2016年2月22日月曜日
お勧め本2冊
今日は最近のお勧め本の話。
なんだか最近、畑を耕して野菜を育てながらシェフをやっている人の話をよく訳します。
日本でも、レンタルファームが大人気のようで、自分で育てた野菜で作る料理、いいですねえ。
憧れるなあ、なんて思っていたら、イタリア人も同じこと考えているようで、ミラノの18世紀の農場を再建したカッシーナ・クッカーニャの記事に、シェフの料理哲学を紹介するこんな文章がありました。
とても心に残る文章でした。
「かつては、パスタ、パン、ドルチェは家庭で作るものだった。
野菜、果物、小麦粉、オイルは有機栽培で作り、テーブルに上る料理は季節によって変わった。
加工食品は、地元の腕の良い職人がいる小さな工房で作られた最高のものを購入した」
ふう、素敵な生活ですねえ。
耕せる庭もない都会の片隅で、スーパーで出来合いの食品買って生活している身には、パスタやパンを粉まみれになって作ったり、土まみれになって畑を耕す姿は、憧れ以外のなにものでもありません。
いいなあ、畑レンタルしてズッキーニ育てたいなあ、なんて妄想を広げている身には、そういう生活を実現している人の料理は、興味津々です。
それに最近は、イタリアでもちょっと有名な店はどこもミシュランの星付きで、ゴージャスさや意外さを追求した、めんどくさい料理ばかり。
そんなリチェッタばかり訳していると、ぐったり疲れます。
そんな私のもっぱらの癒しの本となっているのが、先日紹介したジョルジューネシェフの『オルト・エ・クチーナ』です。
クレアパッソのホームページでも近々紹介する予定ですが、『野菜畑と料理』と題するこの本は、ミシュランとはまったく無縁そうな、泥臭い人気者のシェフが、野菜を耕して野草を摘み、家禽を育てる生活をしながら営む繁盛レストランの四季の料理本です。
野原に花が咲き乱れる春には、森を歩いてワイルドアスパラガスやイラクサ、チェリーを摘み、畑ではソラマメ、グリーンピース、新じゃがいも、エルベッテ、ビエトレ、いちごを収穫します。
そしてイラクサのマルタリアーティや、ソラマメとグアンチャーレのカプンティ、ビエトラのパルミジャーナ、セージのフリット、マスのカルトッチョ、チェリーとザクロのマチェドニアといった、見栄えはいまいちですが、森や畑の香りがしそうな料理の数々を作っているのです。
時には、ハーブを摘むのも面倒だと思うくらい気分が落ちていることもあります。
そんな時の癒しの本は、『マンマミーア』です。
この本は、ミシュランも高級食材も無縁の素朴な家庭料理の本なのに、美味しそうな料理の写真からは、家庭のぬくもりが伝わってきて、料理を作ろう、という気力が湧いてきます。
リチェッタは、私でも作れそうなくらい簡単そうです。
ブリーとポルチーニのクロストーネなど、都会のお母さんが考えそうな料理もあって、ハードルが低め。
取りあえずは、夏の収穫に向けてなすでも植えるか。
畑もないのに妄想は無限大です。
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“カッシーナ・クッカーニャのニコラ・カヴァッラーロシェフ”の記事は、「総合解説」13/14年5月号(次号)に載る予定です。
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