今月のパンは、ビオーヴァとマファルデ。
南北の代表的日常のパンです。
ビオーヴァはピエモンテで一番有名なパンだそうで、トリノで生まれて電動こね機が普及した19~20世紀にかけて北イタリア全域に広まりました。
ミーカの一種という説もあります。
ミーカの小さいものがミケッタです。
ミケッタの語源については「総合解説」3/4月号に載っています。
小型のビオーヴァ、ビオヴェッタは具を挟むのに適していて、都会の労働者向きのパンでした。
スローライフの本場の時短パン。
大型のビオヴォーナは値段が安くて長期間もつという特徴があって家庭向きでした。
ピエモンテにパンのイメージはあまりないけど、実際には多様なパンがあります。
長期滞在していた人なら懐かしく感じるのだろうなあ。
巻いて押し潰してから半分に切る、独特の整形。
ピオヴェッタは具を挟むのに最適で、とろけるチーズとなすのグリルのにんにく、オイル、パセリのマリネなどが合います。
南のパンは、シチリアのマファルダです。
硬質小麦粉のごま付きパン。
これ、シチリアでやみつきになった人、多いはず。
独特のこの形は、とぐろを巻いた蛇のよう、とも形容します。
最後に尻尾を全体に巻き付けて、こんなふうに整形します。
すごくエキゾチックでシチリア的。
シチリアのストリートフードの象徴、パネッレやクロッケもマファルディーナでパニーノに。
そして焼く前、最後にまぶすのが、シチリアのパンの象徴で、地中海系アラブ料理のベース、ジュッジュレーナこと、ごまです。
マファルダはパレルモのパンとして知られていますが、カターニアのパン屋さんが、イタリア王ヴィットリオ・エマヌエーレ3世の娘、マファルダ・ディ・サヴォイアに捧げてつけた名前。
この名をつけたおかげでイタリア中に知名度が広がったのだそうです。
マファルダは世界大戦の時代に生きたお姫様で、ドイツ人貴族と結婚してナチスと関係の深い生涯でしたが、動画の多さから推測すると、イタリアの人々には愛されたようです。
やはり皇族の名前は、料理名の最終兵器ですね。
パンの本のお勧めは、スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの、
『パーネ・ピッツェ・フォカッチェ』。
このシリーズには
『パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ』と、『ドルチ・ダ・フォルノ』、『ビスコッティ・ピッコラ・パスティッチェリア』もあります。
-------------------------------------------------------
“イタリアのパン”の記事の日本語訳は「総合解説」2017年5/6月号P.46~に載っています。
クレアパッソの書籍リスト
[creapasso.comへ戻る]
=====================================
0 件のコメント:
コメントを投稿