2018年9月28日金曜日

カルロ・クラッコの子羊のレバーのたこ焼き

さて、アブルッツォの羊版焼き鳥、アッロスティチーニですが、
カルロ・クラッコの地方料理

には、こう書かれています。
クラッコシェフは、羊肉の串焼きをどう料理するのでしょうか。

アッロスティチーニは、羊肉の角切りを串に刺して炭火で焼いた山の料理だ。
現在では子羊肉も使うが。
羊肉は本物のアブルッツォ料理の食材だ。
それと同時に山の食材でもある。
もう1つの典型的山の食材、それは内臓だ。
私のアッロスティチーニにも子羊の内臓を使う。
もちろん、1本の串に肉と内臓を刺して焼くのではない。
肉と内臓(トリッパ、腸、レバー、胸腺)は別々に串に刺す。
私はこれにパプリカで香りをつけた濃厚なアブルッツォ産オリーブオイルのペーストを添えるのが好きだ。


リチェッタを見ると、肉は羊や子羊のもも肉。
内臓はビネガーを加えた湯で下ゆでして小さく切り、セージ、パンチェッタと交互に串に刺します。
これを軽い炭火でオレンジ色にならないように焼きます。
直接グリルに串を載せてもいいですが、子羊とよく合うアロマのハーブ、タイムの束を網にのせてその上に串をのせて焼いてもいいでしょう。
2~3分で火が通ります。
ソースはパプリカ、オイル、水を撹拌したペーストです。


前回、キタッラのリチェッタで子羊の骨で取ったフォンドからラグーを作るリチェッタを紹介しましたが、クラッコシェフも、この料理の切り落としをバター、にんにく、玉ねぎで炒めてフォンドかブロードを加え、1時間煮てラグーにしたものをキタッラのソースにすることを勧めています。

本で紹介されているもう1品のアブルツォ料理は子羊のレバーのフリッタータです。
クラッコシェフにはアブルッツォ出身の同僚や友人がいて、それでこのマイナーな地方の料理もよく知っているのだそうです。

初めてオステリアで食べた時は、何のフリットかわからずに、子羊の内臓だと知った時には驚いたそうです。
でも、今まで食べたことのあるフリットとはぜんぜん違う味と姿で、深く記憶に刻まれたそうです。

彼はこれに独自のアレンジを加えて、シリコンの半球型を使うことにしました。
そしてさらに深く考察していくうち、どうもこれは日本のフリッタータが原型なのでは、と考え出します。
四角い鋳鉄に木の取手がついたフライパンで、底が半球型になっているもので焼きます。
あ、そ、それはあれですね。
シェフは家に新品のものがあるけれど、一度も使ったことはない、と告白しています。

たこ焼きならぬ、子羊の内臓焼きだー。
イタリアの人にとっては、あれはフリッタータの一種なんですね。

本を読む限り、彼はたこ焼き食べたことないのではと思うのですが、子羊のレバーのフリッタータは、たこ焼き器を使って作ります。
アブルッツォのオステリアで食べたフリッタータにとりつかれた彼は、たこ焼きをイタリアンのアルタ・クチーナにアレンジしてしまったのでした。

リチェッタはちょっと複雑ですが、読んでるだけで美味しそう。


ほんとこの人の本は面白いわ。
料理のことを語りだすと止まらない。




クールにしたいならエシャロットを使う』もお勧めです。





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2018年9月26日水曜日

アブルッツォの農家料理の定番、パロッテ・カチェ・オーヴェ

アブルッツォ料理を調べていたら、cac'e ove/カチェ・オーヴェという料理に出会いました。

動画も色々ありました。
特に“パッロッテ・カチェ・オーヴェ”という料理がアブルッツォ名物のようです。

パッロッテとはポルペッテのこと。
カチェ・オーヴェはチーズと卵。
パン粉とおろしたチーズ、卵のダンプリングです。
見事なまでに質素な農家の家庭料理の食材。
これをアブルッツォではどんな料理にするのでしょうか。
 ↓


質素な食材だけでできているとは思えない。

スローフードのオステリエ・ディ・イタリア

にはモリーゼ(!)のリチェッタがありました。

“パッロット・ディ・パーネ”
PALLOTTO DI PANE

材料/4人分
 パンのクラム・・150g
 小麦粉
 イタリアンパセリ・・1房
 卵・・1~2個
 牛乳・・1カップ
 ペコリーノ・スタジョナート・・200g
 塩
ソース;
 トマトソース・・300g
 玉ねぎ・・小1個
 にんにく・・1かけ
 ペコリーノ・スタジョナート
 EVオリーブオイル、塩

・パンを崩して牛乳に浸す。
・玉ねぎをみじん切りにしにんにくと一緒にソッフリットにする。
・トマトソース、塩一つまみを加えて蓋をして弱火で20分煮る。
・チーズをおろして軽く溶いた卵に加える。
・よく絞ったパン、塩一つまみ、イタリアンパセリのみじん切りも加えてこね、柔らかくて腰のある状態にする。柔らかすぎる時は小麦粉少々を加える。
・手で小さく丸めて小麦粉をまぶす。
・香りが強すぎないたっぷりの油で揚げる。
・シートに取って油を切る。
・トマトソースにパッロッテを入れてよく混ぜ、10分なじませる。
・仕上げにペコリーノを散らす。

そう言えば、『カルロ・クラッコの地方料理』には、

マイナーなアブルッツォ料理は何が紹介されているだろうと思って見てみたら、意外なことに“アッロスティチーニ”が取り上げられていました。
この羊版焼き鳥を、クラッコシェフはどう料理するのでしょうか。
訳は次回に。


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2018年9月24日月曜日

アブルッツォのリストランテとオステリア

アブルッツォの要チェックレストラン。
その1、ヴィッラ・マイエーラ。

地方料理とアルタ・クチーナが出会ったティナーリ一家の店。
14室のエレガントな客室付きのホテル・レストランです。




アブルッツォと言えば、ディ・チェッコ。
ディ・チェッコが企画した各州の有名なシェフのパスタを紹介する本、『パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア
で、アブルッツォのシェフとして紹介されているのが、このヴィッラ・マイエーラのシェフのペッピーノ・ティナーリ。

アブルッツォの魅力的なもてなしを体験できる素敵な店。
昔ながらの懐かしさのある伝統の味を、現代の最先端の食材で再現しています。

本のリチェッタを訳してみます。

“子羊のラグー・ビアンコ、セイボリー風味のキタッラ
chitarra al ragù bianco di agnello al profumo di santoreggia

材料/6人分
 マッケローニ・アッラ・キタッラ・・500g
 子羊の肩か首肉・・600g
 子羊の首の骨・・200g
 葉玉ねぎ・・80g
 セロリ・・50g
 ローリエ・・1枚
 セイボリー・・2枝
 にんにく・・1/2かけ
 EVオリーブオイル・・150ml
 白ワイン
 野菜のブロード・・1L
 塩
 完熟トマト・・3個
 にんにく・・1/4かけ
 EVオリーブオイル・・100ml
 削ったペコリーノ

・ソテーパンに油を熱し、骨をじっくり焼く。葉玉ねぎとセロリのみじん切り、潰したにんにくを加えて炒める。
・次に1cm角に切った肉、ローリエを加えてワインをかけ、アルコール分を飛ばす。野菜のブロード少々をかけながら45分煮る。
・骨を取り除いて塩味を整え、セイボリー少々を加える。
・にんにくと油を熱し、皮と種を取って小さく切ったトマトを加えて10分煮る。塩味を調え、裏漉ししてクリーム状にする。
・パスタをゆでて子羊のソースであえる。
・皿にトマトのクリームを注ぎ、その上にパスタを盛り付ける。セイボリーとペコリーノの薄片で飾る。

コロコロの子羊肉の存在感があるパスタです。
子羊のフォンドで作るソースも濃厚そう。

子羊というと、ローマのアバッキオが有名ですが、ローマのアバッキオはほとんどがサルデーニャ産。
ペコリーノ・ロマーノもサルデーニャ産、という厳しい現実がありました。
ところが、山を挟んで反対側は、子羊料理のパラダイスがまだ現存していそうです。

スローフードの『オステリエ・ディ・イタリア2017

によると、ラクイラのオステリア・ディ・アンティカ・ムーラの子羊料理はこんな料理。

子羊のカーチェ・オーヴェ
Agnello cac'e ove

材料/4人分
 子羊のももか肩肉・・1kg
 卵・・3個
 ローズマリー・・1枝
 レモン・・1個
 ペコリーノ・スタジョナート・・50g
 EVオリーブオイル
 塩、こしょう

・肉を小さく切る。油とローズマリーで焼いて塩、こしょうする。
・卵を溶き、おろしたペコリーノとレモン汁を加える。
・これを子羊のソテーパンにかけて全体が固まるまで素早くマンテカーレする。
・熱した皿に盛り付けてすぐにサーブする。

※別名“子羊のブロデッタート”とも呼ばれるアブルッツォの(復活祭の)名物料理。
ソッフリットににんにくを加えたり、肉に白ワインをかけるなどのバリエーションがある。

これはフリカッセのアブルッツォ版。
アブルツォではカーチェ・オーヴェ(cac'e ove)と呼ぶのですね。
チーズと卵ですね。

カーチェ・オーヴェの話、次回にづきます。


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2018年9月21日金曜日

焼き鳥の羊版、アブルッツォのアッロスティチーニ

今日はアブルッツォ料理の話。
「総合解説」のグルメ旅がアブルッツォなので。

さてと、アブルッツォ料理といえば、キタッラ。

そう言えば、アブルツォは1963年まではモリーゼと一緒で1つの州だったのでした。

「山と平野と海があって、移牧の伝統があり、シーフードや子羊、仔山羊料理が名物」と、地方料理の個性的なロングセラー、

クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブレイムブリッジにはあります。



さらに、地方料理には質素な食材を使うものが多く、野菜はアブルッツォはじゃがいもが名物。他にはサフラン、オリーブオイルが世界的に有名。
パスタを大量に消費する、といった南イタリア特有の食文化の特徴もあります。
ディ・チェコはアブルツォが誇る世界的パスタメーカー。

個人的には食べたいアブルッツォ料理ナンバー1は、羊肉の串焼き、焼き鳥の羊肉版、
アッロスティチーニ。
 ↓


この煙が美味しそう!
串も炭も中国からの輸入品だそうです。

アブルッツォの最後の羊飼いが語る“移牧”
牛の移牧とは、ちょっと違いますね。
 ↓


サルデーニャの羊飼いの世界が舞台の映画、『パードレ・パドローネ』を観て以来、羊飼いが素晴らしい自然に囲まれたのんびりした仕事だなんて、とても思えなくなってしまいました。
でもアッロスティチーニは単純に美味しそう。
リチェッタを訳した“ペルチャテッリ”は、アブルッツォ版ブカティーニ。
ナポリ発祥のパスタが違う名前で広まっているのをみると、アブルッツォは地理的には中部イタリアに属するけれど、食文化は南に近い、複雑で興味深い地方のようです。



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2018年9月19日水曜日

地方料理のシリーズ本

ニュートンの地方料理シリーズを、久しぶりに更新したら、新シリーズの表紙が料理の写真に変わって、とても賑やかになっていました。

クレアパッソのニュートンのページはこちら

このシリーズは、何度もデザインを変更しながら、昔から続いてきました。
表紙を頻繁に変える割にはリチェッタは一切手を加えず、頑なに昔のままという、
頑固な職人気質のシリーズです。

魚料理を集めたディ・マーレ・シリーズの次に売り出したのが、アンティパスト、パスタ、ドルチェというテーマで集めたシリーズ。

あとは野菜とカルネが出れば、コンプリート。

それにしても1000点のリチェッタというのは相当な数です。
他の地方料理のシリーズ書との大きな違いは、この数。
リチェッタと比べると写真の数は少ないですが質はいいです。

質と言えば、表紙がふかふかな仕様なのはなぜでしょう。
表紙だけは100年もつように作ってあります。

一方、ニュートンとは対象的なのが“グリバウド”シリーズ。
数をぐっと絞って、基本的な料理をコンパクトにまとめています。
シリーズを全部揃えても本棚の一角を埋めるだけ。
手軽で手に取りやすいいいシリーズですが、売り切れ間近です。


さらに、新入りの“イン・クチーナ”シリーズは、
リチェッタにも写真にも惜しみなくお金をかけた、とても豪華な本。

英語とイタリア語の2カ国語版で、世界中で売ることを念頭に作られています。
大力作。

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2018年9月17日月曜日

ヴィテッロ・トンナートじゃなくてトンノ・ヴィテッラート

今日のお題はヴィテッロ・トンナート。
いや、正確に言うと、トンノ・ヴィテッラート。

なんじゃこりゃ、と思いますよね。
ヴィテッロ・トンナートのバリエーションの話をする時、イタリア人の心に必ず浮かぶダジャレが、これなんですわ。
以前にも訳したことがあるんです。このどーしようもないダジャレ。

マグロのソースをかけた子牛肉があるなら、子牛のソースをかけたマグロがあってもいいじゃん、
というか、ゴロが面白ければ、味なんてどうだっていいじゃん、というラテン系なノリが見えるこのネーミング。

今回も、大真面目に訳しちゃいましたよ。
総合解説」2016年5月号P.15をご覧ください。

動画もちらほらあります。
 ↓



それにしても、tonnoやvitelloの語尾に~toをつけると、食材がソースに変わるのって、便利だなあ。
解説に載せたもう1品は、鴨の胸肉のアグルマータ。
agrumiは柑橘フルーツのことだから、レモンやオレンジのソースです。
でも、これはダジャレじゃなく、柑橘フルーツのミックスジュースのことをアグルマータというのでした。
 ↓



もう1品の七面鳥のヨーグルトソースはヨーグルタートじゃなくてアッロ・ヨーグルトallo yogurtでした。
ひょっとしたら、トンナートというのは珍しい言い方なのかも、
と思って他の名前を探してみたら、意外と~toとい言い方はなかった・・・。
トンノがたまたまトンナートに変化させやすい言葉で、
ヴィテッラートは、言ったもん勝ちのダジャレだったんですね。

お口直しに、市販のマヨネーズを入れない伝統的なリチェッタのヴィテッロ・トンナートをどうぞ。
この料理はフランス料理ではなく、ピエモンテ料理だったんだなあ。
 ↓


ゆでないので肉がジューシーに仕上がります。
ソースの油分は少量加えるだけ。
盛り付けも斬新で、別の料理のようですね。

お勧めの料理書は
スローフードの『オステリエ・ディ・イタリア2017




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“ヴィテッロ・トンナートのバリエーション”の記事の日本語訳は「総合解説」2016年5月号に載っています。
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2018年9月14日金曜日

パスタのお焼き、トルテッリ・アッラ・ラストラ

訳して以来、気になっていた料理、“石板焼きトルテッリ”。

聞いたことのないパスタだったので、動画もないだろうと思っていたら、意外とあって、ちょっと意外。
ひょっとして、知らなかったのは私だけ?
こんなパスタです。
 ↓


何も知らないと、この動画を見ても???ですが、『サーレ・エ・ペペ』の記事では、このパスタが誕生したいきさつを詳しく説明しています。
なるほどの歴史があったのです。

ちなみに上の動画は、「総合解説」で、「毎年石焼きトルテッリの祭りが開かれる町」と紹介されているアレッツォ県のコレッツォのもの。

さらに、蛮族が超えたというトスコ・ロマニョーロの山脈はこんな感じ。
 ↓


この地方の羊飼いが移牧の時に用いる調理方法が、石板焼きトルテッリ。

鍋に水を張ってゆでるよりは、このあたりで取れる砂利まじりの石の板を熱してその上で焼いたほうが簡単なのか。

これは一種のお焼きですね。

お焼きは餡を生地で包んで焼きますが、このトルテッリも、詰め物はトマトソース入りマッシュポテトで、餡という言葉がぴったり。

祭りには欠かせないストリートフードだそうで、これはぜひコレッツォで食べてみたい。
それにしても、ここまでどうやって行くのでしょうか。

去年の祭りの告知
 ↓




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“石板焼きトルテッリ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2016年5月号に載っています。
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中央ヨーロッパと北西ヨーロッパの影響を受けた地中海の地方、フリウリ・ヴェネチア-ジューリア。

今日のトラットリアは、フリウリ・ヴェネチア-ジューリアの店です。 フリウリ・ヴェネチア-ジューリアは、地中海にありながら、中央ヨーロッパと北西ヨーロッパの影響を色濃く受けた、個性的な地方。 アフリカやアラブの影響が強い南イタリアではまったく感じない異国情緒があり、とてもドラマチッ...