン・・30ml
ロースト用袋かラップ

・もも肉とパンチェッタをミンサーで細かく挽いてミキサーに入れ、ビーツ1個の汁か食紅を加えてモルタデッラに薄く色をつける。刻んだ氷を少しずつ混ぜ込んで生地が熱を持たないようにする。
・塩20g、ナツメグ、氷を加える。
・粉末ミルク、氷を加える。
・小角切りにしたラルドを3分ゆでる。
・生地にピスタチオを加えて混ぜ、冷めたラルドを加える。
・コリアンダー、シナモン少々、こしょう3gを加える。
・高温可のロースト用袋か腸に詰めてキャラメル形にきつく閉じ、密閉できる袋に入れる。
・鍋に入れて水で覆い、75℃の湯で40分〜1時間ゆでる。
・一晩冷まして袋から出し、スライスする。

ここで質問です。モルタデッラはどの街の産物でしょうか。
答えはボローニャ。最上質のものは豚の肉60%、頬肉、トリッパ、香料30%の“エクストラ”。

ちなみに私はモルタデッラが大好きで、ボローニャに初めて行った時、ワクワクしながら惣菜店に入って、いざモルタデッラを注文しようとして呆然としました。数枚ずつバックされたスーパーのちっちゃなモルタデッラしか見たことがなかったのに、スライサーに乗ってるモルタデッラは、直径数十cmはある化け物でした。まさか、こ、これをスライスするの?!
その時のショックは絶望と形容するのがぴったりでした。

イタリアのモルタデッラ。

みんなこんなに買っていくよ。私、どうしよう・・・。

おっといけない、ピスタチオの話してたのに、いつの間にかモルタデッラの話になっちゃった。ま、いつものことですが。ボローニャの肉屋でモルタデッラをスライスしてもらうのは一生に一度はやっておきたい。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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