今日は、ピッツァの話。
ヴェーラ・ピッツァ・ナポレターナ協会の本、
『farina acqua lievito sale passione』
のご紹介です。
まさに、協会入魂の一冊で、ナポリピッツァのすべを紹介している本です。
こういう本を読むと、ナポリの食文化の奥深さを痛感します。
ヴェーラ・ピッツァ・ナポレターナ協会とは、1984年に、ナポリ風ピッツァの国内外へのプロモーションと、品質保持のために設立された団体です
協会のwebページはこちら。
下の写真の左下の黒い円の中に描かれたナポリのキャラクター、道化師プルチネッラがピッツァを焼いているデザインがトレードマーク。
会員の店には、このマークが表示されています。
会員は日本を含む世界中に大勢います。
ピッツァイオーロを目指す人なら、誰もが知っている団体ですよね。
会長のアントニオ・パーチェ氏は、他の17名のナポリの優秀なピッツァイオーリたちと一緒に協会を創立しました。
家族経営の老舗リストランテ・ピツッェリーア、チーロ・ア・サンタ・ブリジダの現経営者です。
お店のwebページはこちら。
とにかく、ナポリピッツァの発展に尽くしたいという協会自体も熱いですが、本もかなり熱いです。
それをいきなり感じるのが、冒頭の序文。
書いたのは、スローフード・インターナショナル会長のカルロ・ペトリーニ氏。
「ナポリは、5つのエレメントから、錬金術師のようにピッッァを生み出した」と書いています。
さーて、ピッツァを作る5つのエレメントとは何でしょう。
小麦粉、水、酵母、塩・・・。
えーと、これだけあればピッツァ生地はできるはず・・・。
いやいや、これでは4つだから、あと1つ足りない。
ところが、あえてペトリーニ氏は、5つめのエレメントのことをすぐには書きません。
どうやら、皆さんのご想像にお任せしますというつもりのようです。
スローフードの創設者たるペトリーニ氏は、テッラ・マードレという活動も行っています。
スローフードもテッラ・マードレも、その概念を正しく理解するのは、かなり難しいと思います。
私などは全然わからないのですが、テッラ・マードレは、こちらのwiki先生によると、小規模の職人による上質食品生産者のネットワークのようなもの。
べドリーニ氏は、この本の前書きで、テッラ・マードレの発想が生まれたのは、ナポリで2003年に開催されたスローフードの国際会議の場でだったと書いています。
地中海の民族と魂の交差点のようなナポリという場所の持つ気風が、土地の豊かさこそが、buono, pulito, giusto(おいしい、クリーン、フェア)というスローフードの精神と結びつき、ひいては、ヴェーラ・ピッツァ・ナポレターナ協会が目指すものと、ぴったりと一致したのだと書き、こう締めくくっています。
パッシオーネ。
そう、5番目のエレメント、情熱です。
どうやらここらへんに共通点を見出したみたいです。
さらに、協会の序文は、こう始まっています。
「王も物乞いも、インテリもアーティストも大好きな食べ物、ピッツァはナポリ魂のエンプレムで他に類を見ない発明品だ。
本物のナポリのピッツァを語ることは、文化の核心に踏み入ることだ」
たかがピッツァ、されどピッツァですねー。
さらに、文化の核心、ナポリの魂が、イミテーションによって姿を変えて世界に広まっていくくらいなら、すべてをさらけ出してその秘密を教えるから、正しいナポリのピッツァを作ってくれ、という、激しい情熱に支えられた熱い思いが綴られています。
食品業界は、ペトリーニ氏やパーチェ氏のような人たちの情熱で動いているんですねー。
と思ったら、本の最後には4ページに渡って会員の顔写真がずらーっと載っていました。
しかも、そのページのタイトルは「情熱の真実」。
なんと、これがこの本のオチだったんですね。
5つ目のエレメント、情熱を、何一つ隠さず。
素晴らしい。
会長さんだけでなく、ピッツァイオーリさんたちみんなの情熱を感じてください。
さーて、ナポリのピッツァイオーリたちの熱い思いを知ったら、今度はいよいよ、ナポリピッツァ作りです。
まず、何を用意しますか?
やっぱり小麦粉ですよね。
ピッツァの小麦粉についてなんて、もう語りつくされているかもとも思いますが、ナポリのピッツァィオーリたちは、何を伝えたいんでしょうか。
序文を読んだだけでかなり疲れたので、その話は次回に。
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