2023年2月18日土曜日

ゆでた牛のすねの軟骨、ネルベッティは貴族が食べないので庶民にふるまった部位。そのサラダはミラノやベネチアのオステリアで人気の前菜になった。

今月の(CIR)のリチェッタは、イタリアのトラットリアのプランゾがテーマ。
前菜2品見た時点で気が付いたのは、トラットリアのメニューはイタリア人が大好きな定番料理で構成されていて、地方料理ではあっても、イタリア中の地方料理がある、ということ。
きのうのマスのカルピオーネはロンバルディア料理。そして今日のネルベッティのサラダ(リチェッタはP.3)もロンバルディア料理です。正確にはミラノ料理。
ネルベッティのサラダ。

まず、イタリア語で“ネルヴォnervo”というと“神経”という意味なので、ちょっとどんな食べ物か疑問に思いますが、安心してください。神経は入ってませんよ。
ネルベッティは、子牛のすねの軟骨です。これを香味野菜と一緒に長時間ゆでて型押ししてカットしたもので、ひと昔前は、典型的なオステリア料理の前菜と考えられていました。
かつてはサルメリアで作っていましたが、今はスーパーで売っています。

市販のネルベッティであっという間に作るサラダ。

庶民感がチラチラ見えている料理ですが、中世では、貴族が庶民に気前よくふるまった自分では食べない部分だったのです。ちょっとショックなルーツですが、領主様の気前の良さを現すための道具とはいえ、トラットリアで一杯やりながらつまむネルベッティのサラダは人気の1品になりました。たぶん格安の料理だったのでしょう。

ベネトの料理、サオールと組み合わせた
ネルベッティのサラダのイン・サオールInsalata di nervetti di vitello in saor
というのもあります。
材料/
ネルベッティ・・100g
牡蠣・・12個
セロリ・・2本
トロペアの赤玉ねぎ・・3~4個
りんご酢・・50g
ブラウンシュガー・・30g
土佐酢・・60g
ミスティカンツァ(ミックスハーブ)
エストラゴン
EVオリーブオイル

・セロリを小角切り、玉ねぎを細切りにする。
・小鍋に酢、水(ビネガーの重さの2倍)、ブラウンシュガー、塩一つまみを入れて沸騰させ、セロリを加えて2~3分煮る。セロリを取り出し、玉ねぎを加えて2~3分煮る。
・牡蠣を開けてバットに並べ、バーナーで軽くあぶる。汁は集める。
・ネルベッティを薄く切ってボールに入れ、セロリと玉ねぎを加える。油と牡蠣の汁で調味して皿に盛り付ける。こしょうをかけ、薄くスライスしたネルべッテをかぶせてバーナーであぶる。ミスティカンツァを散らして土佐酢をかける。

アレンジ次第でリストランテの1品にもなるんですね。
この料理のベースは、チケッティの1品、ネルベッティと玉ねぎ。
さらにベネトのオステリア料理、つまりチケッティの本『ピアッティ・エ・チケッティ・ダ・オステリア

にも、ネルベッティと玉ねぎ、という料理が載っていました。これはベネチア料理・・・。


ちなみにこの料理にお勧めのワインはプロセッコだって。


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