ミラノの話、その2です。
今日のお題は、ミラノの名物料理の一つ、コトレッタ・アッラ・ミラネーゼcotoletta alla milanese、またはコストレッタ・アッラ・ミラネーゼcostoletta alla milanese。
サヴィーニのコトレッタ・アッラ・ミラネーゼ。
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料理も出すピッツェリーア“ファッブリカ”の、ピッツァと同じ大きさのコトレッタ・アッラ・ミラネーゼ。
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この料理は何かと流派が分かれています。
まずはその名前。
コトレッタか、コストレッタか。
コストレッタは“リブロース”を指すイタリアの標準語。
コトレッタはコストレッタの北イタリアなまりで、フランス語のコトレットが語源と言われています。
主に、子牛のリブロースの切り身に溶き卵とパン粉をつけて揚げた料理を意味しますが、単なるカツレツという意味ではなく、リブロースでなくもも肉などを使うと、コトレッタとは言いません。
他に、コストレッタは骨付きで、コトレッタは骨なし、という説もあります。
ちなみにミラノ市では、市公認のご当地料理を“デコ料理”と名付けています。
デノミナツィオーネ・コムナーレの略で、デコ(De.Co)です。
現在10点ほど選ばれていて、その中にこの料理もあります。
ミラノ市公認の名称は、コストレッタ・アッラ・ミラネーゼ。
そしてもう一つの流派の違いは、肉を叩くか、叩かないか。
上の二つの写真のうち、下のコトレッタは、肉を叩く派。
いわゆる“象の耳”ですね。
店によっては、メニューにコトレッタと書かずに“オレッキア・デレファンテorecchia d'elefante(象の耳)”と書いてあることもあるので、外国人観光客ならビックリするかも。
3Dの子牛肉を薄く広げて巨大な2Dに変身させたこの料理は、庶民的な店では名物になっていることも多い人気の品。
ただし、パン粉に火を通すために一定の時間加熱しなくてはならず、その間に薄く伸ばした肉に火が入りすぎてしまう可能性もあります。
肉本来の味を生かすという点では、正統派ではなく、サブカルチャー的な位置づけ。
逆に、肉を叩かない派は分厚い肉を使うので、肉にどれだけ火を通すかがポイント。
衣はカリッと、そして中はピンク色、というのが理想的。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』で叩かない派の代表として紹介されているのは、トラットリーア・デル・ヌオヴォ・マチェッロTrattoria del nuovo macello。
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そしてこちらがコトレッタ。
肉が厚いから立ってます。
叩かない派はこういう盛り付けが流行りのよう。
かつてはミラノの人も、中までしっかり焼けていないコトレッタには慣れていませんでした。
その昔、コトレッタ・ミラネーゼに革命をもたらしたのが、グアルティエロ・マルケージ氏です。
彼は、コトレッタは中はロゼに仕上げなければならない、という信念の持ち主でした。
だから当然、分厚いリブロースを使ったのですが、彼のコトレッタはかなり風変わりで個性的した。
なんと、分厚いリブロースを四角くカットしてから揚げて、それをパズルのように元の形に組み合わせて盛り付けたのです。
肉の中央部分でも衣と肉が同じバランスで、一切れが小さいのでかなり分厚い肉でも火が通ります。
この料理は“コトレッタ・パズル”という名前で彼の名物料理の一つになりました。
その後コトレッタ・パズルはマルケージの弟子のマルケージ・チルドレンたちによって受け継がれて、現在ではコトレッタの3つ目の流派を形成しています。
やや変形版のマルケージのコトレッタ・パズル
リストランテ・イル・ヴィーコロのコトレッタ。
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↓象の耳でもなく、星付きレストランの分厚いコトレッタでもない一般的なコトレッタ・アッラ・ミラネーゼ。
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2007年12月号
“グルメ紀行~ミラノ”の解説は、「総合解説」'07&'08年12月号に載っています。
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3 件のコメント:
コトレッタかコストレッタかというのは不思議に思っていたので、勉強になりました。
ところで3Dから2Dへ、正統派かサブカルチャーかなど、言葉の使い方がいつもとは少し異なり、ちょっとポップ。
これは原文がそうなのですか?それともプレッツェーモロさん風解釈?だとしたらすごいオリジナリティーがあり、関心しきり。
くるりさん
このブログはいつも気をつけて、えらい真面目に書いてるんですよ。
でも、時々無意識に素が出ちゃって。
あそこでは3Dとかサブカルチャーという言葉以外思い浮かばなかったし。
ほんとはもっと軽く書けるんですよ。
この料理、まじうま (;°д°)!!!
やばくね?
みたいな?
うわっ、プレッツェーモロさん、実は真面目なフリしてただけなんだ〜。
もっと知りたいその素顔(笑)
自分もこちらに書き込む場合はブログの雰囲気を壊してもいけないと自主規制しております。ほんとはもっとアホアホ系。だから今回の表現の方が馴染み易し。
今度から裏バージョン同時翻訳でお願いします(笑)
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