今日はローマの名物手打ちパスタの話。
カルボナーラ?アマトリチャーナ?
とても有名なこれらのソースに組み合わせるパスタは、主にスパゲッティやブカティーニやリガトーニ。
つまり乾麺。
今回のお題は手打ちパスタです。
ローマ料理を代表する、ローマっ子が大好きな手打ちパスタは、フェットゥッチーネ。
きしめん状の平面です。
タリアテッレとそっくりですが、これは生地を伸ばして細く切るという基本の作業がとてもシンプルだった結果、出来上がったものがたまたまそっくりになったのかも、と思いませんか?
ラグーのタリアテッレではなく、フェットゥッチーネです。
↓
ちなみに、パスタの歴史を考える時、平麺は生地を薄く伸ばしてまっすぐ切ればいいだけだから、最初にできたパスタだろう、なんて安易に考えがちですが、よーく考えてみると、麺を伸ばしたり切ったりするのには道具が必要です。
つまり、粉と水をこねただけでできる一番簡単なパスタは、多分、小さくちぎって指で押したりこすったりして成型する、オレッキエッテのようなパスタじゃないでしょうか。
そして平麺の進化系は、ステンレスの糸が発明されてから生まれたキタッラかも。
歴史を調べると、シンプルなパスタにも生まれた理由がちゃんとあるので驚きます。
ただし、大昔に農家のおかみさんたちが作り出したようなパスタは、ルーツにたどり着くのはほぼ不可能。
ニュートンの地方料理シリーズの『cucina romana e ebraico romanesca』によると、ローマのフェットゥッチーネははるか昔から作られていたそうです。
あまりにも昔で、当初は卵は入っていなかったそうです。
だから、あまり柔らかくなくて伸びない。
なので、ローマのフェットゥッチーネは硬めで短いんだそうですよ。
それに機械でカットすると均一になって無機質な麺になるので、絶対に手で切るのだそうです。
ローマのフェットゥッチーネにかけるソースで一番人気なのは、鶏のもつのソース。
どの書籍にもそう書いてあります。
ローマを代表する料理だそうですよ。
スローフードのオステリア・ディ・イタリアシリーズの『クチーナ・レジョナーレ』によると、鶏のもつはrigaglieと呼び、四つ足の動物のもつはfrattaglieと呼ぶそうです。
当然、昔は内臓は貧しい農民と都会の労働者にとっては大切なタンパク源。
鶏のもつのフェットゥッチーネは、ローマやラツィオのこういった階層の人たちにとっては、日曜日の晩御飯のご馳走。
レバーのイタリア料理と言うと、子牛のレバーを使ったヴェネチア風しか思い浮かばなかったけれど、意外とパスタのソースにたくさん使われていました。
ただし、田舎の料理自慢のおかあさんたちがこういった内臓を使った料理を作る機会は、現在は減っているそうです。
次号の「総合解説」はローマ料理特集その1.。
『cucina romana e ebraico romanesca』の鶏のもつのローマ風フェットゥッチーネのリチェッタも、訳しました。
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