2018年6月20日水曜日

ピッツァ・アルタとピッツァ・バッサ

新入荷のスローフードのピッツァの本、『ピッツァ/グランデ・トラディツィオーネ・イタリアーナ』の解説その2です。


今ではピッツァの本場はナポリという説が世界中に広まりましたが、地元愛が強いイタリアでは、地方ごとに広まったピッツァのスタイルが違いました。
例えばフィレンツェ、そしてトスカーナでは、カリッと焼き上げた、縁が平らなpizza bassa が広まりました。
よく火が通ったものが好まれたのです。
ナポリのピッツァの、柔らかくて溶けるような生地に慣れていないトスカーナ人には、生焼け状態と取られて、人気がでなかったのです。
なので、フィレンツェのピッツァ・ナポレターナの中には縁の厚さが出る程度の薄くてカリッとしたピッツァを焼いて、ピッツァ・ナポレターナには生地が2倍必要だからと2倍の値段をつける店もありました。
それでも、フィレンツェでピッツェリアを開くナポリのピッツァイオーロはいました。
カンパーニア生まれ、キアンティ育ちでフィレンツェでピッツェリアを開いたジョヴァンニ・サンタルピア氏は、
「私がフィレンツェに来た時、まだフィレンツェにはナポリピッツァのファンはいませんでした。
 みんなpizza altaは重いと信じていて、麺棒で伸ばしたピッツァのほうがナポリのピッツァより重いことを知りませんでした。
私のピッツァは時間をかけて発酵させて、ナポリのアルティジャナーレの伝統通り、手で伸ばします。
でも、焼き時間を変えてみました。
若干長めにして柔らかいけれどカリッと焼き上げて地元の好みに合わせたのです」

ジョヴァンニは、キアンティで店を始めた当初は、liebito di birra(生イースト)を使っていましたが、すぐにlievito madre(天然酵母)に変えました。
そしてそれ以来、ずっと使っています。
さらに、ヴィギッツォロ・デステのピッツァ大学(webページはこちら)に通って、まったく新しいピッツァ作りに挑戦します。

そして2010年に、フィレンツェの中心部にラ・ディヴィーナ・ピッツァを開き、フィレンツェの人々の、質のよいストリートフードとしてのカットピッツァを食べたいという要求に答えていきます。

本ではさらに、ナポリピッツァが世界中に広まった21世紀の、フィレンツェ生まれのピッツァィオーロのエピソードと続きます。
本にはリチェッタも載っていますが、きょうはここまで。

小さくて居心地の良いグラツィアーノの店は、彼のオリジナリティーに満ちています。
ディヴィーナ・ピッツァ
 ↓


ナポリ・ピッツァがイタリア中に広まった背景には、興味深いエピソードが満載でした。


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ピッツァ/グランデ・トラディツィオーネ・イタリアーナ
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