今日はコスタ・ヴィオラの話の続き。
シッラは、コスタ・ヴィオラの南部にある古い町。
そして、ギリシャ神話や『オデュッセウス』に登場する、海に棲む怪物の名前でもあります。
シッラは、ギリシャ語では“スキュラ”。
このスキュラはたいてい、“カリュブディス”という怪物と二人ひと組で語られます。
カリュブディスは、イタリア語ではカリッディ。
スキュラとカリュブディスは、メッシーナ海峡の両側に棲んでいる、というのがよく知られた伝説。
メッシーナ海峡, photo by NegliOcchiDiFrida
カリュブディスはポセイドンとガイアの娘で、異常なほどの大喰いでした。
ある時、家畜の群れを丸ごと食べてしまったため、ゼウスによって怪物の姿に変えられて、海に追放されてしまいます。
それ以来カリュブディスは、一日に三回、渦巻きを起こしながらあたりの海水を大量に吸い込んでは吐き出すようになりました。
たまたま船が通りかかろうものなら、船もろともです。
オデュッセウスと海の魔物と言えば、セイレーンの話が有名ですよね。
セイレーンは、その歌声を聴いたものは惑わされ、結局、船を難破させてしまうという怪物。
オデュッセウスは、このセイレーンに出会った後に、カリュブディスとスキュラに遭遇します。
片や何でも飲み込でしまう怪物で、片や6頭の獣の頭で人を喰う怪物。
カリュブディスはなんとかやり過ごすのですが、スキュラには襲われて、6人の乗組員がやられてしまいます。
怖いですねー。
シッラ(スキュラ)は、メッシーナ海峡の右側(カラブリア側)にある町です。
ということは、カリュブディス(イタリア語ではカリッディ)という町が、メッシーナ海峡の左側(シチリア側)にある?
地図にそういう地名は無いようですが、言い伝えでは、シチリアの北東の端、メッシーナ海峡に突き出たファーロ岬のあたりに、カリュブディスは棲んでいたと言われています。
今でも、メッシーナ海峡の渦巻きはカリュブディスが起こしている、という言い伝えは現役。
メッシーナのネプチューンの泉の足元には、スキュラ(左)とカリュブディスの像も。
この大口を開けているのがカリュブディス。
メッシーナ海峡の神秘的な美しさを伝える動画。
メッシーナ海峡と言えば、原始的で勇壮なメカジキ漁が有名。
動画の前半は、そのメカジキ漁を再現した映像。
かつてのメッシーナ海峡のメカジキ漁。
見張りの人は大変ですねー。
現在のメカジキ漁は、もっと大型の船で行います。
この古風なメカジキ漁、船の維持費がかなりかかるそうです。
それに反比例して魚の数は減っていて、かなり苦境に立たされています。
地元では、ペスカトゥーリズモなどで生き残る道を模索しています。
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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2008年1月号
“シッラ”の解説は、「総合解説」'07&'08年1月号、P.36に載っています。
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