2019年8月9日金曜日

イタリア料理の大きな魅力、個性豊かな地方料理

「総合解説」の話に戻ります。
“『クチーナ・イタリアーナ』のリチェッタ”P.6~は、地方料理のリチェッタを中心にピックアップしました。
イタリア料理の大きな魅力の一つ、地方料理の世界を楽しめます。

最初の1品は“トスカーナ風クロスティーニ”。
パーネ・トスカーノは、手に入りやすい食パンで代用します。
イタリアでも、トスカーナ以外ではトスカーナのパンは手に入れにくいんですね。
パンは代用しても、脾臓は代用しないのでした。
イタリア語ではミルツァmilzaと、消化器系内臓とは思えない素敵な名前。
ちなみにバレルモ名物のパーネ・カ・メウザは脾臓のパニーノのこと。
つまり脾臓はメウザ。

私はフィレンツェに行くまで脾臓なんて、見たことも聞いたことも、当然食べたこともありませんでしたよ。
それどころか、鶏のレバーのクロスティーニも知らなかったなー(遠い目)。
内蔵をパンにのせたりはさんだりする食べ方は、考えてみると、すべてフィレンツェで初体験しましたねー。
その後、パレルモでも内臓のパニーノまみれになりましたが、フィレンツェの内臓料理は、とても食べやすかった気がします。


脾臓は子牛のものを使います。


次の地方料理はパッサテッリ。
とても個性的なプリーモで、エミリア・ロマーニャやマルケの農民料理のミネストラ。

次は、グラノ・アルソのシャラティエッリ。
グラノ・アルソはプーリアの名物ですね。
刈り株を焼いた後の畑で集めた小麦のこと。
貧しい農民の中でもさらに貧しい人々の食料でした。
現代では、小麦をトーストして人工的にスモーク香とほろ苦さを加えています。
記事にはそば粉でも代用できると書いてありました。

グラノ・アルソのパスタはプーリアを旅すればかなりの確率で出会うはず。
私はなんの知識もなかったので、色が黒い、程度の印象しか覚えていません。
もったいなかったなあ。
一方、シャラティエッリはカンパーニア生まれの歴史の短いパスタ。
この人のおかげで国際的に有名になりました。
 ↓

南イタリアのレストランや食文化を紹介する素晴らしい本、『トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ2

によると、シャラーレscialareはナポリの方言でたっぷりという意味。
伝統的なリチェッタは、小麦粉、卵、水のパスタですが、
地元アマルフィ海岸のサンタガタ・スイ・ドゥエ・ゴルフィのリストランテ・ロ・ストゥッツィキーノでは、シェフの父親が、水の代わりに牛乳を使ってリッチ(ある意味たっぷり)なパスタにしていたそうです。
牛乳入りパスタのリチェッタは本のP.168に載っています。
よく知られているのとは違う説です。
ちなみに、シェフのパオロはドン・アルフォンソで長く働いていました。
この町の山上にある修道院は、2つの湾を見渡せる眺望で有名ですが、歩いてしか行けないので、登って降りてくると、お腹が空いてストゥッツィキーノ(軽食)が欲しくなる、というので店の名前を決めたのだそうです。
親子でダシャレ好き?

こんなアマルフィのパスタも、グラノ・アルソを使うとプーリアのパスタになっちゃいますね。

最後にオリジナルのリチェッタから、グリーンピースのコロッケのいちごのマヨネーズ添え。
マヨネーズにイチゴが入ると、魔法のようなピンク色のソースになります。
とても小さく丸めたグリーンピースのコロッケもかわいい。
写真は「総合解説」のページにあります。

イタリアの旅は美味しい料理と出会う旅。
どの料理にも人それぞれの楽しい思い出が・・・。




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“『クチーナ・イタリアーナ』のリチェッタ”は、「総合解説」2017年7/8月号P.6に載っています。
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