お久しぶりです。
思いがけず、長期のお休みをいただくことになってしまいました。
すっかりリフレッシュできたのですが、のんびりしすぎてボケたらしく、PCの文章がかなり誤変換するようになりました。
そんな時は笑って許してね。
さーて、何の話でしたっけ。
そうそう、イタリア統一でした。
今となっては懐かしい話題ですが、そもそも、イタリア統一150周年は去年の話ですからね~。
アハハハ....
実は、イタリア統一の話は、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事にある“ビアンコマンジャーレのサヴォイアルディ添え”が、イタリア統一を象徴するような組み合わせだということを言うための長~いフリでもあったのです。
ビアンコマンジャーレ
サヴォイアルディ
この一見何でもなさそうな組み合わせの背景には、実はとても深~いイタリアの歴史と文化が隠れているんです。
サヴォイアルディがサヴォイア家に由来のものだということは、その名前からして一目瞭然。
ビアンコマンジャーレはフランスのブランマンジェをイタリア語にしただけ、と思いがちですが、実はこれ、シチリアの伝統的なドルチェ。
だから、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のサヴォイア家にガリバルディがシチリア王国を献上してイタリアが統一されたことをお祝いするにはピッタリというわけ。
組み合わせだけでも奥が深いですか、それぞれの料理も負けず劣らず深い!
アーモンドが主役のブランマンジェが中東生まれのものだと考えれば、イスラム世界との関係が深いシチリアに広まったのも不思議ではないですね。
アラブの錬金術師が考え出したみたいな複雑な作り方のビアンコマンジャーレはひとまずおいて、今回はもう一つの“サヴォイアルディ”をじっくり攻略。
サヴォイアルディはティラミスには欠かせないビスケットですよね。
英語ではレディーフィンガーとも呼ばれますが、なんでこの軽~いビスケットにイタリア王家の血筋、サヴォイア家の名前がついているのか。
サヴォイアルディはティラミスには欠かせないビスケット。
英語ではレディーフィンガーとも呼ばれますが、それはこのビスケットが、箸より重いものを持ったことがない人や炊事洗濯をしたことがない人の指のように華奢だから、という意味だろうということは簡単に想像できます。
では、なんでイタリア王家の血筋、サヴォイア家の名前がついているのか。
そう、これも答えは簡単に推測できます。
サヴォイア家の宮廷のパスティッチェーレが作り出したからです。
時は1348年ということまで分かっています。
↑『SPECIALITA' D'ITALIA』より
なぜ年代がわかっているかと言うと、これがどうやら、サヴォイア家の宮廷に、フランス王のシャルル5世が訪れた時だったから、というのがサヴォイアルディにまつわる都市伝説の根拠。
こちらのサイトなど多数で取り上げています。
しかも面白いのが、シャルル5世の妃と当時のサヴォイア家の当主アメデオ4世の妃が姉妹同士だったのが影響したという説。
ここから先は、すべて世間の憶測。証拠はありません。
シャルル5世にドルチェを献上しろと言われたサヴォイア家のパスティッチェーレは、ヨーロッパを代表する王家のプライドの板挟みになって、すんごいプレッシャーを受けたはずです。
サヴォイア家がバカにされないようにしなければ。
フランスの王と王妃の好みに合わせるには、やはりお品がよいものでなくては。
そうだ、軽くて華奢な貴婦人の指みたいなこのビスケットはどうだ!!
きっとお妃様はサヴォイアルディのことをかなり気にいったのでしょう。
フランスの宮廷とサヴォイア家の力に乗って、サヴォイアルディも世界中に広まりました。
イタリアでも、ピエモンテだけでなく、周囲にもその力は広まっていました。
ティラミスが生まれたヴェネト州もその範囲です。
サヴォイアルディという言葉がイタリアで最初に文書に記されのも、1722年のヴェネチアで開かれた結婚披露宴の買い物リストでした。
ということは、1722年にはサヴォイアルディを使ったティラミスか何かのドルチェが存在していたということ?
こんがらかりそうなので今日はこの辺で。
次回はそもそもピエモンテ料理とは、という話です。
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2011年3月号
“イタリア統一150周年”の解説は「総合解説2011年3月号」に載っています。
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2012年4月16日月曜日
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2 件のコメント:
よかったです。一カ月以上更新がなかったので心配でした。
ちなみにティラミスにはいつもビスコッティーを使います。サヴォイアルディ、そのままでもおいしそうなので今度焼いてみようかと思います。
畠山さん
ご心配をおかけしました。
人生で初の入院というものを経験しました。
今はぴんぴんしていますが、1か月も寝てると筋肉が落ちますねえ。
サヴォイアルディはティラミス以外にも使えるので、ぜひ作ってみて!
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