モデナのバルサミコ酢を巡る旅、その9です。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事では、きのう書いたオステリーア・ディ・ルッビアーラを始めとして、バルサミコ酢を使った料理を食べたい人にお勧めの店を色々紹介しています。
その中から、モデナ市内にあって、家庭料理をベースにしたモデナの伝統料理を出す店を1軒ピックアップします。
オステリーア・ジュスティです。
オステリーア・ジュスティは、1605年創業のヨーロッパで一番ー古いサルメリーア、ジュスティの奥にあります。
サルメリーアのレストランとは言っても、ミシュランで1つ星を獲得しています。
サルメリーア・ジュスティの入り口。
オステリーアへもここから入ります。
↓
via Farini
Originally uploaded by Aelle
地図の左のマークは世界遺産のグランデ広場。
右がオステリーア・ジュスティ。
大きな地図で見る
この店、1605年以来、1980年まで、ずっとジュスティ家が経営してきました。
ところが、ジュスティ家最後の当主、ジュゼッペ・ジュスティさんには子供がいませんでした。
かねてからトラディツィオナーレのバルサミコ酢造りに専念したいと考えていた彼は、店で16歳の時から働いていた若い店員(当時はおそらく29歳)、アドリアーノ・モランディさんに店を継がせることにします。
店の経営を任されたアドリアーノさんは、1989年に店の一角を改装して小さなオステリーアを始めました。
テーブルは4つで、営業は昼だけ。
奥さんのラウラが料理を作り、息子のマッテオと娘のチェチーリアがサービスの担当。
料理は、モランディ家の味をベースにしたモデナの伝統料理です。
2002年にはミシュランで星が1つつきました。
サルメリーアだけでなくオステリーアも有名になり、世界中から客が訪れました。
ところが、突然、思ってもいなかったことが起きます。
2005年に、アドリアーノさんが他界してしまったのです。
一時店を閉めた期間もあったようですが、現在は、残された奥様と子供たちが頑張って店を切り盛りしています。
2006年にはサルメリーアの権利も購入したそうです。
店のhpのこちらのページでは、アドリアーノさんが他界したことを伝えています。
その上の写真で、残された3人は穏やかに微笑んでますが、きっとお父さんの残したものを守っていくぞー、という強い決意を抱いていることでしょう。
こちらやこちらの写真はオステリーア・ジュスティの料理。
正統派の伝統料理ですね。
店のメニューは、ニョッコ・フリットと生ハム類の盛り合わせ、
去勢鶏のインサラータのトラディツィオナーレのバルサミコ酢がけ、
ミネストローネのフリッテッレ、お米のフリッテッレ、バッカラのフリッテッレ、
自慢のパスタのタリアテッレ、タリオリーニ、トルテッリーニ、トルテッローニ、
ビアンコマンジャーレ(ポルペッティーネ入り鶏のブロードの白いスープ)、
珍しいモデナ風ラザーニャ、
コテキーノ、ザンポーネ、
子牛頬肉の煮込み、乳飲み子豚のオーブン焼きなど。
そう言えば、この店のリチェッタを訳したことを思い出しました。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』2006年3月号の、「オステリーアの伝統料理」という特集記事です。
グアンチャーレのタリアテッレがすごくおいしそうでした。
玉ねぎのソッフリットに熟成させたグアンチャーレの小角切りを入れて脂がやや溶けるまで炒め、ホールトマトと塩を加えて30分煮たサルサでした。
ここにゆでたタリアテッレを入れてなじませ、おろしたパルミジャーノでマンテカーレしたら牛乳数滴でつなぎます。
こちらのサイトの動画では、ラウラさんが店を紹介しています。
店のスペチャリタの1つ、“コテキーノのフリットのランブルスコのザバイオーネがけ”も登場します。
オステリーア・ジュスティ Hosteria Giustiのhpはこちら。
4卓しかないので要予約。
日曜定休のようですが、店に確認してください。
夜は団体(16~24人)の予約があったときだけ営業。
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関連誌;「モデナのバルサミコ酢を巡る旅」は、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年3月号(2008年3月現在、クレアパッソで販売中)の記事を解説しています。
記事の日本語訳は「総合解説」に載っています。
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