前回は、ボッリートの残った肉を使って作るミラノ料理、モンデギーリの話でしたが、肝心な話を忘れていました。
そもそも、ボッリートとは?
この場合のボッリートbollitoとは、もちろんゆでた肉のこと。
普通の日本人なら「ゆで肉」と聞いて思い浮かべるのは、肉の塊を1個ゆでた料理でしょうが、イタリアのボッリートは、数種類の部位をゆでたボッリート・ミストの場合が一般的。
「ミスト」が省略されている訳ですね。
主役の肉は、牛肉です。
サルサ・ヴェルデやホースラディッシュを添えたボッリート・ミスト
こちらはモスタルダ添え
ボッリート・ミストは、牛の飼育が盛んなイタリア北部の伝統料理。
特にピエモンテのものが有名ですよね。
でも、モンデギーリはミラノ料理なので、ロンバルディア風ボッリート・ミストの残りで作ります。
ピエモンテ風とロンバルディア風は、どこが違うのでしょうか?
書物には、ピエモンテ風の方が材料にさまざまな部位を使い、ロンバルディア風は肉は成牛だけで子牛肉は入らない(ただし頭肉やテールは子牛のもの)、と書いてあったりします。
でも、実際にリチェッタを見てみると、基本的にはどらも同じ。
と言うか、バリエーションが多すぎて、どこがどう違うのか分かりません!
ちなみに、『サーレ・エ・ペペ』で紹介しているロンバルディア風ボッリートは、肉は成牛のものだけで、子牛肉やコテキーノは入りません。
部位は、ランプ、肩、すね、中バラ、ブリスケ。
下の動画は、ピエモンテ風ボッリート・ミスト。
材料は、牛のすね、ブリスケ、三角バラ、中バラ、タン、テール、頭肉、そしてコテキーノとひね鶏の9種類。
ソースは7種類。
・ヴェルデ(プレッツェーモロ、にんにく、ビネガーに浸したパン、アンチョビ、ケッパー、ゆで卵の黄身、オリーブオイル)
・ロッサ(トマト、パプリカ)
・ホースラディッシュとサワークリーム
・クレモナのモスタルダ
・粒マスタード
・アヴィーエ(蜂蜜、くるみ、ブロード)
・コニャ(マルメロ、くるみ、ヘーゼルナッツ)
三角バラや中バラは、焼き肉で言えばカルビのことだとか。
イタリア語では、このあたりの部位はbiancostato(ビアンコスタート)と言います。
おまけの動画。
横になっていて見にくいですが、ビアンコスタートのボッリートとサルサ・ヴェルデ、マッシュポテトの昼食です。
北イタリアの料理ですねえ。
-------------------------------------------------------
関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2007年10月号
“ロンバルディア風牛肉のボッリート”のリチェッタは、「総合解説」'07&'08年10月号、「ボッリートのバリエーション」に載っています。
[creapasso.comへ戻る]
=====================================
登録:
コメントの投稿 (Atom)
南チロルはドイツと南イタリアが融合した面白い地方。ワインの収穫後の新ワインを味わう時は、ご近所みんなでパーティー!
今日のお題は、アルト・アディジェの料理です。 イタリア最北の州、アルト・アディジェ、別名南チロルsud tirolは、海だけじゃなく、山もあるイタリア料理を象徴する地方。最近では、アルプスへの注目度も上がっています。 南チロルのトルゲレンの祭り。 下の動画のタイトルは、“ビギナー...
-
グラナ・パダーノの話、その2です。 イタリアで流通しているハードチーズの50%近くを占めるグラナ・パダーノ(AC Nielsen調べ)。 2008年の生産量は、435万5347個でした。 平均的な販売価格は11.05ユーロ/㎏。 イタリアの硬質チーズの平均価格は12.70ユーロな...
-
今日はブラザートの話。 『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事の解説です。 バローロのブラザート, photo by Silvio 記事によると、 ブラザート brasato は、イタリア語で「炭」という意味の“ブラーチェ brace ”の古い呼び方、“ブラーザ brasa ”が...
-
軽い気持ちで手にとった本、『 スーゴとソース 』 ところが、考えれば考えるほど、わからなくなってきました。 スーゴって何?ソースって何? “スーゴ”は、イタリア料理の基本の言葉の一つ。 スーゴ・ディ・カルネsugo di carne、 スーゴ・ディ・ポ...
0 件のコメント:
コメントを投稿