今日は以前見つけて気になっていた本から。
カンパーニアの有名パスタメーカー、ヴォイエッロが作ったパスタの本です。
まずはヴォイエッロの歴史をさらっと。
webページはこちら。
ナポリには、イタリアで最初の鉄道があります。
その時、アウグスト・ヴァンヴィッテルというスイス人のエンジニアがナポリにやってきました。
彼は製麺業で栄えた街、トッレ・アンヌンツィアータの製麺業者の娘と結婚します。
ナポリがピエモンテと合併したことによりイタリア王国が建国され、
(こうホームページには書かれています。両シチリア王国とピエモンテの立場を、南イタリアの人はこう考えていたという典型のような上から目線)
これを機会にヴァンヴィッテルは名前をヴォイエッロと変えます。
そして1879年、アウグストの息子のテオドロは、会社をトッレ・アンヌンツィアータの北にあるコントラーダ・マレスカに移し、アンティカ・パスティフィーチョ・ジョヴァンニ・ヴォイエッロを創業したのです。
ヴォイエッロはパスタには理想的とされ、この地方のパスタ産業に革命を起こしたと言われているロシアの小麦、タガンログを使いました。
それ以来、最高の品質を追求したパスタメーカーとしてその名を轟かせています。
ナポリの歴史に詳しいこちらStorie di Napoliのサイトによると、
タガンログは19世紀にはイタリアのパスタの70%以上に使われていた小麦です。
20世紀初頭まで、ロシアは小麦の世界最大の輸出国で、イタリアは大輸入国でした。最高の小麦、技術革新によるブロンズのダイスの普及、グラニャーノやトッレ・アンヌツィアータのパスタのゆっくりした乾燥に最適の気候、これらの好条件に恵まれて、ナポリのパスタはどんどん品質が上がっていきました。
ところが10月革命によってタガンログは消滅します。
ロシアは食糧不足になり、硬質小麦より軟質小麦の栽培が優先されました。
ヴォぃエッロはその代わりに、プーリアの最高の農家の小麦、カペッリとサンゴッラを使うようになります。
タガンログはパスタの歴史を調べていると必ず出てくる名前です。
フィリピンの小麦と勘違いしそうですが、少し調べると、ロシアの地名だとわかります。
トッレ・アンヌンツィアータ↓
ロシアの港湾都市、タガンログ。発音がかっこいい↓
ヴォイエッロのパスタは、ちょっとお高い高級パスタのイメージがあるけど、パスタの値段は味とかなりシビアに結びついている、ということはイタリアではよく知られているので、値段だけでパスタを選ばないで、たまには高いパスタを買ってみては、なんて入門者向けのアドバイスを時々見かけます。
高いパスタを食べる度に思い出すアドバイスです。
この情熱のナポリ人と精密なスイス人の結婚から生まれたのがヴォイエッロのパスタだと、ホームページでは誇らしげに宣言しています。
ヴォイエッロのPV↓
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