2022年5月19日木曜日

パンコットはオルダーニシェフのオリジナル。ミラノのカンパリーノで味わえます。

8月号のリチェッタ解説です。
まずアンティパストの1品目は、パンコットPan'cot。
聞いたことがあるようなないような・・・。
煮たパン、というその料理名からは、固くなった前日のパンを利用した、素朴な家庭の節約料理、ということは想像できます。
まあ、パンのレシピにはこのタイプのものが多いですよね。
でも、どこの地方の料理なのか、見当もつきませんでた。
とにかく8月号の『クチーナ・イタリアーナ』に取り上げられているダビデ・オルダーニシェフの本、『メイド・イン・イタリー』を探すことから始めました。

ご存じのようにイタリア料理は地方料理の集合体で、さらにたどれば家庭料理の集合体で、その歴史は長く、複雑です。それを1冊にまとめるという偉業は、ペッレグリーノ・アルトゥージ以来、誰も成功していません。もし成功すれば、その人はイタリア料理の父とか呼ばれるレベルの偉業を成し遂げたことになります。
オルダーニシェフのこの本は、その野望に果敢に挑戦した本で、かなりの力作ですが、かなり思い切って基本の料理だけにまとめています。見てみたら、なんと、パンコットという料理が収録されていました。
トスカーナ料理とされています。横の料理の写真を見る限り、固くなったパーネ・トスカーノ入りのパンのスープです。
『クチーナ・イタリアーナ』の記事には、もう少し説明がありました。オルダーニシェフは、ミラノのガレリアにあるカンパリーノという老舗のバールで、新作メニューを出しているそうです。ミラノの一等地にある店で、観光客やお上りさんのメッカだったこの店の第2の物語をまかされたんだそうです。

カンパリーノ

そして彼が作り上げた料理の一つが、リチェッタの訳をのせた(Pan'cot のカルボナーラ風味)でした。一般的なパンコットは発酵生地のチャンベッラだそうです。
本で判断する限り、オルダーニシェフのパンコットの原型は、トスカーナのパッパ・アル・ポモドーロ。


本からPANCOTTOのリチェッタを訳してみます。
材料/
硬くなったパーネ・トスカーノ・・700g
玉ねぎ・・100g
ローリエ・・1枚
EVオリーブオイル・・大さじ4
野菜のブロード・・1.5ℓ
パルミジャーノ・・大さじ4

・薄く切ったパンを野菜のブロードに30分浸す。
・玉ねぎのみじん切りを油とバター、ローリエで焦がさないようにソッフリットにする。
・パンを絞って玉ねぎと混ぜ、ブロードをかけて弱火にかけて木べらで強くかき混ぜながら煮詰める
・ズッパを火から下して塩、こしょうし、おろしたパルミジャーノをたっぷり加える。
皿に盛り付けて油を回しかけ、粗挽きこしょうを散らす。

このベースのパンコットをチャンベッラ型に詰めてグラナ・パダーノを散らしてローストし、中央に炒めたグアンチャーレの角切りを詰めてカルボナーラソースで覆います。
カルボナーラソースは卵黄、澄ましバター、塩、こしょう、ビネガーがベースなので、写真のように黄色いパンコットに仕上がります。



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