2019年6月28日金曜日

今年も4月25日にリジ・エ・ビジ食べるの忘れた。

総合解説」3/4月号はソラマメが影の主役でしたが、5/6月号はアスパラガスでした。
あと、ちょっと時期は過ぎちゃいましたが、この時期、毎年登場するのがグリーンピース。
正確に言えば、4月25日のベネチアの守護聖人、サン・マルコの日の料理、リジ・エ・ビジ。

今年のサン・マルコの日のサン・マルコ広場。

毎年必ず登場するので、もうネタ切れだろうと思っていたら、今年は、ベネチアのグリーンピースのリゾットがなぜ美味しいのか、という核心をついてきましたよ。

そもそも、イタリアのグリーンピースは甘くて美味しいことが知られています。
ベネトの美味しいグリーンピースの産地として知られているのはベネチアの西のコッリ・ベリチ地区。
コロニョーラ・ア・ベリチ(ヴェローナ)のグリーンピースの収穫祭。

さらに春の初物は新鮮で柔らかいと、大人気。
甘くて新鮮で柔らかい初物が出回る時期、5月初旬は、当然、みんなが食べたがるわけです。
意外と大変そうなグリーンピースの収穫(一般的には4月末から5月)

さらに。ベネチアのグリーンピースは潟の周囲で栽培されているため、塩気があるのが特徴なんだそうです。
ベネチアの潟地方の畑。

適度に塩気のある甘いグリーンピースと米の組み合わせが最高。
さらにグリーンピースのさやをブロードに入れてゆでるのはリジ・エ・ビジのお約束。
上級者は、ゆでたさやを裏漉ししてブロードに加えてて、濃くて味の強いブロードにします。
具体的なリチェッタは「総合解説」を御覧ください。


もう一つの主役は、米。
ヴィアローネ・ナノです。
ピエモンテあたりですとカルナローリですが、ベネチアではヴィアローネ・ナノ。
長くなってきたので、米の話は次回に。




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“地方料理~リジ・エ・ビジ”のリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2017年5/6月号P.11に載っています。
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2019年6月26日水曜日

混雑する前の季節に湖畔でピクニックする時の料理

総合解説」は5/6月号になりました。

夏は、南イタリアや海辺の料理一色になって、冬はアルプスが大フィーチャーされるイタリアの料理雑誌ですが、夏でも冬でもないこの季節は、なんと湖でピクニックでした。
北イタリアの湖畔地方が注目される貴重な季節。
『サーレ・エ・ぺぺ』の記事には湖畔のピクニックの素敵な写真が載っていますが、撮影に協力したのはメルゴッツォのヨットクラブ。
メルゴッツォはピエモンテのマッジョーレ湖から分離した小さなメルゴッッォ湖畔の町。


この湖畔でピクニックをしている時の料理をイメージしてください。

最初の料理(P.3)は3種類のナッツを味付けしたナッツのカルトッチーニですが、料理の順番にはこだわらない、というピクニック料理です。

アーモンドはしょうゆとにんにく風味にしてココナッツオイルで炒めます。
仕上げにオレガノを散らすのがイタリアン。
ピーナッツはバルサミコ酢とブラウンシュガーで煮て塩、こしょう。
ピスタチオは塩と唐辛子をまぶしてオーブンでさっと焼きます。
そして巻いた紙に入れて別々にサーブ。

次はもっと手の混んだうさぎ肉とハムのテリーヌ。
香味野菜と一緒にゆでてゼラチンで固める、という発想はゆで鶏と同じですが、ケッパーやハーブ入りでイタリアンに。

そういえば、ピエモンテにはうさぎの名物料理がありました。
トンノ・ディ・コニッリオ。
調理方法とオイル漬けにする保存方法がマグロと同じなのでこう呼ばれるようになりました。
数ヶ月間保存できるそうです。

『トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ1巻』(P.32)によると、

なぜうさぎ肉を作ってすぐ食べるのではなく長期間保存するのかというと、料理のルーツ、ピエモンテでも田舎のランゲではうさぎは大抵の家庭で飼われていて、すぐに増えてしまうのだそうです。
なので大量に作って保存する必要があったのです。

トンノ・ディ・コニッリオ

冬は前菜、夏はセコンドとしてサーブするそう。

この他に、スパゲッティを少量ずつ平らまとめて揚げて、ミキサーにかけたブッラータのソースをかけたり、アボカドとズッキーニのサンドイッチに溶き卵をつけてバターで揚げて筒切りにしたり、リコッタとローストミニトマトをピッツァ生地で四角く包んでオーブンで焼いたカルツォーニなど、遊び心がちらちら見える料理の数々です。





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“湖畔のピクニック”のリチェッタは「総合解説」2017年5/6月号にのっています。
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2019年6月24日月曜日

春のミルクから作ったパルミジャーノが最高と思われていた時代もあった。

「総合解説」2017年5/6月号、発売です。

今月は初夏の料理満載です。
リチェッタは、リジ・エ・ビジ、スパゲッティのフリッタータ、スカロッパ、カルトッチョ、アスパラガス、etc・・・といったところ。

まずは今月の食材。P.2

パルミジャーノ・マッジェンゴparmigiano magengoを取り上げます。

パルミジャーノにマッジェンゴという形容詞がついていますね。
maggio5月に関係がありそうな名前です。
1984年まで使われていた呼び方ですが、それまでのパルミジャーノは、すべて4月1日から11月11日の間に作られていたそうです。

マッジェンゴは4月1日から11月11日の間に作られたパルミジャーノで、
他の季節に作ったものと何が違うか言うと、春に新鮮な、カロテノイド(チーズの色に影響する赤系色素)を含む草をたっぷり食べて放牧場から戻ってきた牛の最高のミルクから作ったパルミジャーノ。
最高のパルミジャーノとみなされていました。
色の濃さが味や栄養価の良さを錯覚させていたのです。
4月1日から11月11日というのはこの地方の一般的な農期。
それ以外の季節、つまり牛に干草を与える冬の間に作ったものはヴェルネンゴVernengoと呼ばれていました。
実は、栄養価も薄いと勘違いされていたこの冬の時期のパルミジャーノは、脂肪分を最も多く含んでいたそうです。

その後、飼育方法が進化して、年間を通して変化のない品質のチーズが作られるようになってこの分類は廃止されました。
それに、ひねくれて考えれば、色の濃い資料を与えて色の濃いチーズを作るということもできるわけで、パルミジャーノの質は単純に色だけでは判断できないですよね。
という訳で、最近の食通たちの関心は、肥料の詳しい内容と、牛の品種のようです。


そう言えば、最近はパルメザンチーズがすっかり定着して、気がつけばアメリカ産のものしか食べてないかも。
久しぶりに、例の歌でも聞くかなー。



パ、パ、パ、パ、パルミジャノ・・・




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2019年6月21日金曜日

グルテンフリーで注目されているそば粉

ピッツォッケリの話が出たところで、そば粉の話でも。
そばはアジア原産で、トルコ人によって14~15世紀にヨーロッパに伝わりました。
ヴァルテッリーナに伝わったのはその1~2世紀後です。
最近ではグルテンフリーの食材として注目されています。

グルテンフリーのイタリア料理の本、『ディ・ファリーナ・イン・ファリーナ

には、そば粉はブリニやガレットによく使われ、アメリカ風朝食のブルーベリーのパンケーキにもぴったり、とあります。
色が黒ずんでいて、独特の風味やほろ苦さがあるので、使うのをためらっている人も多そうですが、著者は、自らの経験から、カムット小麦との相性はとてもよい、と言っています。

カムット小麦はエジプト産の硬質小麦を有機栽培した小麦の登録商標で、普通の小麦よりタンパク質やミネラル、ビタミンが豊富な小麦。
この小麦に関しては、第二次大戦直後、あるアメリカ軍パイロットによってエジプトのDashare近くの墓で発見された一握りの4000年前の小麦がルーツで、知人がその一部を譲り受けて栽培したところモンタナに根付いたので、商標登録して古代小麦(品種改良がされていない、何世紀もの間手が加えられていない小麦)として大々的に売り出した、という、半分伝説と化した話が伝わっています。

カムット小麦の粉はとてもなめらかでデリケート。
ケーキやパンなど、様々な料理に使えます。

そば粉に話を戻します。
本の中にはピッツォッケリのリチェッタもあります。
麺はそば粉150gにファッロ粉50g、湯110~120ml、塩。

「総合解説」では、麺はそば粉400gに00番の小麦粉100g、水270ml、塩。
一般的にピッツォッケリはそば粉と小麦粉のミックスの麺です。


この動画もそば粉400gに軟質小麦粉100g。
クラシックな配合です。

ファッロですが、3種類あるファッロのうち、Triticum Spelta、またはSpeltaという品種はグルテンを含みます。

語源は不明など謎が多いピッツォッケリですが、考え出したのはそばの産地のヴァルテッリーナのテーリオteglioという村の女性料理人というのが定番の説。
テーリオのピッツォッケリ




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“ピッツォッケリのバリエーション”の記事は「総合解説」2017年3/4月号に載っています。
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2019年6月19日水曜日

素朴な田舎風パスタでも、地元の職人技が集結していたピッツォッケリ

次号の「総合解説」5/6月号は、6月24日発売予定です。
その前に今日は、3/4月号のリチェッタから。
“春のタリアテッレ”、“サルデーニャの子羊料理”、“肩肉料理”など、面白いテーマがありましたが、今回はピッツォッケリpizzoccheriの話です。

ヴァルテッリーナ料理の代表的1品で、そば粉のパスタ。

じゃがいも、サボイキャベツ、チーズ、そば粉、バターで作る典型的な北の田舎料理。
素朴な料理でも、上質の地元の産物を使えば、食通好みの特別な料理になります。

この料理のキーワードはヴァルテッリーナですね。

スイスとの国境に近いロンバルディアのアルプスの山の中にあって、バターとチーズとワインが美味しいところです。

ピッツォッケリに使うチーズはヴァルテッリーナ特産のカゼーラ。

同じくヴァルテッリーナ名物のビットとヴァルテッリーナ・カゼーラの違いがわかる動画。

ビットは牛が山の放牧地にいる夏の間だけ作る期間限定のチーズ。
脂肪分がとても多いので、加熱すると溶けてしまい、ピッツォッケリなど料理に使うビットは、若いタイプかヴァルテッリーナ・カゼーラ。

ヴァルテッリーナ・カゼーラ

カゼーラとビットはペアで語られることが多いチーズ。
“カゼーラ”とは、チーズを熟成させる小屋のこと。
昔は冬をこすために山から降りてきた牛のミルクで作りましたが、今では1年中作られています。
ヴァルテッリーナ料理に使われているのは、ほとんどがこのチーズ。
溶けやすくても冷えると再び固まるとろけるチーズ。
ビットに関しては「総合解説」1/2月号で、取り上げています。
伝統的製法にこだわる管理組合員の分裂騒動があったチーズですね。

山のバター

バターの型を作る職人さんもいます。

バターの型がこんなに手のかかる木工品だとは知らなかった。


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2019年6月17日月曜日

リグーリア人はフォカッチャをカフェラッテに浸す美味しさがわかるのが自慢

粉物の知識がやたら専門的に普及しているパスタとピッツァの国で、フォカッチャ王国のリグーリアのパンを紹介する本、『リグーリアの発酵生地』では、

フォカッチャに最適な粉を紹介するのも、やたら専門的です。
フォカッチャ以外にも、イタリアの小麦粉を理解する時には欠かせないことなので、訳してみます。
こんな感じ・・・。

小麦粉の強さを理解する唯一のシステムは、Wというシンボルで表される。
Wとはタンパク質の含有量を表している。
タンパク質の含有量が10%以下(W130~170)は、一般的な弱い小麦粉。
ビスコッティやケーキに適している。
11、12%(W170~240)は中程度の強さ。
13%(W240~350)は強い小麦粉。
14、15%はとても強い小麦粉(Wは350以上)。
またはスペチャーレ。
オーソドックスなパネットーネのような長時間発酵させて作る生地に適している。
よくある誤解は、Wで表示される強さを、精錬具合やふすまの含有量の割合と勘違いすることだが、これらは00や0、1、2という番号で表される。
2は全粒粉で、00番はふくまをほぼ含まない真っ白な粉だ。

つまりイタリアではタンパク質の含有量で粉を、薄力、中力、強力、最強力に分類し、ふすまの含有量で00~2に分類するのですね。
この本のリチェッタでは、小麦粉はすべてWか00番などの表記がついています。
タンパク質やふすまの量をすばり指定しているので、理系の人にはスッキリするのでは。

さて、使う粉が決まったところで、本は、最も重要なのはこねる作業だ、と続きます。

この作業こそが、発酵生地特有のあの香りと香ばしさを生み出す。
小麦粉の不溶性タンパク質がグルテンの網目を作り出し、空気を含んで酵母の働きが活性化する。
完璧な堅さ、つまりなめらかで弾力のある生地になると手や台からから簡単に剥がれるようになる。
強さが同じでも小麦粉はいつも同じではなく、水は徐々に加える必要がある。
5%は残しておいて、生地の状態を見て加えるようにする。
こねる時間と温度も重要だ。
こねすぎると繊維質になり、温度が高くなる。
こねが足りないと温度は低くなる。
こね終わりの生地の温度は二次発酵のために重要だ。
25~26℃程度が適切。・・・

さらに発酵の方法の説明があり、手でのこね方の説明があって、ようやく、ビーガ(発酵種)を使ったフォカッチャ・ジェノヴェーゼのリチェッタが始まります。

フォカッチャ・ジェノヴェーゼをカフェラッテに浸して食べる朝食の美味しさがすんなり理解できるのは、つまり塩味の食べ物を甘い飲み物に浸す美味しさがわかるのは、リグーリア人だけだろうと、冒頭から、かなり排他的。

これがジェノヴァ人の朝食。
フォカッチャの塩とオイルとミルクの脂肪の関係を真剣に解説しています。

ジェノヴァにいるみなさん、ぜひトライして、感想を教えください。




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2019年6月14日金曜日

ジェノヴァの食文化に深く根付いたフォカッチャ

リグーリアの発酵生地』は、大雑把に言えばリグーリアのパンの本ですが、まずフォカッチャの章から始まります。

今回は、章の冒頭の、「フォカッチャとは」、という部分をざっと訳してみます。

focacciaとは、パン生地に各種の材料を、トッピングする、生地に練り込む、生地ではさむなど様々な方法で加えて味付けしたもの。
その歴史はパン同様古く、語源はfocus(fuoco/火)で、火で焼いたものという意味。
紀元前5世紀にかまどが発明されて、熱した石の上か灰の下で焼くようになるまでは、挽いた穀物の粒と水を混ぜた生地を焼いて食べていたが、それがフォカッチャの前身だ。
カルタゴではファッロや硬質小麦の粉に卵、チーズ、蜂蜜を加えた生地で作っていて、ローマのフォカッチャより美味しいと言われていた。
やがて時と共にフォカッチャはあらゆる階層、地方へと広まっていく。
フォカッチャは、夜通し働いたパン屋が、空腹と暇を持て余してまだ発酵していない生地を少量取って直接かまどに入れて焼いたパンとか、かまどの温度が適温か見るために生地からつまみとった小片を型に入れずに直接かまどの底に載せて焼いたもの、と言われている。
リグーリアにはこの種のパンがたくさんあり、書物に残る最古のものは、ルネサンスの時代に遡る。
薄い詰め物入りトルタもfocacceフォカッチェと呼んでいたので、スキアッチャータタイプの薄焼きパン全般を意味したのだろう。
ジェノヴァのフォカッチャは、all'olio/オイル風味が多い。
フォカッチャの典型でいちばん有名なものといえば、これだ。
ベースは軟質小麦粉、イースト、水、オリーブオイル、塩で、
これにセージ、ローズマリー、オリーブ、玉ねぎなどを加える。
すでに16世紀のジェノヴァでは広く普及していて、パン屋では早朝から売っていた。
バールではカップッチーノに添えた。
昼の軽食、学生の間食、ビーチで食べる夕食など、一日のあらゆるタイミングでフォカッチャを食べた。
リグーリアの最も古いストリートフードでもある。

なるほど、この歴史を無視すれば、フォカッチャのライバルはハンバーガー、と言い切ることもできますね。

本では、粉、酵母、発酵、焼成と、さらに詳細な内容へと続いていきます。
あの美味しさを生み出すには、この部分が重要。


上の動画の職人さんたちは14歳からパンを作っているそうですよー。
完璧な手作業で、若手でも手慣れたもの。
年配の親方風職人さんは、フォカッチャも女性もきれいに化粧した美人がいい、と言いながらフォカッチャにオリーブオイルを塗ります。
この手の話は、うんざりするほど必ず聞かされますが、レポーターの女性は初めて聞いたみたいにニコニコ笑ってますねー。
この対応。素晴らしい。
焼き立てフォカッチャのかっこいい食べ方もありました。

ジェノヴァのフォカッチャもフォカッチャ・ジェノヴェーゼとしてのブランド意識に目覚めたようです。

この奥手な感じがリグーリア人ですねー。




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ズッパ・ディ・ヴァルペッリ―ネは、厳しい気候、痩せた土地、物量が困難な高山地方のご馳走。ズッパの語源はドイツ語の濡らしたパン。

コンテンポラリーな地方料理というテーマで、イタリア各州の名物料理を紹介しています。 このところ、ヴァッレ・ダオスタの料理を取り上げていますが、このイタリアで一番小さな州の料理の話をするなら、まずフォンティーナのことを理解するのが大前提、という訳で、イタリアを代表するチーズの話をし...