2022年1月22日土曜日

サン・マルツァーノは缶詰用に特化したトマト。上質のものは塩とバジリコを加えただけで美味しいソースになる。結局、良いホールトマトを見極める目が重要。

きのうの数字の出典を書くのを忘れていました。
『ガンベロ・ロッソ』2019年8月号のトマト特集の記事から引用しました。
とても興味深い特集でしたが、膨大な記事なので、今後機会があったら少しずつ訳してみたいと思っています。
今日は、それにちょっと追加。出典はイタリア料理の百科事典、1001スペチャリタ・デッラ・クチーナ・イタリアーナ

です。今回はサン・マルツァーノトマトに焦点をあててみます。
トマトは中米生まれで、アメリカの発見後、17世紀にスペイン人によってスペインに赤い実がなる観葉植物として広まり、(1770年にペルー王国からナポリ王国への贈り物としてトマトの種がカンパーニアのアグロ・ノチェリーノ・サルネーゼAgro Nocerino Sarnese地区に伝わった、と言い伝えられている。)この地区が現在のサン・マルツァーノのコムーネにあたる。
ノチェリーノ・サルネーゼ平野。

それ以来、サン・マルツァーノはイタリアで最古のトマトとして栽培され、その後、20世紀初めには、フランチェスコ・チリオによってイタリアで最初のホールトマトの缶詰工場ができ、缶詰用トマトとして広まった。
楕円形で筒型のトマト、サン・マルツァーノは種や筋が少なく、鮮やかな赤い色で、皮には甘みがあり、生食しても美味しいトマトだった。つまり、ソースや缶詰には最適のトマトだった。
それまでは天日で干す以外の方法がなかったトマトの保存方法に缶詰が加わって、イタリア料理も変わった。
現在では、サン・マルツァーノはイタリアだけでなく、地中海の食事の食材として世界中で求められるトマトになった。
つまり、サン・マルツァーノは缶詰用に特化したトマトなんですね。チリオは徹底的にサン・マルツァーノを研究し、その結果、缶詰のホールトマトに塩とバジリコとトマトの汁(サン・マルツァーノ限定)を加えれば、ピュアなトマトソースになってナポリの味が世界中の家庭で再現できるようになります。
缶詰になったノチェリーノ・サルネーゼのサン・マルツァーノは世界中に輸出され、ナポリの味とホールトマトはますます普及し、その結果、サン・マルツァーノはイタリア料理でもっともおなじみのトマトになった。

イタリアにはチリオ以外にもホールトマトのメーカーはあり、農作物なので品質や値段に大きな違いがあるのは事実。イタリア料理のベースになっているホールトマトへのナポリ人の目は厳しい。
下の動画はホールトマトのチェックのしかた。個人的な見解と断ってますけど、参考になりそう。
・まずは缶を開けて蓋の裏についた汁をチェック。汁が濃いと蓋の裏にもたくさんつくが、汁が水っぽいとあまりつかない。でも、汁が濃いからと言って良いとは言えない。入っているトマトの数や状態もチェックした結果、値段が高い製品はトマトの数も多く、質も均一。
結局、安いものと高いものではかなり違いがありました。


トマトはピッツァの生命線。ピッツァイオーロはある意味トマトのスペチャリスタ。

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