2017年5月22日月曜日
タヤリン
今月の「総合解説」で取り上げた地方料理は、タヤリンです。
アニョロッティと共にピエモンテの代表的な手打ちパスタ。
タリオリーニのような細い平麺で、特にこれと言った特徴はないようにも感じますが、『サーレ・エ・ペペ』の記事は、イタリア人ならではの視点で1歩深く踏み込んでいて、訳していて面白かったです。
まずタヤリンは、誕生の地、ランゲ地方の農民の古い知恵がたっぷり詰まったパスタなんだそうですよ。
ピエモンテは地形的に山、平野、丘陵地帯に分かれますが、ランゲはご存知の通り、クーネオとアスティにまたがるイタリアを代表する美味しいワインの産地の丘陵地帯です。
ランゲ地方
↓
ランゲは農作物が豊かに実る地方で、ぶどうだけでなく、果実、穀物、チーズなどの生産も盛んです。
中でも有名なのが、ピエモンテ牛と白トリュフ。
イタリアでも有数の美味しいワインができて、牛肉とトリュフが名物なんて、どんなパラダイスなんですか。
タヤリンはこんな地方の家庭料理として広まりました。
タヤリンの説明として記事で最初に取り上げているのが、この薄―いパスタを薄ーく伸ばすには、かなりの腕力と丈夫な麺棒、そして熟練の技が必要だということ。
よりによってまず腕力。
生地を平たく伸ばすパスタはイタリア中にありそうですが、なぜここまで腕力が重要なのか。
その理由は、このパスタが軟質小麦粉と卵とたっぷりの卵黄で作られるということにありそうです。
卵黄がたくさん入ったパスタは、濃い黄色で、なめらかな生地になりますが、柔軟性がないので、薄く伸ばすのは、かなり大変な作業になります。
でも、この生地だと詰め物入りパスタも破れないし、ゆでてもアルデンテで歯ごたえが残る。卵の風味がある、さらに麺棒で伸ばすと表面がざらざらになってソースがよくからむという、数多くの利点があるのです。
どんだけ大変なのか思ったけど、タンタンと作ってます。
下は有名シェフのタヤリン作りの動画ですが、上の動画のお母さんシェフより、かなり大変そう。
結局はスタッフに丸投げかい。
しかも機械任せだし。
乾燥過程も見ることができますが、ランゲの家庭では、あれもお母さんがやりました。
麺の適切な薄さやちょうどいい乾き具合を知らなくては作れない麺なんですねー。
出来上がりは超美味しそー。
しかも牛のヒレ肉と白トリュフ入りコンソメでつけ麺にしてるし。
ピエモンテのレストランガイドでタヤリンは手打ちと自慢げに書いてあるのを見かけて、なぜこんなに手打ちであることを自慢するのか不思議でしたが、納得です。
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“タヤリン”の記事の日本語訳は「総合解説」2015年1月号に載っています。
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2 件のコメント:
ジェンマさん、やっぱりお出ましですね。2004年、まだ改装前のオステリアで初めてお会いしました。まだお若かった!なんでもフィアットの息子さんの結婚式で300人分のタヤリンを打ったとか。その日はお昼にたっぷり食べていたので夕食はあまり食べられないと思ったのにあまりのおいしさにタヤリン、おかわりしたほど。今でも記憶に残る美味しさです。子牛のスティンコ、ファッソーナ?牛のタルタル、パイナップルが乗った家庭的なドルチェまですべておいしかったので、もう一度再訪、裏切られない美味しさでした。帰り際、アニョロッティを作り終えたおばあさん達がテーブルでカード遊びをしていたのが印象に残っています。もう一度食べたいです。 Italiamama
Italiamamaさん
このタヤリンの動画だけでも美味しい店だということが伝わってきます。
今でも記憶に残る味とは、すごい。
そういえば私も、30年前に食べた白トリュフのタヤリンが、カルチャーショック的に美味しかったこと、ちらっと思い出しましたよー。
この歳になったらどう感じるか、また食べてみたいです。
おばあさんたちもカード遊びするんですか。
それは楽しい光景ですね。
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