2022年5月2日月曜日

昔の料理書は材料の名前だけで配合なんてなかった。しかもフランス語だった。これを主婦が解読した各家庭の秘伝のレシピが現代まで伝わっている。

今日のイタリアの定番ドルチェは“ズッパ・イングレーゼ”です。
エミリア=ロマーニャのスプーンで食べるドルチェの女王です。
諸説ありますが、16世紀にフェラーラのエステ家のパティシエが考え出したドルチェで、フェラーラの外交官がロンドンでアングロサクソンの伝統のデザート、トライフルtrifleに出会い、それをイタリアの食材で再現したドルチェ、という説があるそうです。トスカーナやウンブリアのドルチェという説もあります。ズッパというのは『浸す』という意味のinzuppareからきています。
ヴィクトリア朝風トライフル↓。
スポンジ生地、ブラディー、ジャム、フルーツの砂糖漬け、スポンジビスケット、シェリー酒、カスタードを重ねたてホイップクリームで覆ったものですが、バリエーションは無数にあります。ティラミスにも影響を与えたと考えられているデザートです。
このドルチェを広めたのはアルトゥージでしてたが、彼はエミリア=ロマーニャとトスカーナのどちらにも暮らしたことがあり、両方の地方料理にそれなりのなじみがありました。
トライフル

カルロ・クラッコの「クールにしたいならエシャロットを使う。」には、イタリアを代表するパティシエの巨匠、イジニオ・マッサーリ氏から教わったというズッパ・イングレーゼのリチェッタがあります。

巨匠のリチェッタの特徴はカスタードで、卵と砂糖の量が多く、昔ながらの味に近いそうです。クラッコシェフが好きなのは、エミリア=ロマーニャの家庭で造られているバージョンだそうです。

マッサーリ氏のクレーマ・パスティッチェリーア。
にはイタリアのパスティッチェリーアの基本で上級のリチェッタが詰まっています。

もう一人のイタリアのパティシエの巨匠、エルンスト・クナムのカスタード。


家庭料理の面白い本、『マンマミーア

によると、昔の料理書には材料の配合なんて書いてなかったそうです。さらには19世紀後半までは、たいていフランス語で、イタリア語でさえなかった。
アルトゥージの本はかなり画期的な本だったのでしょう。主婦たちは、フランス語のレシピを一生懸命解読して、娘たちに伝えたのでした。




=====================================
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
[creapasso.comへ戻る]
=====================================

0 件のコメント:

南チロルはドイツと南イタリアが融合した面白い地方。ワインの収穫後の新ワインを味わう時は、ご近所みんなでパーティー!

今日のお題は、アルト・アディジェの料理です。 イタリア最北の州、アルト・アディジェ、別名南チロルsud tirolは、海だけじゃなく、山もあるイタリア料理を象徴する地方。最近では、アルプスへの注目度も上がっています。 南チロルのトルゲレンの祭り。 下の動画のタイトルは、“ビギナー...