2019年10月18日金曜日

ざっくりしたパスタの歴史

ベルガモの名物パスタ、カゾンチェッリの話からの流れで、パスタ・リピエーナについて。

スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの『パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ』と

目から鱗の考察が満載の『パスタ・レボリューション


を参照しました。


パスタ・リピエーナについて話す前に、まず、パスタについて。

パスタは、パスタ・フレスカpasta fresca(生麺)とパスタ・セッカpasta secca(乾麺)に分かれます。
さらに、パスタ・リッシャpasta liscia(詰め物なし)とパスタ・リピエーナpasta ripiena(詰め物あり)があります。
これが必須の基本情報。

次に、パスタの歴史をざっと見てみます。
まず最初にニョッキがありました。
パスタのルーツはニョッキです。
ただし、現在一般的なじゃがいものニョッキではなく、穀物の粉と水のニョッキです。
現在ではイタリア北部や山岳部に広まっています。
次にパスタ・リッシャが生まれ、さらにパスタ・リピエーナが生まれます。
まだゆでるのではなく、オーブンで焼いたり、揚げるのが一般的だった時代です。
ゆでる調理方法は、干した食べ物を戻して食べる、という考えとともに広まりました。
こうして保存に適して大量生産ができるパスタ・セッカが世界中に広まっていきます。
詳しくは、以前のブログをどうぞ。こちら

初期のパスタ・リッシャは、手だけで成形していました。
ニョッキを指や手のひらで押しつぶして平にし、煮汁やチーズがよくからむようにしたのはおそらく自然の成り行き。
こうして、ソースとパスタの関係も現在のものに近づいていきました。
成形方法も、押しつぶす、引っ張る、ねじる、棒に巻きつける、型でくぼみをつけるなど、無数の方法が考えだされます。
それと同時にソースも進化しました。
北イタリアで普及した軟質小麦粉と卵黄のパスタは薄く伸ばすことを可能にし、ラザーニャやタリアテッレへと進化していきます。
対して硬質小麦粉と水のパスタは、薄く伸ばすのに適さず、パスタ・リピエーナも作られませんでした。
このように栽培する小麦の種類によって作られるパスタも違ってきました。

パスタ・リピエーナの包みは卵入りパスタ、具は、ディ・カルネdi carne(肉の具)と、ディ・マーグロdi magro(肉以外の具;チーズ、じゃがいも、豆、野菜、卵、パン粉など)に大別できます。
形は四角、三角、半円などのラビオリravioliやトルテッリtortelliタイプ
帽子形のカッペッロcappelloやトルテッリーニtortelliniタイプ
キャラメル形や麦の穂形などの特殊タイプなどがあります。
パスタ・リピエーナは儀式や祝い事などのために作られました。
また、軟質小麦粉と薄く伸ばす技術が必要だったので、南伊ではほとんど広まらず、北伊のパスタでした。

かなり大雑把な話でしたが、パスタ・リピエーナの成り立ちのイメージ、つかめたでしょうか。

トルテッリ

アニョロッティ・デル・プリン

クルッジョーネ






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