2020年7月10日金曜日

バーニャ・カウダのポイントはカンタブリコのアンチョビだった。スローフードvs料理アカデミー

スローフードのイタリアの地方料理が1冊にまとまった力作地方料理書
イタリア・イン・クチーナ』を読んでいます。
ピエモンテ州の地理や歴史、主要な食材をざっと紹介したら、次はリチェッタです。
まずはピエモンテ料理の入門料理ならこれ、という代表料理、バーニャ・カウダから。
その次は何でしょうか。
カルピオーネでした。そして玉ねぎのリピエーネ、ジャルディニエーラと続きます。
さらに次はPess-còjという聞いたこともない料理。ロールキャベツのカルピオーネでした。

こんな風に、メジャーとマイナーを織り交ぜながら、料理はプリーモ、セコンド、ドルチェへと進んでいきます。
アレッサンドリアの商業会議所のリチェッタのバーニャ・カウダ↓


バーニャ・カウダは無数のバリエーションがある料理です。
それでは、スローフードが紹介するバーニャ・カウダBagna caodaのリチェッタをどうぞ。
材料
にんにく・・6玉
生やゆでた季節の野菜
塩漬けアンチョビ・・500~600g
牛乳・・500ml
卵(好みで)・・4~6個
EVオリーブオイル・・6カップ

・アンチョビは洗わない。にんにくは皮をむいて中の芽を取り除く。
・野菜は秋から冬の旬の野菜を使う。カルド・ゴッボ・ディ・ニッツァ、パプリカ、エンダイブ、スカローラ、トピナンブール、かぶ、キャベツ、ポロネギなど。
ニッツァ・モンフェッラートのカルド・ゴッボ

・じゃがいも、ビーツ、カリフラワー、玉ねぎはゆでる。パプリカはローストする。
・陶器の浅鍋ににんにくと牛乳を入れて沸騰させずにゆっくり煮る。
・牛乳を取り除き、にんにくをフォークで潰して濃い均質のクリームにする。オリーブオイルとちぎったアンチョビを加えて弱火でアンチョビを完全に溶かす。
・陶器の専用卓上ウォーマー(fojòt)に入れて下処理した野菜を添える。

次は、スローフードと並ぶイタリア料理の2大お目付け役、イタリア料理アカデミーの本、

スーゴとソースバーニャ・カウダbagna caudaです。

さすがは料理アカデミー。とにかくうんちくが山のように書かれています。
まず最初に、バターについての考察があり、ピエモンテ料理におけるバターの役割がばっちりわかります。
話はさらにラルドやラード、オリーブオイル、くるみオイルへと広がっていき、バーニャ・カウダのオリーブオイルも元々はくるみオイルだったと、いいかげんなことは許さない徹底した調査ぶり。
もちろん、海なし州ピエモンテの魚のソース、バーニャ・カウダのアンチョビは、海上アルプスの塩の道を通って運ばれてきて、やがてアスティの名物になり、庶民の食べ物と言われながらも、その栄養価や味が高く評価されて、バーニャ・カウダのようなピエモンテの名物料理にまで昇華したといった壮大な歴史も記されています。

現代の塩の道は人気のツーリングコース


それでは料理アカデミーのリチェッタをどうぞ。
材料/12人分
にんにく・・12玉
EVオリーブオイル・・6カっプ
くるみ油・・小カップ1
スペインのカンタブリコの赤アンチョビ・・600g
カンタブリコのアンチョビ


・皮をむいて目を取ったにんにくを薄切りにして陶器の浅鍋に入れる。
・オリーブオイル1カップを加えてとろ火にかけ、木べらでかき混ぜながら色がつかないように熱する。
・アンチョビを塩抜きして骨を取り、赤ワインで洗って水気を拭き取る。
・アンチョビを浅鍋に加えて混ぜ、残りのオリーブオイルで覆って弱火で揚げないように30分煮る。
・好みで、もっとマイルドにしたい時はバターを少量加える。

・熱した専用ウォーマー(fojòt)に入れて下記の野菜を添える。

カルド・ゴッボ・ディ・ニッツァ、きくいも、キャベツ、チコリ、スカローラ、パプリカ、酢漬けのピーマン、4つに切ってバルベーラに浸した葉玉ねぎ
温野菜
ビーツ、ゆでたじゃがいも、オーブン焼きの玉ねぎ、カボチャ、ポレンタ・フリッタ、ローストしたパプリカ


次はスローフードの得意分野、オステリアのリチェッタです。

オステリエ・ディ・イタリア2017から、ニッツァ・モンフェッラートのヴィネリア・デッラ・シニョーラ・イン・ロッソのリチェッタをどうぞ。

と思ったのですが、なんと『イタリア・イン・クチーナ』のリチェッタと同じことが判明。
アンチョビは
・肉厚で脂ののった、できればスペインのカンタブリコのものを選ぶ。
・塩から出したてのアンチョビの骨を取る。洗わない。
となっていました。
微妙に違いもあるみたい。

それにしてもカンタブリコのアンチョビ、美味しそう。



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オステリエ・ディ・イタリア2017
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