2012年9月13日木曜日

シチリアのパン

イタリアのパンの話。
最後はシチリア。

この島は、何と言ってもごまつきパンが有名。

Pane Siciliano

Pane Siciliano

シチリアのパン屋さん
  ↓


『IL LIBRO DEL PANE』によると、シチリアは、イタリアの小麦文化発祥の地です。

ギリシャ神話によると、豊穣の女神ケーレスの娘、ペルセポネは、エンナ郊外のペルグーサ湖畔から、冥府の神によって、黄泉の国に連れ去られてしまいます。
彼女の足取りにそって小麦が地面にこぼれ、春になる前にたちまち芽を出しました。


ペルセポネはローマ神話ではプロセルピナといいます。ラテン語で「出てくる」という意味のproserpereが語源で、「小麦が育つ」、という意味合いがあるそうです。

シチリアは、ギリシャの支配によってローマより早く小麦が広まり、さらにアラブから伝わったごまを散らした洗練されたパンが、シチリアの名物となりました。


パーネ・シチリアーノは、シチリア産の小麦を独特の製法で挽いた粉と独自の酵母を使用。
  ↓



エンナはシチリアの島の中央に位置するため、シチリアのへそとも呼ばれる町です。
エンナとカターニア県で作られているパニョッタ・デル・ディッタイーノは、シチリアの最新のDOP製品です。
  ↓
  



毎朝、焼きたてのパンを店に並べるために夜中に働くベッルーノ(ヴェネト)のパン屋さん。
Viva パン屋さん!
   ↓ 






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=====================================テン

2012年9月10日月曜日

サルデーニャのパン

今日はサルデーニャのパンの話。
サルデーニャのパンと言えば、パーネ・カラザウPane caraau。

このパン、こんなに平らなのに、実は、かなり時間をかけて発酵させます。
見かけの割には手間暇のかかるパンです。
  ↓


この島には他にもさまざまなパンがあります。
平らじゃないパンももちろんあります。

例えば、『SPECIALITA' D'ITALIA』で紹介されているのは、
Civraxiu
  ↓


Pistoccu
  ↓

  

Coccoi pintatus o pintau
  ↓

といったパン。

Tradizione Gusto Passione』には、

Pane di Orieri
こんなパン
http://www.flickr.com/photos/mondodelgusto/6737089557/


Pane pistocu
こんなパン
http://www.ricettario-bimby.it/ricetta/13582/pistocu-o-carta-da-musica-ogliastrino.html


そして、この本には、パーネ・カラザウにペコリーノをのせてグリルして蜂蜜をかけた、素朴なデザートの写真がil pecorino grigliato sul pane carasau e condio con miele。
写真が紹介できないのが残念ですが、本のP.40ページに載っています。
超美味しそうで、いかにも羊飼いの島、サルデーニャの黄金の組み合わせ。
香ばしい斜めの焼き色がついたパーネ・カラザウの上にのったペコリーノがとろりと溶けかかり、さらに蜂蜜の照りで輝いています。
ちなみに、P.43のボッタルガとアーティチョークのサラダも、この店の料理。
これもオレンジ色のボッタルガがフレッシュで色鮮やかで、とても美しくて美味しそう。
アーティチョークの中でもカルチョーフィ・サルディという品種がサルデーニャの特産品。

カポテッラのRistorante Sa Cardiga e Su Schironiの一品です。
店のwebページはこちら
魚料理が中心の店。

この本で紹介されている料理は、ほんとにどれもすごーく美味しそうです。
盛り付けとアングルが素晴らしい。
南イタリア関連での今一番お勧め本です。



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2012年9月6日木曜日

中部~南部のパン

『IL LIBRO DEL PANE』のイタリアのパンの話。
どんどん行きます。
各地の代表的なパンのごく一部です。

まずはティジェッレTigelle。

Tigelle

エミリア・ロマーニャの山間部で生まれたパン。
イングリッシュマフィンによく似た形。
暖炉で焼くときに、生地を栗の葉で包んで“ティジェッリtigelli”という道具ではさむところから、この名前に。
ティジェッリとは、瓦と言う意味のテーゴレtegoleの方言。
2段に切って具をはさみます。
定番は、すり潰したラルドににんにく、ローズマリー、パルミジャーノ風味。
野菜のピクルスを添えます。
または、ゆでた青菜、チーズとサラミなど。

型でつける焼印が個性的。
  ↓





パーネ・シャーポPane sciapo。

pane sciapo o re sciocco

トスカーナなど中央イタリア。
ご存知塩気のないパン。



パーネ・カフォーネPane cafone。


Pane Cafone Napoletano

カンパーニア。
天然酵母のパーネ・カゼレッチョ。
“パーネ・コン・レ・フーニ(ケーブルのパン)”が縮んで“カフォーネ”に。
ヴェズヴィオ山からケーブルて降ろして運んだからだとか。
クープが入っていないのが特徴。
  ↓




フリゼッレFriselle。

Frise


プーリア。
一説によると、フェニキアから伝わったパンで、長期間保存できるところから、航海用の食糧だった。
海水で戻して、オリーブオイルをたっぷりかけて食べたという。

 


パン屋さんに行きたくなりました。
おまけの動画。
ジェノヴァのパン屋さん。
+ジェノヴアのフォカッチャ。
  ↓


みんな働き者だなあ。



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2012年9月3日月曜日

グリッシーニ

『IL LIBRO DEL PANE』から、イタリア各州のパンを紹介していますが、今日はピエモンテ。
グリッシーニgrisssiniです。

ミラノの有名店、リストランテ・クラッコのグリッシーニ。
グリッシーニ専用皿が超おされ。
 ↓
Grissini


白くて柔らかいクラムの部分が全くなくて、硬い皮だけの棒状のパン、グリッシーニ。
このパンがこんな形になったのには、諸説あるようですが、本では有名なのを2つ紹介しています。

まず1つは、グリッシーニは、1676年(75年という説もあります)、サヴォイア家御用達のパン職人で、トリノのランツォ村出身のアントニオ・ブルネーロが、当時10歳で胃腸が弱くて病弱で、パンのクラムが食べられなくなったサヴォイア家のお坊ちゃま、ヴィットリオ・アメデオ2世のために、医者の処方に基づいて、消化が良くて食べやすいパンとして考え出したんだとか。

別の説では、14世紀に起こった大飢饉の際に、財政難からパンがどんどん小さくなり、とうとうみじめな棒状にまで細くなっちゃったー。
という説。


何とグリッシーニの誕生にまつわる再現ドラマがありました。
  ↓



パン屋の発明を医者が横取りしたいうオチですねー。
お坊ちゃまは、グリッシーニのおかげで立派に成長して、後にサルデーニャ王国の王様になるなど、絶大な権力を握ったそうです。
この動画では、グリッシーニの前身はトリノ県キエーリのルバタというパンとされています。
ちなみにルバタとは“落ちた”という意味。
パン職人が、切り落としたパン生地の端を腕で転がしながら台から床へ落としていたからなんだそうです。


うーん、どっちの説を取りますか?
有力なのは前者ですが、実際にはパン職人が地元でいつも作っているパンにちょっと手を加えただけだったかもしれないけど、時の権力者で、のちにはイタリアの国王となる一族の名前が出てきちゃうと、誰だって、無名の町のパン、とするより、王様がらみのドラマチックな説を採用しちゃいますよねー。


とにかくのちの王様の大好物となったグリッシーニですが、食べ物には無頓着だったというナポレオンも、グリッシーニがお気に入りで、“トリノのバストンチーニ”(トリノの棒)と呼んでいたそうです。

グリッシーニのリチェッタ
  ↓



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2012年8月30日木曜日

ポーリッシュとパスタ・ドゥーラ

パン1つからでも、イタリアの地方料理の特徴が見えてくるもんですねえ。
次はロンバルディアです。

ロンバルデイアの代表として『IL LIBRO DEL PANE』が選んだのは、“パーネ・ディ・コモpane di Como”(コモのパン)、です。
 ↓
Pane di Como - aufgeschnitten


このパンは、とてもベーシックで、そのせいか、パーネ・フランチェーゼとか、パーネ・カゼレッチョとか、色々な別名があるようです。
パーネ・ディ・コモという名前は、なぜかアメリカでは有名なようですが、イタリアでは、ロンバルディアの代表というわりにはそうでもないような・・・。

このパンの特徴は、ポーリッシュ法(液種法)。
一説によると、この製法はポーランドで生まれてオートリアに伝わり、さらにフランスに伝わったんだとか。
19世紀半ばにフランスで流行した製法だったので、イタリアで、パーネ・フランチェーゼと呼ばれたんだそうです。
イタリア語でも、ポーリッシュpoolishと言います。

ポーリッシュ法はパン作りの基本的な知識だと思いますが、一応、動画もどうぞ。
 ↓


次は、ポーリッシュとは対照的な姿の生地から作るパン。

パーネ・ディ・マントヴァーノpane di Mantovano(マントヴァのパン)です。
このパンの特徴は、パスタ・ドゥーラpasta duraと呼ばれる製法。
直訳すると、「硬い生地法」。
ぐてーっとしたポーリッシュとは正反対で、腰のある生地にして、くるくる巻いて成形します。
この製法のパンはイタリア各地にありますが、特にエミリア・ロマーニャのパンの特徴として知られています。

パーネ・ディ・マントヴァーノ。
   ↓



パスタ・ドゥーラ。
 ↓



パスタ・ドゥーラのパンの中で一番有名で、かつ個性的なのが、フェッラーラのコッピア・フェッラレーゼcoppia ferrarese igp。
フェッラーラのパン屋さんのフェッラレーゼ。
   ↓

コッピア・フェッラレーゼの歌?
イタリアって、ちょいちょいこういう歌あるよねー。
  ↓





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2012年8月27日月曜日

フリウリのパンとチッチョリ


イタリアのパンの話、アルト・アディジェの次は、フリウリ=ヴエネチア・ジューリアです。

地方料理の分野では、話題が少なく、なじみの薄~いフリウリ地方。
しかも、そのパンとなると、ぜーんぜん聞いたことないですよねえ。
でも、やっぱり名物パンがあります

Pan de frizze(パン・デ・フリッゼ)と言います。

“フリッゼ”とは、脂身からラードを取った後のくず肉のこと。
標準語では、チッチョりciccioliと言います。
さすがは豚は何も残さず食べる国で、地方料理のレシピにはちょいちょい登場する食材です。
地方によって名前もさまざまです。
モデナの有名老舗サルメリーア・ジュスティのチッチョリ。
  ↓
Ciccioli frolli


↓この動画によると、今の若い人はチッチョリなんて知らないけど、昔の農民は、パンとチッチョリとワインを持って畑に行き、仕事の合間に食べたんだそうです。
一見すると脂肪分が多そうですが、実際には、脂身を落とした後なので、とてもヘルシー。



チッチョリには豚肉と鴨肉がありますが、フリッゼは豚のチッチョリのこと。
農村では、11月に豚をさばいてラードを取り、そのラードをクリスマスのドルチェに使い、チッチョリはパンやサラミにしました。
つまり、典型的な冬のパンでした。
さらに、ラルドも、年に一度しか作れないとなると、貴重な油脂だったんですね。
だからクリスマス用の特別なドルチェに使ったのか。
したがって、ラードを使うドルチェがたくさんある地方、カンパーニア、エミニア、ラツィオなどには、チッチョリを使った名物料理もあるのでした。
ということは、フリウリにもラードを使ったクリスマスのドルチェがあるに違いない。
誰か知ってたら教えてー。

↓パルマのチッチョラータcicciolata。
地元以外ではお目にかからない貴重なサラミ。
まさに、豚の肉でも内臓でもない部位を使う、匠の技がさく裂。




チッチョラータは豚の頭をまるごとゆでて造る豪快なサラミだったんですね。
豚の脂身を食べる技は、イタリア料理ではかなり高度な次元に昇華されてますよねー。


パン・デ・フリッゼは、00タイプの軟質小麦粉で作る場合と、ライ麦粉入り、とうもろこし粉と砂糖入りの甘いバージョンがあります。

ベーコンやサラミ入りバージョン

他にも、ラツィオのトルタ・ディ・フリッゾリなど、紹介したいチッチョリ料理があるのですが、イタリア料理の豚肉の話も、パンの話と同じくらい奥が深い。
はまると簡単には抜け出せなくなりそうなので、この辺で。



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2012年8月23日木曜日

アルト・アディジェのパン


さて今回は、地方料理のパンの話。

イタリアで一番有名な地方料理のパンと言えば、ピッツァ。

他に有名なのは、トスカーナのパーネ・ショッコとか、ロンバルディアのミケッタ、トリノのグリッシーニ、シチリアのごまつきパン、プーリアのパーネ・ディ・アルタムーラなど硬質小麦粉のパン、フェッラーラの奇妙な形のパン、北イタリアのライ麦パン、リグーリアのフォカッチャ、などなど。
まだ無数にあります。

偶然ですが、「総合解説」の次号には、「アルト・アディジェ料理」の記事が載ります。
パンはアルト・アディジェの名物の一つなので、その料理にも、パンを使ったものが欠かせません。
その中に、名前がチョー読めないパンが登場。

そうでなくても、アルト・アディジェの料理名や地名は、ドイツ語系で???なのに、
今回は、schüttelbrotと、 Vinschger Paarl。
チョー読めない。
で、ぐぐったら、なんと、このブログでも4年前にschüttelbrotを紹介していたことを発見。
schüttelbrotの記事
 ↓
http://prezzemolo-creapasso.blogspot.jp/2008/06/blog-post_13.html
シュッテルブロートでした。

Vinschger Paarlはヴィンシュガー・パール?
こんなパンです。

この写真をのせたブログによると、ヴィンシュガーはヴァル・ヴェノスタという地名のこと、パールとはペアーという意味で、丸いライ麦パンが2つくっついた形のパン。
ちなみに、ブログ主さんはアルト・アディジェの観光ガイドさんのようです。

アルト・アディジェには、あまりイタリアらしくはないけれど、もっと言いやすくて有名なパンがあります。

brezel(プレッッェル)です。


常識的にはドイツやスイスの名物パンとされますが、正確には、ドイツ、スイス、アルト・アディジェの名物パンだったんですねー。

『IL LIBRO DEL PANE』によると、アルト・アディジェのプレツェルにはこんな伝説があるそうです。

昔々、王様が、太陽の光より3倍輝くものを作れ、という命令をパン屋に下しました。そこで天才パン職人が考え出したのは、黒パンに岩塩を散らすという方法でした。

プレッツェルは今はビアホールの定番のつまみですが、かつては修道院でも作られていました。
プレッツェルの形は、修道士たちがお祈りの間腕を組んでいる姿を模したものだそうです。

メラーノ(アルト・アディジェ)を訪れたイタリア人観光ア客が食べているのは、ソーセージ、プレツェル、ザワークラウト、クネーデル、ビール。
この動画はイタリアの食文化の多国籍ぶりを伝えていて面白く、以前にも紹介しています。
   ↓


そういえば、イケアに行ったらチャバタというパンをセルフサービスレストランで売っていました。
マクドナルドにも、期間限定メニューで、チャバタというパンを使ったハンバーガーが登場してましたよね。
最近時々見かけるようになって気になっていたチャバタですが、イタリアではチャバッタciabattaです。


夏バテしたみたいな、ぐたっとした生地なんですね。

とても一般的でサンドイッチやパニーニに最適のパンですが、どこでいつ生まれたパンかというのは、はっきりしていないようで、諸説ありますが、どれもこれといった証拠は示されていません。
とりあえず、チャバッタというのはイタリア語でスリッパという意味の言葉なので、イタリアで生まれたパンという可能性は大です。
歴史が浅いからか、地方料理としての痕跡はあまり残っていません。
ということは、生まれてすぐに急速に世界中に広まったようです。
『IL LIBRO DEL PANE』には、
「北イタリア全域に広まっているパン。
外側はカリッとしているが多孔質、中はふんわりしているので、味が濃い料理やソースのある料理、つまり北部の料理と相性が良い。
時間と力をかけてこねた生地を、スリッパ型のサンダルのような形に伸ばすところから、この名がついた」
と紹介されています。
上の動画は、確かに生地をスリッパみたいな形に成形してましたねえ。
アルト・アディジェのチャバッタはライ麦とクミン入りです。




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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2011年5月号、“アルト・アディジェの味”の記事は近日発売の「総合解説」2011年5月号に載ってます。
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イタリアの新しいマスター・オブ・ワインが選ぶコンテンポラリーな赤ワイン。

イタリアの新しいマスター・オブ・ワイン、アンドレア・ロナルディが提案するPinosophyの概念。イタリアの食の分野のカリスマたちは、深い哲学への造詣がある人が多く、言ってることの意味が分かるまで、かなり苦労します。マスター・オブ・ワインも例外ではありません。なので、それなりにか...