2020年7月8日水曜日

スローフードがシチリアの食文化を代表する料理人として選んだのは、ノートのカフェ・イタリアのオーナー・パスティッチェーレ。

新着書籍のご案内です。


スローフードの地方料理書です。
1冊にイタリアの約20ある各州の代表的料理が詰まったこの種の本の中でも最新版です。
もっともモダンなイタリア地方料理書。
しかも、スローフードの本には珍しく、写真が一杯。
かつ、スローフードの本らしく、料理はとことんディープ。
記事は深い考察がいっぱいで、何より、安心の信頼感。
イタリアの珍しい地方料理のリチェッタを知りたい、と思った時に、手元にあると、とても便利な1冊です。
相当分厚いけれど、手に持てない厚さじゃなく、実用性も追求されています。
各州の注目の料理人や職人を紹介しているのも、この種の本にしては、野心的な試み。
例えば、シチリアでは、1892年創業のノートの歴史的カフェ“カフェ・シチリア”(webページはこちら)のオーナーでイタリアを代表するパティシエのコッラード・アッセンツァ。↓
昔ながらの職人気質のアッセンツァ氏。


どんな最果ての村でも、イタリアでナンバー1の素晴らしい職人を探し出すスローフードの組織力と確かな判断力は、本当に素晴らしい。
今すぐこの店に飛んでいきたい。

シチリアを代表する食材として選んだのはリコッタ。





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2020年7月7日火曜日

ナポリのサングリア、ペルコーカ・ネル・ヴィーノ


ナポリのワインの話になったところで、今日は番外編。
おなじみピニャタロさんはワインにも詳しい人なので、彼の著書リチェッテ・ディ・ナポリ
の中からワインの話題を探していたら、
面白そうな話を見つけました。
この本は本当に素晴らしく、ナポリ料理だけでなく、イタリアの食文化のまったく知られていない話でも、ナポリにまつわる話なら、丁寧に調べ上げています。
ただ問題は、写真が一切なく、イタリア語を読み込まなくてはならないこと。
最初はとっつきにくい。
でも、ちょっと頑張って読んでみると、ナポリ料理の面白すぎる世界にすぐに引き込まれます。
今回、ちらっと目に止まったのは、「ナポリのサングリアsangria napoletana」という文字。
ナポリのサングリアと呼ばれている飲み物があるのだそうです。
おそらく、スペインがナポリを統治していた時代に伝わったと言われています。
軽くてフレッシュなワインに、南イタリアの夏の果物、“ペルコーカpercoca”と呼ばれるナポリの桃、(中部や北部では、加工品用に栽培が広まっている品種)を切りながら落として浸します。

プーリアのペルコーカの収穫祭↓


これをタンニンの少ない、よく冷えた赤や白ワインに浸した飲み物で、材料は2つだけなので、どちらも質が良いことが大事。
私のお勧めワインはビアンコレッラBiancolella。

ペルコーカ・ネル・ビーノ


ペルコーカ入りワインPercoche nel vino
材料
ペルコーカ・・1kg
ワイン・・1L

・ペルコーカの皮をむく。
・大きなピッチャーを白ワインで満たし、その中にペルコーカを粗く、不揃いに切りながら落とす。
・一晩冷蔵庫で冷やしてサーブする。
※桃は完熟して、実が締まったものを使う。不揃いに切る間に出た汁が美味しいのでこれもワインに落とす。

切り方がぎこちないほうが美味しくなるみたいなこと書いてあります。


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「総合解説」
リチェッテ・ディ・ナポリ
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2020年7月6日月曜日

ナポリピッツァの真髄、マリナーラにぴったりのワインはアウェー感一杯のトレンティーノのロゼ。


ワインとピッツァの話、詳細は、「総合解説」2018年7/8月号p.38を御覧ください。
マルゲリータにお薦めのワインは、赤のフリッザンテ“グラニャーノ”でした。
いわば地元のワイン。
次は、マリナーラにお薦めのワインです。
ソースの味のポイントは、トマト、にんにく、オレガノ。
どれもナポリのピッツァの重要な要素です。
選ばれたのは、上質で気取りのないロゼ。
カヴィット・スキアーヴァ・ヴァルデラク2008。

トレンティーノの協同組合のカンティーナです。
ピッツァのビール縛りを取っ払えば、様々なイタリアの個性的なワインの世界が広がります。北イタリアの山と湖に囲まれた畑のぶどうです。
地元からはほど遠いアウェーなワイン。
でも論理的に考えると、ナポリピッツァにぴったり。
こんな環境で栽培されるカヴィットのぶどう↓

スキアーヴァ・ヴァルデラクのぶどうはスキアーヴァ40%、テロルデゴ30%、ラグレイン30%。スキアーヴァは南チロルを代表するフルーティーな品種で、ピッツァやパスタに合うと言われています。
こちらのページによると、イギリス市場の需要に答えて造られたワインのようです。
一方、サルシッチャとフリアリエッリのカレティエラのように、肉系のトッピングにはバルベーラが、フルッティ・ディ・マーレのような魚貝系にはファランギーナがお薦め。
ここにきてようやくカンパーニアのワイン。
ファランギーナ↓


やっぱりピッツァにはなんの縛りもなく美味しいワインを組み合わせたい派。


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総合解説
ピッツァ・アルバ・ペゾーネ
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2020年7月5日日曜日

ピッツァ・マルゲリータには赤のフリッザンテワインのグラニャーノを組み合わせるのがナポリ流。

ナポリピッツァとワインの話をしようと思ったのに、すっかり横道にそれてしまいました。
それでは、まずはナポリの象徴的なピッツァ、マルゲリータとワインの話から。

若手の注目株ナンバー1のピッツァイオーロ、チーロ・サルヴォ(50カロー)のマルゲリータ

ピッツァとワイン↓
ソムリエのグループによる、ピッツァとワインの組み合わせの解説。


シンプルなピッツァはピッツァ・ロッサとピッツァ・ビアンカに大別されます。
ロッサにはトマトが使われているため、酸味との相性が悪い重いワインは合わない、というのは定説。
なのでその逆のロゼや軽い赤などがピッツァ・ロッサにはあいます。
チーズの味が目立つピッツァ・ビアンカは甘くて脂肪分が多いので、口の中をさっぱりさせるフレッシュなワインや、発泡性ワインがあいます。

具の多いピッツァとワインの組み合わせは、具の味に左右されます。
では、マルゲリータにはどんなワインが合うとナポリの人は言っているのでしょうか。
マルゲリータにはトマトとモッツァレラが使われています。
なのでトマトの酸味に合う重すぎないワインで、モッツツァレラの脂肪をさっぱりさせるフレッシュなワインがあいます。
そこでお勧めは若いフリウリの白、若いピノ・ビアンコなどの若いもの。
もし生のバジリコがのっているマルゲリータなら、草の風味があるソービニヨンも。
モッッァレラ・ディ・ブファラのマルゲリータなら、ヴェルメンティーノなどのもっと風味の強い白も会います。
というわけで、問題のマルゲリータですが、「総合解説」では、ナポリの人は、マルゲリータにはグラニャーノを組み合わせます、と言ってます。
カンパーニアの伝統的な製法のパスタじゃなくて、赤のフリッザンテワインのことです。
グラニャーノ↓

確かに、トマトとモッツァレラを使ったピッツァに合う若い微発泡性の赤ワインです。

グラニャーノでこんなワインが作られてるなんて、知らなかったなあ。
産地と強く結びついたワインなので、生産量が少なく、あまり知られていない。



水牛のサルシッチャも、ワインのグラニャーノも、産地限定の味が多くて、まだまだ知らない美味がたくさん隠れているのが南イタリアの魅力。

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総合解説
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2020年7月4日土曜日

カンパーニアの水牛はマッサージされてジャズを聞きながら育つ。エンツォ・コッチャのサルシッチャとフリアリエッリのピッツァ

昨日取り上げた、ナポリの定番ピッツァの一つ、サルシッチャとフリアリエッリのピッツァのリチェッタを見つけたので訳してみます。
ナポリ出身の料理研究家が地元の人脈を駆使して調べ上げたナポリピッツァを代表するピッツァイオーロたちのリチェッタを集めた大型本。ナポリ人のプライドを感じる徹底した調査。

サルシッチャとフリアリエッリのピッツァPizza salsiccia e friarielli
のリチェッタを提供したのはエンツォ・コッチャ。
フリアリエッリのほろ苦さと柔らかくてジューシーな水牛のサルシッチャは完璧な組み合わせだそうですよ。
トマトソースが入らない、ピッツァ・ビアンカの1品です。
材料/4人分
ピッツァドウ・・250g
ブファラのサルシッチャの薄切り・・150g
フリアリエッリ・・300g
にんにく・・1かけ
砕いた唐辛子・・1本
ブファラのプローボラの細切り・・60~80g
おろしたてのモリテルノのペコリーノ・・20g
上質のEVオリーブオイル
マルドンの塩

バリエーション; プローボラはモッツァレラ・ディ・ブファラで、フリアリエッリはフリアリエッリと同様に調理したチーメ・ディ・ラパ(英名ブロッコリーレイブ)で代用可。 
ピッツァを焼き上げた後にオイル漬けアンチョビを数枚を加えてもよい。

サルシッチャは豚肉のソーセージかと思ったら、水牛のサルシッチャでした。
巻頭にはコッチャシェフが愛用している食材がずらっと紹介されていますが、
肉の加工品は水牛のもの。他の食材は全てカンパーニアの特産品。
こんなにこだわった食材を使ってるんですね。

・オーブンを250℃に熱する。
・フリアリエッリを洗って下処理し、油少々、唐辛子、手で潰したにんにくで強火で4~5分ソッフリットにして塩をする。
・生地を指先で円形に広げ、手のひらに乗せて回転させて中心から外に向かって広げる。
・薄く油を塗った天板に生地をのせ、油を回しかける。
・サルシッチャを加えて10分焼く。
・フリアリエッリをのせてプローボラを散らし、5分焼く。
・こんがり焼き色がついたら取り出してモリテルノのペコリーノを散らす。
モリテルノのペコリーノ(またはモリテルノのカネストラート:山羊と羊のミルクのチーズ)

エンツォ・コッチャの基本のピッツァ生地

モッツァレラはコロナの影響で流通が止まった昨今、生産量も大幅にダウンしているようです。
水牛のサルシッチャは食べたことなかったなあ。

水牛の飼育はマッサージしたりジャズを聞かせたりと、いたれりつくせり。
下はカンパーニアの水牛のマッサージが機械化されている衝撃的な映像。



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総合解説」2018年7/8月号
ピッツァ・アルバ・ペゾーネ
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2020年7月3日金曜日

ピッツァ・カレティエラの具はナポリ名物のサルシッチャとフリアリエッリ。こりゃナポリの外には広まらないな。

ナポリピッツァにはビール、というのはナポリ人が言いだしたこと。南イタリアの人はふるさとの食文化が世界一だと堅く信じているから、ピッツァにはビールだよと自信満々に言われると、そんなもんかなあ、なんて信じちゃう人続出なのでは。
「総合解説」2018年7/8月号のワインの記事は、“ナポリピッツァに合うワインは”というテーマで、ピッツァにはビール説に真っ向勝負。

まず選ばれた典型的なナポリピッツァは7種類。
1.マルゲリータ
2.マリナーラ
3.クアトロ・フォルマッジ
4.カプリチョーザ
5.カレティエラ
6.ディアボラ
7.オルトラーナ
8.フルッティ・ディ・マーレ
どれもおなじみのピッツァですね。でも、例によって、このピッツァにはこのワインという、ナポリ人やソムリエのこだわりが様々あるんです。
とりあえず、この中で一番マイナーなピッツァは、カレティエラでしょうか。

ピッッァ・カレティエラPizza Carrettiera

トッピングはサルシッチャとフリアリエッリ。
どちらもナポリ名物だけど、ナポリの外で手に入りにくい食材。
そのために広まらなかったのかも。
おなじみのピニャタロさんのナポリ料理のブログには、マリア・カチャッリさんというピッッツァイオーラがコンテストのために考えだしたと書いてあります。(こちらのページ)
カレティエラとは、ワゴンを引っ張る重労働の人のこと。彼らが仕事の後に食べるサンドイッチの具をトッピングにしたそうです。

原型となったナポリの伝統料理、サルシッチャとフリアリエッリsalsiccia e friarielli

材料/
サルシッチャ・・8本
フリアリエッリ・・4把
にんにく・・4かけ
唐辛子・・1本
EVオリーブオイル・・1/2カップ
白ワイン・・1/2カップ、塩
(フリアリエッリはほうれん草やビエトラなどで代用できる)

・フリアリエッリを下処理して硬い茎を取り除く。
油に唐辛子とにんにくを入れて熱し、フリアリエッリを入れて蓋をして蒸し煮にする。水気を出すために塩を加える。
・粗挽きのサルシッチャ・ナポレターナを一人2本ずつ用意する。ナイフの刃先で穴をあける。
・フライパンに皮つきにんにく2かけと油少々を熱し、サルシッチャを入れて焼く。
・白ワインをかけてアルコール分を飛ばす。
・フリアリエッリは蓋を取って5分水気を飛ばす。
・サルシッチャを加えてなじませる。

伝統的な製法の自家製サルシッチャsalsiccia fatta in casa con il metodo tradizione

・3kgの肉を手で小さく切る。
・にんにく1かけのみじん切り、オレンジ1個の皮のみじん切り、粉唐辛子大さじ1、オレンジの汁3個分、またはワイン、塩40gを加えてよく混ぜる。
・腸に詰めて縛る。ス
・穴を開けて火をつけた暖炉に吊るして乾かす。

かなり大雑把な説明で、詳細を求める質問が多数寄せられていますが、推し測るしかないようです。


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総合解説
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2020年7月2日木曜日

ナポリでピッツァにはビールという習慣が定着したのは一番安い飲み物だったから。

ピッツァにはワインじゃなくてビール、ということを知ったのは、始めてナポリのピッツェリアに行った時のこと。
そう、よりによって、ナポリでのことだったのです。
カメリエーレに飲み物は?と聞かれて、ワイ・・・と答えかけたら、一緒にいた日本人の旅仲間が慌てて、ビールでしょ、と否定したのです。
カメリエーレも冷笑しながらビール以外の選択肢はないよ、という風でした。
どうやら、観光客にありがな失言をしたようだというのはすぐにわかりましたが、まだおこちゃまでビールの苦さが苦手で食が細かった当時の私にとっては、
せっかくのピッツァにビールかあ、もったいないなあ。
という無念の思いと、何かやらかしたらしい、という恥ずかしさが強く印象に残った出来事でした。

結局この体験がトラウマになりました。
今でも、ビールよりワイン派ですが、さすがに、ナポリのピッツェリアでワインを頼んだ時の場違い感は、もうゴメンです。
それに近頃のイタリアのクラフトビールは、ビールの苦味問題をかなり解決してくれます。
だから、「総合解説」7/8月号の“ワインとピッツァ”の記事は、個人的に、ちょっと胸がスカッとなるような記事でした。
ワインメーカーのこちらのページによると、そもそも、ナポリでは1950年代、ファシスト政権の名残で、アルコール度8%以上の飲み物の提供が禁止されていました。
でも、高度成長期に入ると庶民の消費額が増えてピッツァにビールを合わせる習慣が生まれます。
イタリア人の36%はピッツァにビールを組み合わせるようになり、ワインはわずか8%、16%はソフトドリンクでした。

さらにこちらのブログによると、ビールはボトルワインより高価だったので、庶民の食事の場、ピッツェリアではビールのほうが人気があったのでした。

どうやらピッツァにはビールというのも、ナポリ人の食にはやたらこだわってるけど、縁起をかついで伝統を変えたがらない、という深層心理が影響しているのかも。

下の動画では、ピッツァにはビールというのはイタリア人が考えたことで、誕生は第2次大戦直後。この組み合わせが定着したのはビールが一番安いのみものだったから、と言っています。
さらに、ビールを飲むとお腹が張るのは注ぎ方が悪いせい。

はるか昔の私のトラウマが、薄まっていきま~す。

では、どんなワインが合うのか。
これ次回のお題です。


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総合解説
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ズッパ・ディ・ヴァルペッリ―ネは、厳しい気候、痩せた土地、物量が困難な高山地方のご馳走。ズッパの語源はドイツ語の濡らしたパン。

コンテンポラリーな地方料理というテーマで、イタリア各州の名物料理を紹介しています。 このところ、ヴァッレ・ダオスタの料理を取り上げていますが、このイタリアで一番小さな州の料理の話をするなら、まずフォンティーナのことを理解するのが大前提、という訳で、イタリアを代表するチーズの話をし...