新年、明けましておめでとうございます。
今年もイタリアの料理関連の情報をバンバン日本語に翻訳してお届けしますよ~。
今年の最初の話は去年の続き(汗)。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事の解説です。
2010年版ミシュラン・イタリアの三つ星店は6軒。
その中の1つ、「ラ・ペルゴラ」は、ローマの5つ星ホテル、ローマ・カヴァリエーリの中にあるレストラン。
1994年から総料理長を務めているのは、ハインツ・ベック氏です。
1963年生まれの46歳。
ドイツ人です。
子供の頃は芸術に興味があったという彼ですが、兄の影響で料理人の道を志し、17歳でドイツのホテル学校に入ります。
そして20歳で調理人となりました。
23歳でホテルの一つ星レストランのシェフとなり、26歳で三つ星レストランに入ってすぐにスーシェフとなります。
28歳でドイツの有名シェフ、ハインツ・ウインクラーのスーシェフとなったことを契機に、自らのスタイルを確立。
ローマのラ・ペルゴラにやって来たのは31歳の時。
それ以前の彼はフランスの影響を強く受けた料理を作っていましたが、イタリアで地中海の味と出会ってからは、もっとモダンで軽い料理を作るようになります。
33歳でイタリアのソムリエスクールに通いだし、35歳でヨーロッパのプロのソムリエの資格を取得。
38歳でイタリア人女性と結婚。
そして現在までに、ミシュランの星や様々な賞を山のように受賞しています。
とにかくまぶしいほどに輝かしい経歴の持ち主です。
15年のイタリア滞在で、外国人でありながら今やイタリアを代表するシェフの1人となってしまいました。
ハインツ・ベックシェフのhp
ラ・ペルゴラとシェフ
ローマで、ドイツ人が、世界各国の人を相手に、インターナショナル料理ではなくイタリア料理を作って、それがイタリアの最高峰と認められるとは、まったくすごいことですねえ。
彼の料理はとても知的で、ローマの伝統と新しさを程よくミックスしています。
食通向きの高度な技を駆使しながらも、なおかつ、誰にでも分かるような単純明快さも持っています。
定番を理解したうえで洗練されたアレンジをするとこうなる、というお手本のような料理です。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事、「三つ星の料理」の中でも、彼の料理は光っています。
特に美味しそうなのが、イタリア料理のエキスパートで、豚肉料理の国民的DNAを持つドイツ人が子豚料理を作るとこうなる!という1品。
「イベリコ子豚の“セクレト”のコンフィ、じゃがいもの香草入りピューレとオリーブのソース添え」
イベリコ子豚のセクレトとは、霜降り肉のこと。
こんな肉。
こちらのサイトによると、頬の部分と腕の付け根から脇腹にかけての部分のようですね。
この霜降り肉を、リコリスパウダー、フェンネルシード、塩、こしょうで調味して、溶かしたグースファットと一緒に真空パック。
そして60度のコンベクションオーブンで24時間加熱します。
袋から出したらグリルパンで焼き、スライスして盛り付け。
グースファットで24時間コンフィにしたイベリコの霜降り肉って、いったいどんな味なんでしょうねえ。
グースファットは付け合わせのじゃがいもに使うのかと思ったら、豚肉に使うなんて、さすがにタダものじゃないですね、このドイツ人。
ソースは、フォン・ド・ヴォーに刻んだタッジャスカオリーブを入れて10分煮て、これをシノワで漉して、有塩バターを加えてホイップします。
付け合わせのじゃがいものピューレはオリーブオイル、エストラゴン、セルフィーユ入り。
もう1品、
「帆立貝のカルパッチョ、黒トウモロコシのブロードで煮たアマランサス添え」
この料理の注目ポイントは、アマランサス。
一見、海苔のように見える黒いものと、帆立貝の上に散らされている薄茶色の粒状のもの。
これ、両方ともアマランサスです。
これが元のアマランサス。
それを黒トウモロコシのゆで汁で煮ると、黒アマランサスになる!
オリーブオイルで揚げると“アマランサスのポップコーン”になる!
どんな味なんでしょうねえ。
さらに、こんなアマランサスと一緒に食べる帆立貝のカルパッチョって、どんな味なんでしょう。
帆立貝は、しょうが汁、ライム、オリーブオイル、塩をホイップしたソースで軽くマリネしてあります。
イタリアの三つ星、いかがなもんでしょうか。
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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年4月号
「三つ星の料理」のリチェッタは、「総合解説」'07&'08年4月号に載っています。
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